『「好き」だったお菓子作りが、少しずつ変わっていった話』

2026年04月12日 04:55
日本ハーブスイーツ協会

「好きだからやっている」
そう思っていた頃のお菓子作りは、とても自由でした。

作りたいものを選んで、
気になるレシピを試して、
うまく焼けたらそれだけで嬉しい。
少し形がいびつでも、
焼き色にむらがあっても、
それも含めて楽しい時間でした。

台所に立つことそのものが、
ひとつの気分転換であり、
小さなご褒美のようなものだった気がします。
けれど、続けていくうちに、
少しずつ視点が変わっていきました。
「どうすれば、もう少し安定して焼けるか」
「この配合は、別の素材でも応用できるだろうか」
「誰かに出すなら、どこまで整えた方がいいだろう」
そんなふうに考える時間が、
自然と増えていきます。 

ただ“好きで作る”だけだった時間に、
少しずつ「整える」という感覚が混ざってきました。
人にお出しする機会が増えると、
その変化は、よりはっきりしてきます。

同じものを作っても、
日によって仕上がりが違う理由を考えたり、
季節や湿度による微妙な変化に気づいたり。
「美味しい」だけではなく、
「安心して出せる状態」に整えていく。
そのために手をかける時間は、
思っていたよりも静かで、地道なものでした。

最初は、少し戸惑いもありました。
あれ、
私はもっと気軽に楽しんでいたはずなのに、と。
考えることが増えたぶん、
純粋に手を動かすだけの時間が減ったように感じたり、
うまくいかない時に、ほんの少しだけ重たさを感じたり。

「好き」という気持ちが、
少し形を変えてきたように思えたのです。
でも、続けていく中で、
その感覚も少しずつ変わっていきました。
“好き”がなくなったわけではなく、
その中に、もうひとつの軸が加わっただけだったのだと。
自分のために作る楽しさと、
誰かのために整えていく時間。
そのどちらもが、
同じ場所に重なって存在している。

仕事として関わるようになると、
お菓子作りは少しだけ責任を帯びます。
けれど同時に、
「誰かの時間の中に、自分のお菓子が置かれる」という
静かな喜びも生まれてきます。
お茶の時間にそっと添えられたり、
誰かの一日の中で、ほんの少し気持ちをゆるめたり。

そういう場面を想像しながら作るお菓子は、
以前とはまた違った意味で、手に残るものになります。
今では、
気ままに作る時間も、
少し整えて仕上げる時間も、
どちらも自然に行き来しています。
どちらか一方ではなく、
その両方があることで、
お菓子作りはゆっくりと深まっていくように感じています。

もし、
「好きだったはずなのに、少し変わってきた」と感じることがあっても、
それは何かが失われたのではなく、
何かが増えている途中なのかもしれません。
楽しさに加えて、
経験や工夫や、誰かを思う時間が重なっていく。
その変化もまた、
お菓子作りの一部なのだと思います。


日本ハーブスイーツ協会
白水


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