お菓子作りが好きで続けていると、
「いつか、これを仕事にできたらいいな」
と思うことがあります。
家族や友人に作ったお菓子を、
「おいしいね」
と喜んでもらったことがきっかけになる方もいるでしょう。
ハーブスイーツを学んでいくうちに、
誰かに販売してみたい。
教室を開いてみたい。
カフェで出してみたい。
そんな気持ちが芽生えることもあります。
では、趣味でお菓子を作ることと、仕事としてお菓子に関わること。
その境目は、どこにあるのでしょうか。
〜趣味のお菓子作りには、自由があります〜
趣味で作るお菓子には、大きな自由があります。
今日は作りたいから作る。
疲れている日は作らない。
気になるハーブを試してみる。
少し失敗しても、それも経験として楽しむ。
自分や家族が喜べば、それで十分なこともあります。
「好きだから作る」
という気持ちを、そのまま大切にできるのが趣味のお菓子作りです。
〜仕事になると、「相手」がはっきりします〜
仕事としてお菓子に関わるようになると、自分だけではなく、受け取る人の存在が大きくなります。
販売するなら、お客様。
教室をするなら、生徒さん。
カフェで提供するなら、お店へ来てくださる方。
対価をいただくということは、
「この人に、この価値を届けます」
という約束をすることでもあります。
ここが、趣味と仕事の大きな違いのひとつです。
〜「好き」だけではなく、「続けられる形」も考えます〜
趣味なら、一度だけ手の込んだお菓子を作ることもできます。
けれど仕事になると、同じことを繰り返せるかどうかも大切になります。
材料を安定して用意できるか。
無理なく作れる工程になっているか。
時間はかかりすぎないか。
価格は続けられるものになっているか。
自分自身が疲れきってしまわないか。
仕事として続けるためには、おいしさだけではなく、継続できる仕組みも必要になります。
〜お金をいただくと、責任も生まれます〜
趣味のお菓子なら、
「今日は少し焼き色が濃くなったね」
と笑って終われることもあります。
けれど、商品として販売したり、教える立場になったりすると、そうはいきません。
品質。
衛生。
表示。
保存。
アレルギーへの配慮。
約束した日時。
伝える内容。
仕事にする場合は、さまざまなことに責任を持つ必要があります。
もちろん、最初からすべて完璧である必要はありません。
けれど、
「自分の好きなことだから自由にやる」
だけではなく、
「受け取る人が安心できる形にする」
という視点が加わります。
〜技術が高くなった瞬間が境目ではありません〜
趣味と仕事の違いを考えるとき、
「プロ級に上手になったら仕事にできる」
と思う方もいるかもしれません。
けれど、必ずしもそうではありません。
とても上手にお菓子を作っていても、趣味として楽しみ続ける方もいます。
反対に、最初は小さなところから始め、仕事をしながら少しずつ技術を育てていく方もいます。
境目は、技術の高さだけではありません。
誰かへ届けることを引き受けるか。
そのために必要なことを学び、整えていくか。
そこに仕事としての一歩があるのだと思います。
〜ハーブスイーツでは、伝える力も大切になります〜
ハーブスイーツを仕事にするときには、
「これは何というハーブですか?」
「どんな香りですか?」
「どうやって使っているのですか?」
と聞かれることもあります。
そのとき、自分がおいしいと思うだけでなく、相手にも分かりやすく伝えられることが大切になります。
ハーブの特徴。
お菓子との組み合わせ。
香りの楽しみ方。
自分がなぜこのお菓子を作ったのか。
そうした背景を言葉にできるようになると、ひとつのお菓子から届けられる価値も広がっていきます。
〜趣味のまま楽しむことも、素敵な選択です〜
ここで大切なのは、
「好きなら仕事にしたほうがいい」
ということではありません。
趣味だからこそ守れる楽しさがあります。
作りたいときだけ作る。
家族と一緒に楽しむ。
季節のハーブを摘んで、自分のお茶時間のために焼く。
それだけでも十分に豊かなことです。
好きなものを、必ず仕事にする必要はありません。
仕事にしないから価値が小さいということもありません。
〜仕事にしたいと思ったら、小さく考えてみる〜
もし、
「それでも誰かに届けてみたいな」
と思ったなら、最初から大きなことを考えなくても大丈夫です。
どんな形なら、自分らしく続けられるだろう。
誰に届けたいだろう。
何を一番大切にしたいだろう。
そんなことを、ひとつずつ考えてみます。
販売なのか。
教室なのか。
カフェなのか。
地域の活動なのか。
仕事といっても、形はひとつではありません。
趣味で作るお菓子と、仕事として作るお菓子。
その境目に、一本のはっきりした線があるわけではないと思います。
好きで続けていたものが、少しずつ誰かへ届くようになる。
頼まれるようになる。
学びたいと言ってくれる人が現れる。
そして、自分もその期待に応えたいと思う。
そんな積み重ねの中で、いつの間にか趣味から仕事へ変わっていくこともあります。
大切なのは、急いで肩書きを変えることではありません。
自分は、どんなふうにハーブスイーツと関わっていきたいのか。
暮らしの中で楽しみたいのか。
誰かへ届けたいのか。
その気持ちを、ゆっくり確かめていくこと。
その先に、自分に合った境目が見えてくるのではないかと思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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