これまで続けてきたハーブスイーツ講座の中にある考え方を、あらためて整理し、言葉にしてみようと思ったことがきっかけです。
初級、中級、上級。
それぞれの講座を作り、レシピを考え、教材を書き、受講生の方にどんな順番で学んでいただくのがよいのかを考えてきました。
その中で、少しずつ見えてきたことがあります。
それは、私たちが伝えたいのは、単に「ハーブを使ったお菓子の作り方」だけではなかった、ということです。
レシピは、もちろん大切です。
けれど、本当に身につけていただきたいものは、レシピのさらに奥にありました。
レシピを増やすことが、学びの目的ではありません
お菓子を学ぶとき、
「何種類のレシピを教えてもらえるのか」
ということは、分かりやすい目安の一つです。
私たちの講座にも、さまざまなハーブスイーツのレシピがあります。
けれど、もし学びの目的が、
「知っているレシピを増やすこと」
だけだったとしたら、いつか限界が来ます。
30種類を覚えたら、次は31種類。
50種類を覚えたら、次は51種類。
そうやって、ずっとレシピを増やし続けなければならなくなります。
私たちが目指しているのは、そこではありません。
一つのレシピを学んだときに、
「なぜ、このハーブなのだろう」
「なぜ、この素材と合うのだろう」
「香りが強すぎるときは、どう考えればいいのだろう」
「このハーブがなければ、何に置き換えられるだろう」
「この考え方を、別のお菓子に使えないだろうか」
と、自分で考えられるようになること。
つまり、
レシピを覚えることから、レシピを考えられることへ。
そこまでが、私たちの講座でお伝えしたい学びです。
作ってきたものを振り返ると、一つの流れがありました
講座を作り始めたときから、
「これは香りの講座です」
「これはフレーバーペアリングの講座です」
「これはレシピクリエーションの講座です」
と、最初から三つに分けて考えていたわけではありません。
実際には、もっと自然な流れでした。
ハーブを使ってお菓子を作る。
香りが強ければ減らす。
弱ければ、素材との組み合わせを変えてみる。
果物と合わせてみる。
チョコレートと合わせてみる。
焼き菓子の種類を変えてみる。
別のハーブでも試してみる。
そうした積み重ねの中で、
「ここには、共通する考え方がある」
と気づいていきました。
それを整理してみると、
香りのバランス
フレーバーペアリング
レシピクリエーション
という三つの柱が見えてきました。
これが、私たちの言うハーブスイーツメソッドです。
メソッドを作ったのではなく、見つけたという方が近いかもしれません
「メソッド」という言葉を使うと、
何か特別な理論を新しく作り出したように聞こえるかもしれません。
けれど、私たちの感覚としては少し違います。
長くハーブスイーツを作り、教え、教材を作ってきた中で、
「私たちは、ずっとこの考え方で作っていたのだな」
と後から気づいたものを、整理したという感覚です。
ですから、
ハーブスイーツ講座が先にあり、
その中に積み重なっていた考え方を言葉にしたものが、ハーブスイーツメソッドです。
何かを外から付け足したのではありません。
もともと講座の中に流れていたものを、見える形にしました。
言葉にすることで、学びの道筋が見えやすくなりました
人は、名前のないものを理解するのが少し難しいことがあります。
なんとなく感じている。
なんとなくやっている。
けれど、説明しようとすると難しい。
お菓子作りでも、そういうことがあります。
経験を積んだ人が、
「このくらいがちょうどいい」
「この組み合わせは合う」
「これは少し重たい」
と感覚的に判断していることがあります。
けれど、初めて学ぶ方にとっては、その「なんとなく」が一番難しいものです。
そこで、
香りのバランスを見る。
素材との相性を見る。
そこから自分でレシピを組み立てていく。
という流れに言葉を与えることで、
「今、自分は何を学んでいるのか」
が見えやすくなります。
これは、教える側にとってだけでなく、学ぶ側にとっても大切なことだと思っています。
初級から上級まで、実は同じ一本の道です
初級では、まずハーブの基本や、お菓子作りの基礎に触れます。
中級では、少しずつ素材との組み合わせが広がっていきます。
上級では、そこからさらに、自分で考える力を深めていきます。
一見すると、それぞれ別の内容を学んでいるように見えるかもしれません。
けれど、私たちは、この三つを別々のものとは考えていません。
最初から最後まで、
「自分でハーブスイーツを考えられるようになる」
という一つの方向へ進んでいます。
最初は、決められたレシピを作るところから始まります。
その中で香りを知る。
素材との相性を知る。
違いを感じる。
少し変えてみる。
そして最後には、
「では、自分ならどう作るだろう」
と考えるようになる。
ハーブスイーツメソッドという言葉を作ったことで、この一本の道筋が、以前よりも見えやすくなりました。
32種類のレシピにも、それぞれ役割があります
私たちの講座でお伝えしているレシピは、それぞれ一つのお菓子として完成しています。
けれど同時に、
一つひとつが学ぶための題材でもあります。
あるレシピでは、ハーブの香りの強さを感じる。
あるレシピでは、果物との組み合わせを知る。
あるレシピでは、チョコレートとの相性を見る。
またあるレシピでは、別のハーブへの置き換え方を考える。
こうして複数のレシピを経験すると、
少しずつ共通点が見えてきます。
「これは、前に作ったあのお菓子と似ている」
「この考え方なら、別の素材にも使えそう」
そんな気づきが積み重なることで、
レシピ同士が、ばらばらではなくなっていきます。
そして、いつか自分の中で一つの地図のようにつながっていきます。
その地図を作るための考え方を言葉にしたものが、ハーブスイーツメソッドなのだと思っています。
「正解を教える」だけではなく、「考え方を渡したい」
私たちが講座を作るとき、
「この組み合わせが正解です」
とだけお伝えすることは、なるべくしたくありません。
もちろん、最初は分かりやすい基準が必要です。
けれど、ハーブも果物も季節も、作る人の好みも、それぞれ違います。
ですから最後は、
「自分はどう感じるのか」
ということも、とても大切になります。
少し香りを強くしたい人もいるでしょう。
やさしく香らせたい人もいるでしょう。
甘さを控えたい人もいるでしょう。
酸味を効かせたい人もいるでしょう。
私たちは、その違いをなくしたいわけではありません。
むしろ、
基礎を知ったうえで、自分の好みを見つけてほしい。
そのためには、答えを一つずつ渡すだけでは足りません。
考え方そのものを渡す必要があります。
ハーブスイーツメソッドを言葉にした理由の一つは、そこにあります。
講座の価値を、私たち自身もより深く理解できました
ハーブスイーツメソッドを整理したことは、受講生の方へ説明しやすくなっただけではありません。
私たち自身にとっても、
「この講座は、何を大切にしているのか」
をあらためて確認する機会になりました。
たくさんのレシピがあること。
教材があること。
ハーブについて学べること。
資格を取得できること。
それらも、もちろん講座の大切な価値です。
けれど、その奥に、
自分で考え、自分で組み合わせ、自分で作り出せるようになってほしい
という一つの願いがあります。
ハーブスイーツメソッドという言葉は、その願いを見えやすくしてくれました。
ハーブスイーツメソッドは、講座の「設計図」のようなものです
講座とメソッドは、別々のものではありません。
あえて違いを表現するなら、
講座は、実際に学び、作り、経験していく場所。
ハーブスイーツメソッドは、
その講座が、どこへ向かって作られているのかを示す設計図
のようなものです。
なぜ、この順番で学ぶのか。
なぜ、いろいろな素材と組み合わせるのか。
なぜ、アレンジ例を大切にするのか。
なぜ、最後には自分でレシピを考えてほしいのか。
それぞれには理由があります。
その理由を一つずつ言葉にしていくことで、講座の全体像がより伝わりやすくなる。
それが、私たちがハーブスイーツメソッドを言語化した大きな理由です。
学んだ先に、自分だけのハーブスイーツがあること
私たちがいちばん嬉しいのは、
受講生の方が、教材に載っているものをきれいに再現できることだけではありません。
いつか、
「こんな組み合わせを考えてみました」
「庭のハーブで、こんなお菓子を焼いてみました」
「この前のレシピを、自分なりにこんなふうに変えてみました」
そんな言葉を聞けることです。
そこまで来たとき、学んだ知識は、その方自身のものになっています。
そして、その先には、まだ作ったことのないハーブスイーツがたくさんあります。
32種類のレシピの先にあるもの。
それは、新しいレシピをもう一冊覚えることではありません。
自分で考えられる自由です。
私たちは、その自由へ向かうための学びを、ハーブスイーツ講座としてお伝えしています。
そして、その学びの考え方を、より分かりやすく言葉にしたものが、ハーブスイーツメソッドです。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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