ハーブをお菓子に使ってみると、
「甘いものと、意外によく合う」
と感じることがあります。
料理では、塩気のある食材と合わせることの多いローズマリー。
ハーブティーの印象が強いカモミール。
爽やかな香りのミント。
こうしたハーブも、砂糖や焼き菓子と組み合わせると、また違った表情を見せてくれます。
では、なぜハーブと砂糖は相性がよいのでしょうか。
もちろん、すべてのハーブと砂糖を合わせれば必ずおいしくなる、というわけではありません。
けれど、ハーブの持つ香りやほろ苦さ、青々しさと、砂糖の甘さには、お互いを引き立て合う関係があります。
今回は、ハーブスイーツを楽しむうえで知っておきたい「ハーブと砂糖の相性」について、やさしくお話しします。
〜砂糖は、ハーブの香りを受け止めてくれます〜
ハーブには、それぞれ個性的な香りがあります。
カモミールなら、やわらかく甘い印象。
ローズマリーなら、きりっとした青々しさ。
ミントなら、すっと抜ける爽やかさ。
ローズなら、華やかな香り。
こうした香りは、そのままでは少し強く感じられることもあります。
そこに砂糖の甘さが加わると、香りの輪郭がやわらかく感じられることがあります。
香りを消すのではなく、受け止める。
そんな役割を砂糖がしてくれるのです。
ハーブだけでは少し尖って感じられた香りが、甘さと一緒になることで、お菓子としてなじみやすくなる。
これが、ハーブと砂糖が相性よく感じられる理由のひとつです。
〜ほろ苦さや青さも、甘さと合わさると表情が変わります〜
ハーブによっては、香りだけでなく、少し苦味や青さを感じるものもあります。
その個性も、砂糖と組み合わせることで印象が変わります。
たとえば、ほんの少し苦味を持つハーブに甘さが加わると、単純に「苦い」と感じるのではなく、味に奥行きとして感じられることがあります。
青々しい香りも同じです。
砂糖やバター、小麦などと一緒になることで、
「青臭い」
ではなく、
「爽やか」
「香りにアクセントがある」
と感じられることがあります。
お菓子作りでは、ひとつの素材だけで味が決まるわけではありません。
甘味。
苦味。
香り。
酸味。
コク。
それぞれが重なって、ひとつの味になります。
ハーブの少し個性的な部分も、砂糖が加わることでお菓子らしい魅力へ変わっていくのです。
〜甘さがあるから、香りの違いを楽しみやすくなることも〜
同じクッキー生地でも、使うハーブを変えると印象は大きく変わります。
カモミールを入れれば、穏やかな香り。
ローズマリーなら、少しきりっとした香り。
ミントなら、爽やかな後味。
砂糖やバター、小麦といった共通の土台があるからこそ、ハーブごとの違いが分かりやすくなることがあります。
これは、ハーブスイーツのおもしろいところです。
同じ焼き菓子を作りながら、
「今日はカモミール」
「次はローズマリー」
と変えてみる。
すると、砂糖の甘さは同じでも、香りによってお菓子全体の雰囲気が変わります。
ハーブを知る入口としても、焼き菓子はとても楽しいものです。
〜砂糖そのものに香りをなじませる方法もあります〜
ハーブと砂糖は、生地の中で一緒になるだけではありません。
砂糖そのものへ香りをなじませて使うこともできます。
たとえば、食用のドライハーブを細かくして砂糖と合わせる。
種類によっては、乾燥させたハーブと砂糖を一緒に保存し、香りを移して楽しむ方法もあります。
そうして作った砂糖を、
クッキー。
スコーン。
ケーキ。
飲み物。
仕上げのトッピング。
などに使うこともできます。
ハーブを直接たくさん入れなくても、砂糖を通して香りを取り入れられる。
これも、ハーブと砂糖の組み合わせならではの楽しみ方です。
〜花の香りは、甘さと合わせるとお菓子らしくなります〜
ハーブの中には、花を使うものもあります。
たとえばカモミール。
ローズ。
エルダーフラワー。
カレンデュラ。
花の香りは華やかですが、種類によっては、そのままだと少し香りが強く感じられることがあります。
ところが、砂糖やバター、果物などと合わせると、お菓子として受け入れやすい香りになります。
ローズとベリー。
カモミールとりんご。
エルダーフラワーと柑橘。
こうした組み合わせでは、甘さが花の香りをやわらかく包みます。
「花を食べる」という少し珍しい感覚も、お菓子になるとぐっと身近になります。
〜果物の甘酸っぱさが加わると、さらにまとまりやすくなります
〜
ハーブと砂糖の間に、果物を加えるのもおすすめです。
果物には、甘味だけでなく酸味や香りがあります。
そのため、
ハーブ。
砂糖。
果物。
この三つが合わさることで、味のバランスを取りやすくなります。
たとえば、
カモミールとりんご。
ローズといちご。
ローズマリーとオレンジ。
ミントとレモン。
レモンバームとベリー。
砂糖の甘さだけではなく、果物の酸味が入ることで、ハーブの香りがより軽やかに感じられることもあります。
ハーブスイーツを初めて作るなら、好きな果物と組み合わせてみるのもよいでしょう。
〜バターや乳製品も、香りをつなぐ存在です〜
焼き菓子では、砂糖だけでなくバターや牛乳、生クリームなどもよく使います。
こうした素材にはコクがあり、ハーブの香りをお菓子全体へなじませる役割もあります。
たとえば、ローズマリーを砂糖だけと合わせたときには少し強く感じても、バターのコクが加わると丸みのある味わいになることがあります。
カモミールを牛乳や生クリームへ香らせれば、やわらかな風味のクリームにすることもできます。
ハーブと砂糖の相性を考えるときには、
「甘さだけで整える」
というより、
「お菓子の材料全体の中で香りをなじませる」
と考えると分かりやすくなります。
〜砂糖を増やせばハーブがおいしくなるわけではありません〜
ここで覚えておきたいのが、
「ハーブと砂糖は相性がよいから、甘くすればするほどよい」
ということではない、という点です。
砂糖が多すぎると、今度はハーブの繊細な香りが分かりにくくなることがあります。
大切なのはバランスです。
ハーブの香り。
お菓子の甘さ。
バターや小麦の風味。
果物の酸味。
それぞれが無理なく感じられる場所を探します。
ハーブを強くしすぎない。
砂糖も強くしすぎない。
どちらかを主張させるのではなく、一緒に食べたときに心地よいかどうかを見る。
この感覚は、ハーブスイーツを作るうえでとても大切です。
〜「甘い香り」だけがハーブスイーツではありません〜
ハーブスイーツというと、カモミールやローズのような甘く華やかな香りを想像するかもしれません。
けれど、お菓子に合うのは甘い香りのハーブだけではありません。
ローズマリーのような清々しい香り。
ミントの爽やかさ。
タイムのような少しシャープな香り。
こうした香りも、砂糖や焼き菓子と組み合わせることで魅力になります。
甘いお菓子の中に、少し違った香りがある。
その小さな意外性が、お菓子に深みを与えてくれます。
「このハーブは料理用だから、お菓子には使えない」
と決めつけず、少量から試してみると、新しい組み合わせに出会えるかもしれません。
〜まずは、いつものお菓子に少しだけ〜
ハーブと砂糖の相性を知るために、難しいレシピから始める必要はありません。
いつものクッキー。
いつものスコーン。
いつものマフィン。
そこへ、食用のハーブを少しだけ加えてみる。
焼いている間に、バターや砂糖の甘い香りの中へ、ハーブの香りが混ざっていきます。
オーブンを開けると、いつもとは少し違う香り。
まだ温かいうちにひと口食べてみると、
「あ、ちゃんとなじんでいる」
そんな瞬間があるかもしれません。
〜ハーブと砂糖は、お互いのよさを引き出す組み合わせ〜
ハーブと砂糖が相性よく感じられるのは、砂糖が単に甘さを加えているからだけではありません。
ハーブの香りをやわらかく受け止める。
苦味や青さを、お菓子の味わいとしてなじませる。
果物やバターなど、ほかの素材との間をつなぐ。
そんな役割もあります。
そしてハーブもまた、砂糖の甘さに新しい表情を与えてくれます。
いつもの甘さに、爽やかさ。
華やかさ。
青々しさ。
少しのほろ苦さ。
そうした香りが重なることで、ただ甘いだけではないお菓子になります。
難しく考えず、まずは好きなハーブをひとつ。
いつものお菓子の甘さの中へ、ほんの少し香りを加えてみてください。
砂糖と出会ったときに見えてくるハーブの新しい表情も、ハーブスイーツを作る楽しさのひとつです。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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