「ハーブスイーツと薬膳スイーツって、似ているものですか?」
そんな疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
どちらも植物を使うことがあります。
季節の素材を取り入れることもあります。
自然や暮らしと結びついた印象もあります。
そのため、名前だけを見ると、
「同じようなお菓子なのかな」
と思うことがあります。
けれど、ハーブスイーツと薬膳スイーツでは、中心にある考え方が少し違います。
簡単にいうと、
ハーブスイーツは、食用のハーブをお菓子へ取り入れ、その香りや風味、組み合わせを楽しむもの。
薬膳スイーツは、一般に薬膳の考え方をもとに、季節や食材の特徴などを考えながら作られるお菓子です。
今回は、この二つの違いと重なる部分について、やさしく整理してみたいと思います。
〜ハーブスイーツは「ハーブをお菓子として楽しむ」ことが中心です〜
まず、ハーブスイーツから考えてみましょう。
ハーブスイーツでは、
カモミール。
ローズマリー。
ミント。
ローズ。
レモンバーム。
レモンタイム。
エルダーフラワー。
など、食用として使えるハーブをお菓子へ取り入れます。
たとえば、
カモミールのクッキー。
ローズマリーのスコーン。
ミントとチョコレートの焼き菓子。
ローズとベリーのケーキ。
そんな楽しみ方があります。
中心にあるのは、
「このハーブの香りを、お菓子の中でどう活かそう」
という考え方です。
〜ハーブスイーツでは、香りが大切な材料になります〜
普通のお菓子作りでも、
バニラ。
チョコレート。
紅茶。
コーヒー。
柑橘。
スパイス。
さまざまな香りを使います。
ハーブスイーツでは、そこへハーブという選択肢が加わります。
ローズマリーなら清々しく。
カモミールなら穏やかに。
ミントなら爽やかに。
ローズなら華やかに。
同じクッキーやマフィンでも、使うハーブによって印象が変わります。
その香りの違いを楽しむことが、ハーブスイーツの大きな魅力です。
〜薬膳スイーツは「薬膳の考え方」が中心になります〜
一方、薬膳スイーツでは、単に植物を使っていることだけがポイントではありません。
薬膳は、中国の伝統的な食養生の考え方を背景に、季節や食材の特徴、その人の状態などを見ながら食事を考えていくものです。
薬膳スイーツも、その考え方をお菓子へ取り入れたものとして作られることがあります。
たとえば、
季節に合わせて素材を選ぶ。
食材同士の組み合わせを考える。
日々の食生活の一部として楽しむ。
そうした視点があります。
つまり、薬膳スイーツでは、
「なぜこの素材を、この季節に組み合わせるのか」
という考え方が大きな意味を持ちます。
〜薬膳スイーツだから「薬」が入っているわけではありません〜
「薬膳」という言葉を見ると、
「薬のようなものが入ったお菓子なの?」
と思うことがあるかもしれません。
けれど、薬膳は必ずしも特別な薬のような材料だけで作るものではありません。
身近な食材が使われることもあります。
果物。
豆。
穀類。
木の実。
ごま。
生姜。
なつめ。
クコの実。
そのほか、普段の食卓でも見かける素材があります。
大切なのは、珍しいものを使うことではなく、薬膳の考え方の中で素材を見ていくことです。
〜ハーブスイーツは、薬膳の考え方を知らなくても楽しめます〜
ハーブスイーツを作るために、薬膳の知識が必ず必要というわけではありません。
たとえば、
ローズマリーとレモンが好きだからスコーンにする。
カモミールとりんごの香りが好きだからマフィンにする。
ミントとチョコレートを合わせる。
それだけでも十分にハーブスイーツです。
香り。
味。
食感。
見た目。
季節感。
そうしたお菓子としての楽しさから入ることができます。
〜薬膳スイーツには、ハーブが入っていないこともあります〜
薬膳スイーツだからといって、必ずハーブを使うわけではありません。
黒ごま。
小豆。
なつめ。
クコの実。
くるみ。
生姜。
果物。
穀類。
さまざまな素材が使われます。
そのため、ハーブがひとつも入っていない薬膳スイーツもあります。
つまり、
ハーブスイーツは「ハーブという素材」がひとつの軸。
薬膳スイーツは「薬膳という考え方」が軸。
と整理すると分かりやすくなります。
〜もちろん、両方が重なることもあります〜
二つは別のものですが、重なることもあります。
薬膳の考え方から素材を選び、そこへ食用ハーブを組み合わせる。
そんなお菓子なら、
ハーブスイーツとして楽しみながら、薬膳的な考え方も取り入れることができます。
どちらか一方しか選べないわけではありません。
ひとつのお菓子に、複数の考え方が重なることもあります。
〜「季節を楽しむ」というところでは似ています〜
ハーブスイーツと薬膳スイーツには、似ている部分もあります。
そのひとつが、季節です。
ハーブスイーツでも、
春にはカモミール。
夏にはミントやレモン系のハーブ。
秋には果物とローズマリー。
冬にはチョコレートと香りのあるハーブ。
そんなふうに季節からお菓子を考えることがあります。
薬膳でも、季節は大切な視点のひとつになります。
ただし、季節を見る理由や考え方は必ずしも同じではありません。
似ているようで、背景にある考え方は少し違います。
〜ハーブスイーツでは「おいしい組み合わせ」から考えることも多い〜
ハーブスイーツを考えるとき、
「この香りと何が合うかな」
というところから始めることがあります。
カモミールとりんご。
ローズマリーとオレンジ。
ミントとチョコレート。
ローズとベリー。
レモンバームと柑橘。
香り同士の相性。
甘さとのバランス。
焼いたあとの余韻。
お菓子として心地よい組み合わせを探します。
「食べておいしい」
というところは、とても大切です。
〜薬膳スイーツでは、素材を選ぶ理由にも目を向けます〜
薬膳スイーツでは、
「おいしいから」
だけではなく、
「なぜ、この素材を選ぶのか」
という考え方にも目を向けます。
季節。
食材の特徴。
組み合わせ。
その人の暮らしや状態。
そうしたものを背景にして材料を考えることがあります。
そのため、同じ材料を使ったお菓子でも、作り手がどんな考え方で組み立てたのかによって、薬膳スイーツとしての意味合いが変わります。
〜どちらも「健康食品」と決めつけないことが大切です〜
ハーブスイーツにも薬膳スイーツにも、
「身体によさそう」
というイメージを持つことがあります。
けれど、お菓子である以上、
砂糖。
油脂。
小麦。
果物。
そのほかさまざまな材料が使われます。
ハーブが入っているから、どれだけ食べてもよい。
薬膳という名前だから、必ず健康によい。
そう単純に考えることはできません。どちらも、まずは食品として適切に楽しむことが大切です。
〜ハーブスイーツは、何かを治すためのお菓子ではありません〜
ハーブには古くからさまざまな利用の歴史があります。
けれど、ハーブスイーツでは、
「これを食べれば体調がよくなる」
「このお菓子で何かが治る」
という考え方ではなく、
香り。
風味。
素材との組み合わせ。
季節の楽しさ。
そうしたものをお菓子として味わいます。
カモミールの香りが好き。
ローズマリーとバターがおいしい。
ミントとチョコレートの組み合わせが楽しい。
そんな素直なところから楽しむことができます。
〜薬膳も、医療そのものとは分けて考えます〜
薬膳という言葉には「薬」という文字がありますが、日々の食事として取り入れる考え方と、病気の診断や治療とは別のものです。
体調に不安がある場合や、治療が必要な場合には、食べ物だけで判断せず、適切な医療につなげることが大切です。
薬膳スイーツも、あくまで食べ物です。
食べる楽しさや日々の食生活の中で取り入れるものとして考えると分かりやすいでしょう。
〜食用として安全な素材を使うことは、どちらにも共通します〜
ハーブスイーツでも薬膳スイーツでも、食品として適切な材料を選ぶことが基本です。
植物だから食べられる。
昔から使われているから安全。
そう決めつけることはできません。
ハーブなら、食用として販売・栽培されているものを使う。
初めて扱う素材なら、食品としての使い方を確認する。
必要に応じて使用量や注意点も確認する。
「自然なものだから大丈夫」ではなく、食品として丁寧に扱うことが大切です。
〜普通の焼き菓子から始められるのがハーブスイーツの身近さ〜
ハーブスイーツは、いつものお菓子から始めることができます。
普段作っているクッキーに、少量のカモミール。
スコーンにローズマリー。
マフィンにミント。
パウンドケーキにレモン系のハーブ。
特別な製法に変えなくても、
「いつものお菓子+ひとつのハーブ」
から楽しめます。
初めての方にも入りやすいところです。
〜薬膳スイーツは、食材を見る視点を広げてくれます〜
一方、薬膳を学ぶと、
「この食材には、どんな考え方があるのだろう」
と素材を見る視点が増えていきます。
普段何気なく使っていた果物や穀物。
木の実や豆類。
季節の食材。
そうしたものを違う角度から見ることができます。
ハーブスイーツが香りの世界を広げてくれるとすれば、薬膳スイーツは、食材を見る考え方を広げてくれる。
そんな違いとして捉えることもできます。
〜「自然」「植物」という印象だけで同じものにしない〜
ハーブスイーツと薬膳スイーツには、共通する素材が使われることがあります。
植物を使う。
季節を意識する。
暮らしの中で楽しむ。
似ている部分があります。
けれど、
植物を使うから薬膳。
身体によさそうだからハーブスイーツ。
というわけではありません。
名前ではなく、
「何を中心に考えて作っているお菓子なのか」
を見ると違いが分かりやすくなります。どちらが上というものではありません
ハーブスイーツと薬膳スイーツ。
どちらが優れているという関係ではありません。
香りの組み合わせを楽しみたい。
薬膳の考え方から食材を学びたい。
両方を取り入れたい。
それぞれでよいのです。
目的が違えば、学ぶことも変わります。
そして、興味が広がって途中から両方を楽しむようになっても構いません。
違いを簡単に整理すると
ハーブスイーツは、
「食用のハーブをお菓子に取り入れ、その香りや風味、素材との組み合わせを楽しむもの」。
薬膳スイーツは、
「薬膳の考え方をもとに、季節や食材の特徴、組み合わせなどを考えて作られるお菓子」。
と整理できます。
つまり、ハーブスイーツでは「ハーブという素材と香り」が中心。
薬膳スイーツでは「薬膳という考え方」が中心。
ここが、大きな違いです。
そして、ひとつのお菓子が両方の特徴を持つこともあります。
〜違いが分かると、それぞれの楽しさも見えてきます〜
ハーブスイーツと薬膳スイーツ。
最初は似たものに感じるかもしれません。けれど、その入口は少し違います。
ハーブスイーツなら、
「この香り、お菓子にしたらどうなるだろう」
から始められます。
薬膳スイーツなら、
「この季節に、この素材をどう考えるのだろう」
というところから始まることがあります。
どちらも、食べることや作ることを少し深く見せてくれる世界です。
そして、ときにはその二つが重なることもあります。
大切なのは、言葉の印象だけで分けることではなく、
「自分は、何を楽しみたいのかな」
と考えること。
香りを楽しみたい日。
季節の食材について考えてみたい日。
いつもの焼き菓子にハーブをひとつ加えたい日。
それぞれの入口から、自分に合ったお菓子の世界をゆっくり楽しんでいけばよいのだと思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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