ハーブをお菓子に使ってみたいと思ったとき、最初に手に取りやすいのがドライハーブです。
保存しやすく、必要な分だけ使うことができ、季節を問わず楽しめる。
その一方で、
「そのまま生地に入れていいの?」
「どのくらい使えばいい?」
「細かくしたほうがいい?」
「ハーブティー用でも使える?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
ドライハーブは、いくつかの基本を知っておけば、お菓子作りにも取り入れやすい素材です。
今回は、これからハーブスイーツを作ってみたい方へ向けて、ドライハーブをお菓子に使うときの基本的な考え方を、やさしくご紹介します。
〜まずは食品用のドライハーブを選びましょう〜
最初に確認したいのは、そのドライハーブが食用として販売されているものかどうかです。
ハーブティー用や食品用として販売されているものなら、お菓子にも使いやすいでしょう。
一方で、ポプリや観賞用、クラフト用など、食用を目的としていないものは使いません。
同じハーブの名前が書かれていても、用途は商品によって異なります。
まずは表示を確認して、食品として使えるものを選ぶ。
ここが、いちばん基本になります。
〜ドライハーブは香りが凝縮されています〜
フレッシュハーブと比べると、ドライハーブは水分が抜けているため、香りが凝縮して感じられることがあります。
そのため、
「フレッシュハーブと同じ感覚でたくさん入れる」
という使い方はおすすめしません。
とくにローズマリーやミントなど、もともと香りのはっきりしたハーブは、少量でも存在感が出ます。
最初は控えめに使い、焼き上がったものを食べてから次回調整する。
このくらいの進め方が失敗しにくいでしょう。
ハーブスイーツでは、香りを強く出すことよりも、
「お菓子の中で心地よく感じられるか」
を考えることが大切です。
〜そのまま使えるものと、細かくしたほうがよいものがあります〜
ドライハーブは、すべて同じ形をしているわけではありません。
カモミールのように花の形を残しているもの。
ローズマリーのように葉が細く硬めのもの。
ミントやレモンバームのように葉を乾燥させたもの。
それぞれ、大きさや食感が違います。
そのまま生地へ加えても気にならないものもあれば、少し細かくしたほうが食べやすいものもあります。
指先ですりつぶしたり、すり鉢やミルなどを使ったりして、作るお菓子に合わせて大きさを整えます。
大切なのは、
「焼き上がったときに、葉の硬さや大きさが気にならないか」
という視点です。
〜細かくすると、生地になじみやすくなります〜
ドライハーブを細かくするメリットのひとつは、生地全体へ散らばりやすくなることです。
たとえばクッキー生地に大きな葉がそのまま入っていると、一部分だけ香りが強く感じられることがあります。
少し細かくしておけば、生地の中へ均等になじませやすくなります。
また、細かくすることで香りが立ちやすくなることもあります。
ただし、何でも粉末状にすればよいわけではありません。
焼き上がったお菓子に、ほんの少し花や葉の姿が見えるのも、ハーブスイーツらしい表情になります。
香り。
食感。
見た目。
その三つを考えながら、ちょうどよい細かさを探してみてください。
〜生地へ直接混ぜ込む方法〜
ドライハーブのもっとも分かりやすい使い方が、生地へ直接混ぜ込む方法です。
クッキー。
スコーン。
マフィン。
パウンドケーキ。
焼きドーナツ。
こうした焼き菓子なら、細かくしたドライハーブを生地へ混ぜ込むことができます。
初めてなら、作り慣れているお菓子へ少量加えてみるのもおすすめです。
いつもの生地にドライカモミールを少し。
クッキーにローズマリーを少し。
マフィンにミントを少し。
そうすると、普段のお菓子がどのように変わるのかを比較しやすくなります。
〜粉類と一緒に混ぜる方法もあります〜
細かくしたドライハーブは、小麦粉などの粉類へあらかじめ混ぜておくこともできます。
粉の中へ散らしてから生地を作ることで、一か所へ固まりにくくなります。
さらさらと粉へ加えて軽く混ぜると、ハーブの小さな粒が全体へ広がります。
とくにクッキーやスコーン、パウンドケーキなどでは取り入れやすい方法です。
お菓子の種類やレシピによって混ぜるタイミングは変わりますが、
「生地全体へ均等に散らす」
という考え方を覚えておくとよいでしょう。
〜牛乳や生クリームに香りを移す方法〜
ドライハーブは、生地へ直接入れるだけではありません。
牛乳や生クリームなどへ香りを移して使う方法もあります。
温めた液体へドライハーブを加え、しばらく香りを移してから漉す。
ハーブティーを淹れる感覚に少し似ています。
葉や花そのものを残さず、香りだけを取り入れたいときに使いやすい方法です。
プリン。
クリーム。
ムース。
アイスクリーム。
牛乳を使う焼き菓子。
さまざまなお菓子へ応用できます。
直接混ぜたときとは違う、やわらかな香り方を楽しめることもあります。
〜ハーブによって香りの出方は違います〜
同じドライハーブでも、種類によって香りの強さや出方は違います。
カモミールのように穏やかに香るもの。
ローズマリーのように少量でも存在感のあるもの。
ミントのように爽やかさが分かりやすいもの。
ローズのように華やかな香りを持つもの。
そのため、
「ドライハーブなら何グラム」
と、すべてを同じ考え方で扱うことはできません。
まずは実際に香りを嗅いでみます。
指先で少し触れてみる。
細かくしたときの香りも確かめてみる。
そのうえで、少量から使います。
数字だけではなく、香りそのものを見ることも大切です。
〜焼くと香りは変わります〜
ドライハーブを焼き菓子へ使うときに覚えておきたいのが、加熱による香りの変化です。
生地を作っているときにはよく香っていても、焼き上がると少し穏やかになることがあります。
反対に、バターや砂糖、果物などと一緒に焼くことで、香りがなじみ、より食べやすく感じられることもあります。
ですから、
「生地の段階で少し弱いから、もっと入れよう」
とすぐに量を増やす必要はありません。
まずは一度焼いてみる。
そして、実際に食べて確かめます。
ハーブの香りは、焼く前と焼いた後では印象が変わる。
それを知っているだけでも、使いやすくなります。
〜ドライハーブと果物を組み合わせてみる〜
初めてドライハーブを使うときは、身近な素材と組み合わせるのもおすすめです。
たとえば、
カモミールとりんご。
カモミールとオレンジ。
ローズマリーとレモン。
ミントとチョコレート。
ローズとベリー。
ハーブだけで香りを完成させようとせず、果物やチョコレートなどの分かりやすい風味と組み合わせます。
そうすると、ハーブの香りもお菓子の中になじみやすくなります。
「このハーブには何が合うかな」
と考える時間も、ハーブスイーツ作りのおもしろさのひとつです。
〜最初は一種類のハーブから〜
慣れないうちは、何種類ものハーブを一度に組み合わせる必要はありません。
まずは一種類。
ドライカモミールだけ。
ローズマリーだけ。
ミントだけ。
ひとつの香りを使って焼いてみます。
そうすると、
どのくらい香るのか。
加熱するとどう変わるのか。
どんな素材と合うのか。
そのハーブの特徴が分かりやすくなります。
一種類を知る。
次に別のハーブを知る。
そして慣れてきたら、組み合わせを広げていく。
そんな順番でも十分です。
〜保存状態にも少し気を配りましょう〜
ドライハーブは保存しやすい素材ですが、香りは少しずつ変化していきます。
購入後は、商品の表示に従って適切に保存します。
高温多湿や直射日光を避け、香りや状態を確認しながら使いましょう。
久しぶりに使うドライハーブなら、まず袋や容器を開けて香りを確かめます。
以前より香りがかなり弱くなっている。
色や状態に大きな変化がある。
そんなときは、無理にお菓子へ使わず、新しいものを用意することも大切です。
〜ハーブスイーツでは香りも大切な材料のひとつです。〜
ドライハーブは、暮らしの中で楽しみやすい素材です
フレッシュハーブには、摘みたてならではの魅力があります。
けれど、いつでも庭にハーブがあるとは限りません。
季節によって育っていないこともあります。
そんなときにも使いやすいのが、ドライハーブです。
瓶や袋から少し取り出して、香りを確かめる。
必要なら指先ですりつぶす。
さらさらと粉へ混ぜる。
そして、いつものお菓子を焼く。
特別な準備をしなくても、普段のお菓子作りの中へハーブの香りを取り入れることができます。
〜難しく考えず、まずは少量から〜
ドライハーブをお菓子に使う基本は、それほど複雑ではありません。
食品用のものを選ぶ。
香りを確かめる。
必要に応じて細かくする。
少量から使う。
生地へ混ぜたり、液体へ香りを移したりする。
そして、焼き上がったものを食べて確かめる。
まずは、それで十分です。
最初から完璧な配合を見つける必要はありません。
「もう少し香ってもいいかな」
「このくらいが好きだな」
「次はりんごを合わせてみようかな」
焼いたお菓子を食べながら、少しずつ自分の好みを見つけていく。
その積み重ねが、ドライハーブを上手に使えるようになる一番自然な方法です。
まずはお気に入りのハーブをひとつ。
いつものクッキーやマフィン、スコーンへ少しだけ加えてみるところから、気軽に楽しんでみてください。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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