何か新しいことを始めるとき、
「自分にできるかな」
と思うことがあります。
ハーブスイーツも同じです。
ハーブの種類が分からない。
どれくらい入れればよいか分からない。
どんなお菓子と合わせればよいのか分からない。
最初は、分からないことがたくさんあります。
だから、不安になるのは自然なことです。
でも、自信がついてから始めなければならないわけではありません。
むしろ、
少し知る。
ひとつ作る。
食べてみる。
また考える。
そんな小さな経験を重ねるうちに、
「前より少し分かる」
という感覚が生まれてきます。
自信は、ある日突然大きくなるものではありません。
学ぶ時間の中で、少しずつ育っていくものです。
今回は、ハーブスイーツを学ぶことと、自信が育っていくことについて、やさしく考えてみたいと思います。
〜最初から自信がある人ばかりではありません〜
初めてハーブをお菓子に使うとき、
「これで合っているのかな」
と思うことがあります。
カモミールはこのくらい?
ローズマリーは細かくしたほうがいい?
焼いたら香りはどうなる?
知らないことがあると、迷います。
でも、最初から何でも分かっている人はいません。
分からないから学ぶ。
学ぶから少し分かる。
その繰り返しです。
〜自信は「できる」という気持ちだけではありません〜
自信というと、
「私はできます」
と言い切れることのように思うかもしれません。
でも、本当はもっと静かなものかもしれません。
「前にも一度作ったから、大丈夫そう」
「これは少量から使えばいい」
「もし強すぎても、次に調整できる」
そんな感覚です。
絶対に失敗しないと思えることではなく、
何かあっても自分で考えられる。
それも、自信のひとつです。
〜知るだけでも、不安は少し小さくなります〜
たとえば、
食用のハーブを選ぶこと。
ドライとフレッシュでは使い方が少し違うこと。
ハーブによって香りの強さが違うこと。
加熱によって香りが変わること。
こうした基本をひとつ知るだけでも、
「何も分からない」
という状態ではなくなります。
知らないものが少しずつ見えるようになる。
それだけでも、不安は小さくなります。
〜一度作ると、知識が経験に変わります〜
本を読んだり、説明を読んだりすることも大切です。
でも、実際に作ってみると、また違ったことが分かります。
カモミールの袋を開ける。
香りを嗅ぐ。
生地へ混ぜる。
オーブンへ入れる。
焼き上がった香りを感じる。
ひと口食べる。
すると、
「ああ、こうなるんだ」
と分かります。
知識が、自分の経験になります。
〜「一度やったことがある」は、小さな自信になります〜
初めてのときは、何をするにも少し緊張します。
でも二回目になると、
「前にもやった」
という記憶があります。
ハーブを量る。
刻む。
生地へ入れる。
焼く。
一度経験しているだけで、手の動きが少し変わります。
三回目。
四回目。
だんだん特別なことではなくなっていきます。
〜成功した経験は、もちろん自信になります〜
思った通りに焼けた。
香りもちょうどよかった。
家族がおいしいと言ってくれた。
自分でも、
「これは好きだな」
と思えた。
そんな経験は、素直に自信になります。
「また作れそう」
と思えるからです。
大きな成功でなくても構いません。
小さな「できた」が積み重なっていきます。
〜思い通りにならなかった経験も、自信につながります〜
少し意外かもしれません。
でも、うまくいかなかった経験も大切です。
ハーブが強すぎた。
香りが弱かった。
組み合わせが少し違った。
そのとき、
「失敗した」
だけで終わらせず、
「次は少し減らしてみよう」
と考える。
そして次に調整する。
すると、
「うまくいかなかったときも、自分で直せる」
という感覚が生まれます。
これも立派な自信です。
〜自信は、失敗しなくなることではありません〜
学んでいけば、失敗がゼロになる。
そういうわけではありません。
経験を積んだ人でも、
思ったより香らない。
焼き上がりが少し違う。
新しい組み合わせが合わない。
そんなことはあります。
でも、違いがあります。
経験が増えると、
「なぜかな」
と考えられるようになります。
そして、
「次はこうしてみよう」
と動けます。
自信とは、失敗しないことよりも、そこから戻れることなのかもしれません。
〜一つのハーブを知るだけでも、見えるものが増えます〜
たとえば、カモミール。
どんな香りなのか。
どんなお菓子に合わせやすいのか。
加熱するとどう感じるのか。
果物と合わせるとどうなるのか。
ひとつずつ知っていきます。
すると、次にりんごを見たとき、
「カモミールと合わせてもよさそう」
と思えるようになります。
知識が増えると、選択肢も見えるようになります。
〜「なぜ」を知ると、自分で判断しやすくなります〜
ただ、
「このレシピではこの量」
と覚えるだけでも作れます。
でも、
なぜ少量なのか。
なぜ細かくするのか。
なぜこの果物と合うのか。
そんな理由を少しずつ知っていくと、別のお菓子にも応用しやすくなります。
誰かの答えをそのまま使うだけではなく、
自分で考えられるようになる。
そこにも、自信が育ちます。
〜比べてみると、自分の好みも分かります〜
学ぶことは、正解を覚えるだけではありません。
自分の好みを知ることでもあります。
ローズマリーは、このくらいが好き。
カモミールはほんのり香るほうが好き。
ミントはチョコレートと合わせたい。
ローズはベリーと一緒が好き。
そんな自分なりの基準が少しずつできます。
「私はこれが好き」
と言えることも、自信のひとつです。
〜自分の基準ができると、迷いが減ります〜
最初は、
「どれが正しいんだろう」
と外に答えを探します。
でも経験が増えると、
「私はこうしたい」
という基準ができてきます。
もちろん、基本的な安全や製菓の理屈は大切です。
その上で、
香りの強さ。
組み合わせ。
甘さ。
食感。
自分なりの好みがあります。
基準があると、必要以上に迷わなくなります。
〜何でも知っている必要はありません〜
学び始めると、
「もっと知らないと」
と思うことがあります。
ハーブの種類。
製菓技術。
組み合わせ。
歴史。
文化。
学べることはたくさんあります。
でも、自信を持つために全部を知る必要はありません。
分からないことがあれば、そのとき調べる。
必要になったら学ぶ。
それで十分です。
〜「分からない」と言えることも、学びのひとつです〜
知識が増えるほど、
「まだ知らないこともある」
と気づくことがあります。
それは、自信がなくなったのではありません。
むしろ、
分かっていること。
分からないこと。
その境目が見えるようになったということです。
分からないものを、分からないままにしておける。
必要なら調べる。
それも、落ち着いた自信です。
〜人と比べると、自信は見えにくくなります〜
自分よりたくさん作っている人。
詳しい人。
きれいなお菓子を作る人。
そういう人を見ると、
「私はまだまだ」
と思うことがあります。
でも、その人にも初めての日がありました。
自分の学びを見るなら、
昨日の自分。
一年前の自分。
最初にハーブを触ったころの自分。
そこから比べるほうが、積み重ねが見えます。
〜小さな変化に気づくことが大切です〜
以前はレシピ通りに入れていただけだった。
今は香りを嗅いでから量を考える。
以前は焼き上がりだけを見ていた。
今は冷めたあとの香りも確かめる。
以前は、
「合うか合わないか」
だけだった。
今は、
「なぜ合うんだろう」
と考える。
こうした変化も、学びの成果です。
〜記録すると、自分の積み重ねが見えます〜
簡単なメモを残しておく方法もあります。
「ローズマリー、少し多かった」
「カモミールとりんご、好み」
「次回は焼き時間を少し短く」
短い言葉で十分です。
しばらくして見返すと、
自分がいろいろ試してきたことが分かります。
記録は、学んできた時間を目で見せてくれます。
〜同じものを繰り返すことも、立派な学びです〜
学ぶというと、
新しいこと。
難しいこと。
次の段階。
そんなイメージがあります。
でも、同じクッキーを何度も焼くことも学びです。
一回目より二回目。
二回目より三回目。
生地の状態。
焼き色。
香り。
少しずつ分かることが増えます。
繰り返すほど、手に残るものがあります。
〜自信が育つと、少しだけ冒険できるようになります〜
カモミールクッキーに慣れた。
次は、りんごを合わせてみようかな。
ローズマリーのスコーンに慣れた。
今度は柑橘を加えてみようかな。
そんな気持ちが出てきます。
大きな挑戦ではありません。
今まで知ったことを土台に、一歩だけ広げる。
学びがあると、その一歩を出しやすくなります。
〜新しいことへ進まない選択もできます〜
自信がついたからといって、
必ず難しいお菓子へ進まなければならないわけではありません。
好きなクッキーを何度も作る。
スコーンを楽しむ。
カモミールだけを深く知る。
それもよいのです。
自信とは、進み続けることではなく、
「自分はこれでよい」
と選べることでもあります。
〜学びには、それぞれの速さがあります〜
一日にたくさん覚える人。
ひとつずつゆっくり進む人。
作りながら覚える人。
本を読んでから試す人。
いろいろです。
早いほうがよいわけではありません。
自分の暮らしの中に残る速さで学ぶことが大切です。
〜休みながらでも、学びはなくなりません〜
しばらく作らない時期があっても大丈夫です。
覚えたことがすべて消えてしまうわけではありません。
また作りたくなったら、戻る。
最初は少し思い出しながら。
でも、
「前にやったことがある」
という経験は残っています。
学びは、毎日続けなければ意味がないものではありません。
〜誰かに教えてもらうことで安心できる人もいます〜
独学が楽しい人もいます。
自分で調べながら進むことが好きな人もいます。
一方で、
分からないところを質問したい。
順番に学びたい。
基本から整理して知りたい。
そんな人もいます。
自分に合うなら、誰かから学ぶこともひとつの方法です。
分からないところをひとつずつ整理すると、安心して進みやすくなることがあります。
〜独学でも、体系的に学んでもいい〜
どちらが正しいということではありません。
本を読む。
作ってみる。
調べる。
それで十分楽しめる人もいます。
一方で、体系的に学ぶことで、
「ああ、こうつながっているんだ」
と理解しやすくなる人もいます。
大切なのは、自分が学びやすい方法を選ぶことです。
〜資格があれば自信が生まれる、とは限りません〜
資格を取得することで、
学んだ範囲が整理される。
ひとつの区切りになる。
人に説明するときの支えになる。
そんなことがあります。
でも、資格そのものが突然自信を与えてくれるわけではありません。
実際に作る。
考える。
試す。
その積み重ねと一緒になって、少しずつ自信になります。
資格も、学びのひとつの形です。
〜自信は「証明するもの」だけではありません〜
誰かに認めてもらう。
賞を取る。
資格を取る。
上手だと言われる。
そうした経験が自信につながることもあります。
でも、自分の中だけで育つ自信もあります。
「このくらいなら作れる」
「好きな香りが分かる」
「次はこうしてみよう」
誰にも見えなくても、十分です。
〜小さな「分かった」が積み重なっていきます〜
ハーブの名前をひとつ覚えた。
食用を選ぶことを知った。
香りの強さが違うと知った。
一度焼いた。
二度目は量を変えた。
好きな組み合わせを見つけた。
ひとつひとつは小さなことです。
でも、その小さな「分かった」が積み重なると、
いつの間にか最初とは違う場所にいます。
〜学ぶほど、肩の力が抜けることもあります〜
最初は、
失敗したらどうしよう。
間違っていたらどうしよう。
と不安だった。
でも、経験が増えると、
「少し違ったら次に直せばいい」
と思えるようになります。
何でも完璧にしなければならない、という力が抜けていきます。
それも学ぶことのよさです。
〜本当の自信は、静かなものかもしれません〜
「私は何でもできます」
という強さだけが自信ではありません。
分からなければ調べる。
失敗したら考える。
疲れたら休む。
またやりたくなったら戻る。
自分の好きなものを選ぶ。
必要なら誰かに聞く。
そうしたことが自然にできる。
そんな静かな感覚も、自信なのだと思います。
〜学びは、自分を急かすためのものではありません〜
もっと知ろう。
もっと上手になろう。
もっと先へ進もう。
学びが、いつの間にか自分を急かすものになることがあります。
でも、本来は逆かもしれません。
知ることで、不安が減る。
経験することで、落ち着く。
分かることで、自分で選べる。
学びは、自分を追い立てるためではなく、安心して歩くためにもあります。
〜今日ひとつ知るだけでもいい〜
ハーブスイーツの世界には、たくさんの学びがあります。
でも、今日すべてを知る必要はありません。
今日はカモミール。
次はローズマリー。
ひとつ焼いてみる。
ひとつ食べてみる。
「これは好きだな」
と感じる。
その小さな経験が、次へつながります。
〜自信は、学んだ時間のあとについてきます〜
最初から、
「自信を持たなければ」
と思わなくても大丈夫です。
自信だけを先に作ることは難しいものです。
でも、
知る。
作る。
味わう。
考える。
また作る。
そんな時間を重ねていると、
ある日、
「前より迷わなくなったな」
と気づくことがあります。
カモミールを手に取る。
香りを確かめる。
今日はこのお菓子にしようと決める。
焼き上がりを食べながら、
「次は少しこうしてみよう」
と思う。
誰かに答えを聞かなくても、自分で一歩を決められる。
それは、学んできた時間が自分の中に残っているからです。
自信は、大きな声で宣言するものではないのかもしれません。
ひとつずつ知り。
ひとつずつ経験し。
気がつけば、
「大丈夫。まずはやってみよう」
と思えるようになっている。
学ぶことで、自信は少しずつ育っていきます。
急がず、自分の歩幅で。
好きな香りを楽しみながら。
その積み重ねそのものを、ハーブスイーツの学びとして楽しんでいただけたらと思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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