ハーブスイーツに興味を持って、
「作ってみよう」
と思う。
最初は楽しい。
ハーブを選ぶ。
レシピを探す。
焼いてみる。
いい香りがする。
けれど、何度か作ったあと、
いつの間にか作らなくなっていた。
そんなこともあります。
「私には向いていなかったのかな」
「飽きてしまったのかな」
と思うかもしれません。
でも、何かが続かない理由は、好き嫌いだけではありません。
やることを増やしすぎていた。
毎回新しいものを作ろうとしていた。
材料をそろえるのが大変だった。
失敗しないように考えすぎていた。
そもそも、今の暮らしのペースに合っていなかった。
そんな小さな負担が重なることで、自然と遠ざかってしまうことがあります。
今回は、ハーブスイーツが続けにくくなる理由をひとつずつ整理しながら、無理なく楽しむ方法を考えてみたいと思います。
〜最初に頑張りすぎると、続けにくくなります〜
何か新しいことを始めるとき、
「せっかくなら、ちゃんとやろう」
と思うことがあります。
ハーブを何種類も買う。
道具をそろえる。
本を読む。
いろいろなレシピを試す。
毎週作ろうと決める。
最初は勢いがあるので、それでも楽しくできます。
けれど、その状態をずっと続けるのは大変です。
始めたときの熱量を、毎回同じように保つ必要はありません。
むしろ、
「今日はクッキーにカモミールを少し」
くらいのほうが、暮らしの中には残りやすいものです。
〜ハーブをたくさんそろえすぎると迷います〜
カモミール。
ローズマリー。
ミント。
ローズ。
レモンバーム。
レモングラス。
タイム。
エルダーフラワー。
ハーブの世界を知ると、いろいろ試したくなります。
でも、種類が増えるほど、
「今日はどれを使おう」
「これは何と合わせるんだっけ」
と迷うことも増えます。
選択肢が多いことが、必ずしも続けやすさにつながるわけではありません。
まずは好きなハーブを一つか二つ。
それでも十分に楽しめます。
〜毎回新しいレシピを作ろうとすると疲れます〜
ハーブスイーツを続けるというと、
「次々と新しいお菓子を作らなければ」
と思うことがあります。
前回はクッキー。
次はタルト。
その次はケーキ。
さらに違うハーブ。
でも、毎回新しいものを作るには、考えることも増えます。
材料。
手順。
焼き時間。
ハーブとの相性。
それでは、少し疲れてしまいます。
同じクッキーを何度作ってもよいのです。
同じスコーンを、季節を変えて焼いてもよい。
繰り返すことは、マンネリではありません。
慣れていくことでもあります。
〜「上達しなければ」と思いすぎると苦しくなります〜
趣味を始めると、
せっかくなら上手になりたい。
知識も増やしたい。
もっときれいに作りたい。
そう思うことがあります。
それ自体は自然なことです。
でも、
「前より上手に」
「もっと難しいものを」
と毎回考えるようになると、楽しみだったものが課題に変わってしまうことがあります。
昨日より上達していなくても構いません。
前と同じクッキーを焼いて、
「今日もおいしい」
それだけの日があってもよいのです。
〜完璧な香りを求めると、作る前に疲れてしまいます〜
ハーブスイーツでは、香りのバランスが気になります。
多すぎないかな。
少なすぎないかな。
焼いたらどのくらい残るかな。
果物との相性はどうかな。
考え始めると、いくらでも考えられます。
でも、最初から完璧な香りを作る必要はありません。
少し弱かったら、次に増やす。
少し強かったら、次に減らす。
そのくらいで大丈夫です。
「一回で正解を出さなければ」
と思うほど、作ること自体が重たくなります。
〜情報を集めすぎると、かえって動けなくなることがあります〜
インターネット。
本。
SNS。
動画。
ハーブについて調べれば、たくさんの情報があります。
使い方。
量。
組み合わせ。
育て方。
保存方法。
知ることは楽しいものです。
けれど、情報が増えすぎると、
「この方法で本当にいいのかな」
と迷うこともあります。
調べることばかり増えて、作るところまでたどり着かない。
そんなこともあります。
ある程度分かったら、一度作ってみる。
実際に焼いて食べることで分かることもたくさんあります。
〜難しいお菓子から始めると、ハーブ以前に大変になります〜
ハーブスイーツに挑戦するからといって、特別なお菓子を作らなくても構いません。
いきなり難しいケーキ。
複雑なクリーム。
たくさんの工程。
そこへさらにハーブ。
これでは、考えることが増えてしまいます。
まずはクッキー。
スコーン。
マフィン。
作り慣れた焼き菓子。
その中に食用のハーブを少し加える。
そのくらいから始めるほうが、続けやすくなります。
〜作るたびに材料を買うと、少し面倒になります〜
ハーブスイーツを作るたびに、
あのハーブを買って。
この果物を買って。
このナッツも必要。
となると、準備だけでも大変です。
「買い物へ行かないと作れない」
状態になると、気軽さがなくなってしまいます。
家にある材料。
いつもの小麦粉。
バター。
砂糖。
そこへ、手元にあるハーブ。
それくらいで作れるものを持っておくと、ずっと楽になります。
〜使い切れないハーブが増えると負担になります〜
興味を持つと、いろいろなハーブを買いたくなります。
でも、一度に使う量はそれほど多くありません。
すると、
「これ、まだ残っているな」
という袋が増えていくことがあります。
使わなければ。
早く減らさなければ。
そんな気持ちになると、楽しみだった材料が負担になってしまいます。
少量の商品を選ぶ。
よく使うものだけ持つ。
なくなったら次を買う。
それくらいでも十分です。
〜ハーブを育てることまで全部しようとすると大変です〜
ハーブスイーツに興味を持つと、
「せっかくなら自分で育てよう」
と思うこともあります。
もちろん、育てることは楽しいものです。
でも、
種をまく。
水をやる。
剪定する。
収穫する。
保存する。
そしてお菓子を作る。
全部を一度に始めると、やることはかなり増えます。
市販の食用ドライハーブを使うだけでも、ハーブスイーツは楽しめます。
育てることと作ることは、別々に考えてもよいのです。
〜「毎週作る」と決めすぎると、予定になってしまいます〜
習慣にするために、
「毎週日曜日に作ろう」
と決めることがあります。
それが合う人もいます。
でも、忙しい日曜日もあります。
疲れている日もあります。
予定が変わることもあります。
一度できないと、
「続かなかった」
と感じてしまう。
それでは少しもったいないものです。
毎週でなくても。
月に一度でも。
季節に一度でも。
思い出したときでも。
続く形は、人それぞれです。
〜作らない時期があっても、終わったわけではありません〜
一か月作らなかった。
半年作らなかった。
それでも、
「もう続いていない」
と決めなくてもよいと思います。
春になってカモミールを見たとき、
「久しぶりに焼こうかな」
と思うかもしれません。
秋になってオーブンを使いたくなるかもしれません。
趣味には、休む時期があってもよいのです。
戻りたくなったときに戻れる。
そのくらいの関係のほうが、長く残ることもあります。
〜季節によって作りたい気持ちが変わるのは自然です〜
真夏の暑い日に、長時間オーブンを使いたくない。
冬になると焼き菓子が食べたくなる。
そんなことがあります。
ハーブスイーツも、一年中同じペースで作る必要はありません。
夏はミントを飲み物で楽しむ。
秋になったら焼き菓子へ。
冬はドライハーブ。
春になったらまたフレッシュハーブ。
季節に合わせて楽しみ方を変えることもできます。
〜誰かのペースと比べると、続けにくくなります〜
SNSなどを見ると、
毎日のようにお菓子を作っている人。
たくさんのハーブを育てている人。
美しい写真を投稿している人。
いろいろな人がいます。
それを見て、
「私は全然できていない」
と思うことがあります。
でも、その人と自分では暮らしが違います。
時間も違います。
目的も違います。
自分は月に一回。
それでも十分です。
〜写真を撮ることまでセットにすると負担になることもあります〜
作ったら写真を撮る。
きれいに盛り付ける。
背景を整える。
投稿する。
そういう楽しみ方もあります。
でも、それが負担になることもあります。
今日は写真なし。
焼いて、そのまま食べる。
「おいしかった」
で終わる。
そんなお菓子があってもよいのです。
記録しない時間も、ちゃんと楽しんだ時間です。
〜「人に見せられるもの」を作ろうとするとハードルが上がります〜
自宅で食べるだけなら、形が少しくらい違っても構いません。
ところが、
誰かに見せる。
誰かへ渡す。
写真を撮る。
となると、急にきれいに作りたくなります。
形をそろえる。
焼き色をそろえる。
飾りも考える。
それが楽しいときはよいのですが、毎回だと疲れることもあります。
自分だけで食べる、少し不格好なクッキーの日も残しておきたいものです。
〜家族があまり食べないと、作る機会が減ることがあります〜
自分はハーブスイーツが好き。
でも、家族はプレーンなお菓子のほうが好き。
そういう家庭もあります。
すると、
「誰も食べないから作りにくい」
となることがあります。
そんな場合は、生地を分けてもよいでしょう。
半分はプレーン。
半分だけカモミール。
自分の分だけハーブ入り。
全員に好きになってもらう必要はありません。
〜一度の失敗で、苦手意識が残ることがあります〜
最初に作ったローズマリーのクッキー。
香りが強すぎた。
少し苦かった。
すると、
「やっぱりハーブスイーツは難しい」
と思うことがあります。
でも、それはハーブスイーツ全体の失敗ではありません。
その一回の量が少し合わなかっただけかもしれません。
次は半分。
違うハーブ。
違うお菓子。
一度の仕上がりだけで全部を決めなくても大丈夫です。
〜成功したレシピを繰り返さないのも、続かない理由になります〜
おいしいクッキーができた。
でも、
「次は別のものを作らないと」
と思ってしまう。
少しもったいないことです。
気に入ったなら、また同じものを作ればよいのです。
二回目。
三回目。
何度も作るうちに、手順も楽になります。
材料をそろえる迷いも減ります。
「これなら作れる」という定番がひとつあるだけで、続けやすさは大きく変わります。
〜定番があると、戻りやすくなります〜
しばらくハーブスイーツを作っていなかった。
そんなときに、
難しい新作を一から考えるのは少し大変です。
でも、
「いつものカモミールクッキー」
があれば気軽です。
材料も知っている。
作り方も知っている。
香りも分かる。
久しぶりでも戻りやすい。
定番は、続けるための小さな居場所になります。
〜「学ばなければ作れない」と思うと遠く感じます〜
ハーブについて知ることは、とても楽しいものです。
でも、
「もっと勉強してからでないと作れない」
と思うと、いつまでも始めにくくなります。
もちろん、安全に使うための基本的な知識は大切です。
食用として適切なハーブを選ぶ。
使い方を確認する。
そのうえで、簡単なお菓子を作ってみる。
作ることと学ぶことを同時に進めてもよいのです。
〜学ぶこと自体が負担になったら、一度作るだけでもいい〜
知識を増やす。
ノートを作る。
組み合わせを覚える。
それも楽しいものです。
でも、今日はそこまでしたくない。
そんな日もあります。
食用のローズマリーを少し刻んで、いつものスコーンへ。
それだけでいい。
毎回「学習」にしなくても、ハーブスイーツは楽しめます。
目的を大きくしすぎると続けにくくなります
趣味として始めたのに、
もっと上手になりたい。
資格を取りたい。
誰かに教えたい。
販売してみたい。
いろいろな可能性が見えてくることがあります。
それ自体は素敵なことです。
でも、すべてを目指す必要はありません。
最初の、
「この香りのお菓子を作ってみたい」
という気持ちだけでも十分です。
目的は途中で変わっても構いません。
〜「何のために始めたのか」を思い出してみる〜
続けにくくなったときには、
最初に何が楽しかったのかを思い出してみます。
ハーブの香りが好きだった。
お菓子作りが好きだった。
庭のハーブを使いたかった。
家族と食べたかった。
新しい組み合わせを知りたかった。
そこへ戻ってみる。
難しいことを増やしすぎていたなら、少し減らします。
〜続けるためには「足す」より「減らす」が役立つことがあります〜
続かないと、
もっと頑張ろう。
新しいレシピを探そう。
新しい道具を買おう。
と思うことがあります。
でも、逆かもしれません。
ハーブを減らす。
作る回数を減らす。
材料を減らす。
工程を減らす。
目標を減らす。
すると、また作りやすくなることがあります。
〜ひとつのハーブ、ひとつのお菓子でも十分です〜
たとえば、
カモミールとクッキー。
それだけ。
何度も作る。
少し量を変える。
果物を一度だけ合わせてみる。
またプレーンなカモミールクッキーへ戻る。
そんな楽しみ方でも、ハーブスイーツは十分に深くなります。
広げることだけが、楽しみ方ではありません。
〜続く形は、人によって違います〜
毎週作る人。
月に一度作る人。
季節ごとに作る人。
庭のハーブが育ったときだけ作る人。
気が向いたときだけ作る人。
どれも続け方です。
「毎日やっている人だけが続けている」
わけではありません。
〜休めるものほど、長く好きでいられることがあります〜
趣味は、義務ではありません。
疲れているなら休む。
忙しいなら作らない。
違うことが楽しい時期なら、そちらを楽しむ。
そして、
「また焼きたいな」
と思ったら戻ってくる。
戻れる余白があるからこそ、嫌いにならずに済むこともあります。
〜ハーブスイーツが続かない理由は「好きではない」だけではありません〜
ハーブスイーツを作らなくなったとき、
「飽きた」
「向いていなかった」
と考えることがあります。
でも、実際には、
準備が多かった。
種類を増やしすぎた。
新しいレシピばかり探していた。
上達を求めすぎた。
忙しい時期だった。
ただ少し休みたかった。
そんな理由かもしれません。
続かなかったことを、自分の性格の問題にしなくてもよいのです。
〜続けることより「また戻れること」を大切に〜
ハーブスイーツを長く楽しむために、毎回きちんと続ける必要はありません。
今日は作る。
しばらく作らない。
季節が変わる。
庭のローズマリーが伸びる。
「あ、久しぶりに焼こうかな」
と思う。
台所へ持ち帰る。
葉を少し刻む。
いつもの生地へ混ぜる。
オーブンから、またあの香りがしてくる。
それで十分です。
途切れず続くことだけが、続けることではありません。
何度離れても、
「また作りたい」
と思ったときに戻ってこられる。
そんな関係もあります。
ハーブをたくさん持たなくても。
毎週作らなくても。
難しいお菓子へ進まなくても。
好きな香りをひとつ。
作り慣れたお菓子をひとつ。
暮らしに余裕のある日に、気軽に焼いてみる。
続けるために何かを増やすのではなく、続けにくくしているものを少し減らしてみる。
そうすると、ハーブスイーツはまた、最初に感じたような小さな楽しみに戻っていくのかもしれません。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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