何かを長く好きでいると、あるとき、
「もう少し、この好きな気持ちを形にしてみたいな」
と思うことがあります。
ハーブが好き。
お菓子作りが好き。
ハーブの香りとお菓子を組み合わせる時間が好き。
家族に食べてもらうのが好き。
季節の中で、そのときの香りを選ぶことが好き。
最初はただ楽しんでいただけだったものが、少しずつ自分の中で大きくなっていく。
すると、
もっと知りたい。
もっと上手になりたい。
誰かに伝えてみたい。
自分らしい形にしてみたい。
そんな気持ちが生まれることがあります。
では、「好き」を形にするときには、何が必要なのでしょうか。
今回は、ハーブスイーツをひとつの例にしながら、やさしく考えてみたいと思います。
〜まず、「好き」はそれだけで十分です〜
何かを形にしたいと思ったとき、
「もっと詳しくなければ」
「資格がなければ」
「人に見せられるくらい上手でなければ」
と考えることがあります。
けれど、最初の出発点はもっとシンプルです。
「これが好き」
まずは、それで十分です。
好きだから何度も作る。
好きだから調べる。
好きだから、少しずつ詳しくなる。
好きだから、失敗してもまた試してみたくなる。
そうした時間の積み重ねが、あとから知識や経験になっていきます。
最初から立派な形を持っていなくてもよいのです。
〜「何が好きなのか」を少し言葉にしてみる〜
ひとことで「ハーブスイーツが好き」と言っても、好きな部分は人によって違います。
ハーブそのものの香りが好き。
焼き菓子を作る時間が好き。
素材の組み合わせを考えるのが好き。
庭からハーブを摘んで台所へ持ち帰る時間が好き。
家族と一緒に食べる時間が好き。
新しいレシピを考えるのが好き。
人に教えることが好き。
文章や写真で紹介するのが好き。
少しずつ言葉にしてみると、
「自分は、ここが好きなんだな」
という輪郭が見えてきます。
この輪郭は、「好き」を形にするときの大切な手がかりになります。
〜形にするというのは、仕事にすることだけではありません〜
「好きなことを形にする」と聞くと、仕事や起業を思い浮かべるかもしれません。
でも、形はそれだけではありません。
自分だけのレシピ帳を作る。
季節のお菓子を記録する。
家族のための定番のお菓子を持つ。
写真を残す。
ブログを書く。
誰かに作り方を伝える。
教室を開く。
資格を取得する。
販売する。
ひとつのテーマを長く学び続ける。
どれも、ひとつの形です。
大切なのは、「形にするなら大きくしなければ」と思わないこと。
自分にとって意味のある形なら、それで十分です。
〜まずは繰り返してみる〜
好きなものを形にしていくとき、大切なのが繰り返すことです。
一度作って終わりではなく、もう一度作ってみる。
同じカモミールのクッキーを何度か焼く。
ローズマリーのスコーンを少しずつ調整する。
同じマフィンに、違うハーブを合わせてみる。
繰り返していると、
「私はこのくらいの香りが好き」
「この焼き加減がちょうどいい」
「この組み合わせはまた作りたい」
という自分の基準が生まれてきます。
一回の経験では見えなかったものが、繰り返すことで少しずつ見えてきます。
〜「自分なりの基準」が形を作っていきます〜
誰かのレシピをそのまま作ることも、大切な学びです。
けれど、長く続けていると、少しずつ自分の好みが出てきます。
甘さはこのくらい。
ハーブは強すぎないほうが好き。
果物は少し酸味があるほうがよい。
焼き菓子は、まだ温かいうちに食べたときの香りを大切にしたい。
そんな小さな基準です。
これは、誰かに教えてもらうものではありません。
作って。
食べて。
考えて。
また作る。
その繰り返しの中で育っていきます。
「私はこういうものが好き」
と言えるようになることも、「好き」が形になり始めた証のひとつです。
〜知識は「好き」を支えてくれます〜
好きという気持ちは、とても大切です。
けれど、もう少し深く楽しみたいと思ったときには、知識も助けになります。
ハーブの特徴。
香りの違い。
ドライとフレッシュの使い分け。
製菓材料の役割。
焼成による変化。
相性のよい素材。
こうしたことを知ると、今まで感覚だけで作っていたものに、
「なるほど、だからこうなるのか」
という理解が加わります。
知識は、好きな気持ちを難しくするためにあるのではありません。
むしろ、好きなものをもっと自由に楽しむための土台になります。
〜技術も、少しずつ積み重ねればいい〜
形にしたいと思うと、
「もっと上手にならなければ」
と急いでしまうことがあります。
けれど、技術は一度に身につくものではありません。
きれいに混ぜられるようになる。
生地の状態が分かるようになる。
焼き上がりの見極めができるようになる。
ハーブの量を調整できるようになる。
少しずつです。
そして、すべてのお菓子を作れるようになる必要もありません。
クッキーが得意。
スコーンが好き。
マフィンをよく作る。
ひとつの分野を深く楽しむことも、十分に立派な形になります。
〜記録しておくと、「好き」が見えるようになります〜
形にしていくうえで役立つのが、記録です。
今日作ったもの。
使ったハーブ。
組み合わせた素材。
香りの印象。
うまくいったこと。
次に変えたいこと。
大げさな記録でなくても構いません。
ノートに一行。
スマートフォンに写真を一枚。
レシピの余白に小さなメモ。
それだけでも十分です。
半年後、一年後に振り返ると、
「ずいぶんいろいろ作ったな」
と気づくことがあります。
自分では気づかなかった積み重ねが、記録には残っています。
〜誰かに伝えると、輪郭がさらに見えてきます〜
自分だけで楽しんでいたものを、誰かに話してみる。
これも、「好き」を形にする方法のひとつです。
「私はカモミールとりんごを合わせるのが好きなんです」
「ローズマリーは強くしすぎないほうがおいしいと思っています」
そんなふうに話してみると、自分が何を大切にしているのかが分かってきます。
文章にするのも同じです。
人へ説明しようとすると、
「なぜ私はこれが好きなんだろう」
と考えるようになります。
伝えることは、相手のためだけではありません。
自分自身の考えを知るための時間にもなります。
〜誰に届けたいのかを考えてみる〜
もし「好き」を少し外へ届けてみたいと思ったら、
「誰に届けたいのだろう」
と考えてみます。
家庭で気軽にお菓子を楽しみたい人。
ハーブに興味を持ち始めた人。
子どもと一緒に作りたい人。
もっと深く学びたい人。
香りのある暮らしを楽しみたい人。
相手が少し見えてくると、届け方も変わります。
難しい知識を伝えるのか。
気軽な楽しみ方を伝えるのか。
お菓子そのものを届けるのか。
作り方を伝えるのか。
「誰に」という視点が加わることで、好きなことが少しずつ具体的な形になっていきます。
〜小さく外へ出してみる〜
形にしたいと思っても、最初から大きく始める必要はありません。
作ったお菓子を家族に食べてもらう。
友人に感想を聞く。
一枚の写真を残す。
短い文章を書いてみる。
誰かと一緒に作ってみる。
そんな小さなことからでも十分です。
自分の中だけにあった「好き」を少し外へ出してみると、初めて分かることがあります。
「人に伝えるのが楽しい」
「私は作るほうが好きみたい」
「もっと勉強してみたい」
「これは趣味のまま大切にしたい」
どんな気づきも、次の方向を教えてくれます。
〜「好き」と「得意」は同じでなくてもいい〜
好きだけれど、まだ上手ではない。
そんなこともあります。
反対に、上手にできるけれど、それほど好きではないこともあります。
形にするなら、
「好きで、しかも得意でなければならない」
と思う必要はありません。
好きだから続けているうちに、少しずつ得意になることもあります。
好きだからこそ、長く向き合える。
それ自体が大きな力になります。
すぐに結果を出そうとしなくてもいい
何かを形にしようとすると、
「いつまでに完成させるか」
「どのくらい評価されるか」
「仕事になるか」
と結果を急ぎたくなることがあります。
けれど、好きなものほど、ゆっくり育ててもよいと思います。
一年かけて知る。
何度も作る。
季節が一巡する。
また同じハーブを使う。
そうしているうちに、少しずつ自分の中に蓄積されていきます。
急いで形にしたものより、長い時間をかけて自然に輪郭ができるものもあります。
〜何を足すかだけでなく、何を大切にするか〜
形にしようと思うと、つい足し算をしたくなります。
もっと資格を。
もっと道具を。
もっと種類を。
もっと発信を。
もっと経験を。
もちろん、必要なものはあります。
けれど、
「私は何を大切にしたいのか」
を忘れないことも大切です。
ハーブの香りを丁寧に扱いたい。
家庭で楽しめるお菓子を大切にしたい。
誰かを急かすような伝え方はしたくない。
季節を感じられるものを作りたい。
そんな自分の軸です。
形が大きくなっても、最初に好きだった理由を残しておく。
それが、自分らしい活動につながります。
〜学ぶことも、形にするためのひとつの方法です〜
好きなものをもっと深く知りたいと思ったら、学ぶこともできます。
独学で少しずつ調べる。
本を読む。
何度も作る。
体系的な講座で学ぶ。
資格取得を目指す。
方法はいろいろあります。
どの方法が正しいということではありません。
大切なのは、
「何のために学びたいのか」
です。
もっと上手に作りたい。
基本を整理したい。
自分で組み合わせを考えたい。
誰かに伝えられるようになりたい。
目的が見えてくると、自分に必要な学びも選びやすくなります。
〜仕事にするなら、責任も形の一部になります〜
もし「好き」を仕事へつなげたいと思ったら、楽しさだけではなく責任も加わります。
販売するなら、食品を安心して届けるための衛生管理や必要なルールを確認する。
人に教えるなら、分かりやすく正確に伝える。
お金をいただくなら、その価値に向き合う。
約束をしたら守る。
こうしたことも含めて、ひとつの形になります。
仕事にすることは、好きな気持ちを失うことではありません。
ただ、
「自分が楽しむ」
だけだったところへ、
「相手に安心して受け取ってもらう」
という視点が加わります。
〜趣味のまま育てることも、ひとつの完成形です〜
一方で、
「私は仕事にしなくていい」
という答えになることもあります。
自宅でゆっくり作りたい。
家族と楽しみたい。
季節のハーブを摘んで、その日に食べるお菓子を焼きたい。
それも、十分に「好き」が形になっています。
仕事にならなければ形ではない。
人に知られなければ意味がない。
そんなことはありません。
暮らしの中に定着することも、ひとつの美しい形です。
〜途中で形が変わっても大丈夫です〜
最初は趣味。
そのうち、もっと学びたくなる。
誰かに教えてみる。
少し仕事として取り組む。
また家庭で楽しむ時間を大切にする。
そんなふうに、形が変わっていくこともあります。
一度決めたら、そのままでいなければならないわけではありません。
好きなものとの関係も、暮らしと一緒に変わっていきます。
今の自分に合う形を選び、また必要になったら変えていけばよいのです。
〜最初に必要なのは、大きな決意ではありません〜
「好き」を形にするとき、何か大きな決断が必要なように感じるかもしれません。
でも、最初はもっと小さくても大丈夫です。
もう一度作ってみる。
少し調べる。
記録を残す。
人に話してみる。
ひとつ学ぶ。
その程度から始まります。
たとえば、休日の午後。
好きなハーブを取り出して、いつものお菓子を焼く。
まだ温かいうちにひと口食べて、
「やっぱり、この香りが好きだな」
と思う。
その気持ちを忘れず、もう一度作る。
そうして続けていくうちに、少しずつ自分だけの形が見えてきます。
〜「好き」が続いた先に、形は生まれていきます〜
好きなものを形にするために必要なのは、特別な才能だけではありません。
自分が何を好きなのか知ること。
繰り返してみること。
少し学ぶこと。
記録すること。
自分なりの基準を育てること。
必要なら誰かに届けてみること。
そして、急がず続けること。
そんな小さな積み重ねです。
最初から完成形を決めなくても大丈夫です。
ハーブをひとつ知る。
お菓子をひとつ焼く。
そこからまた、新しい興味が生まれる。
その繰り返しの中で、
「私は、こんなものを大切にしたい」
というものが少しずつ見えてきます。
好きという気持ちは、すぐに何かへ変えなくてもよいものです。
大切に持ちながら、少しずつ育てていく。
そして、いつか振り返ったとき、
「ちゃんと形になっていたんだな」
と気づく。
そんな育ち方も、とても自然なのだと思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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あなたの普段の日常に、穏やかなハーブの香りと学びを。
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