三十年もお菓子を作っていると、特別な技術ばかり使っていると思われることがあります。
けれど実際は、その反対です。
長く続けるほど、基本へ戻ることが増えていきます。
材料をきちんと量ること。
生地をよく見ること。
焼き色を確かめること。
どれも、お菓子作りを始めた頃から教わることばかりです。
昔と今で違うのは、その意味です。
若い頃は、「基本だからやるもの」でした。
でも今は、「基本だからこそ難しい」と感じています。
例えば、生地を混ぜるという一つの工程でも、その日の気温や湿度によって力加減は少しずつ変わります。
焼き色を見ることも、毎回同じではありません。
昨日と今日では、光の入り方も、オーブンの様子も違います。
基本とは、決まった動きを繰り返すことではなく、その日の小さな違いに気づくことなのかもしれません。
だから私は、基本を卒業したとは思っていません。
むしろ、お菓子を作るたびに、基本をもう一度学び直しています。
それは後戻りではありません。
同じ場所へ戻っているようで、少し違う景色を見ている感覚です。
一年目に見えた基本と、三十年目に見える基本は、まったく同じではありません。
経験を重ねた分だけ、その奥行きが少しずつ広がっていきます。
お菓子作りには終わりがありません。
だからこそ、基本も終わりません。
私はそのことを、少しうれしく思っています。
明日もまた、いつものように材料を量り、生地を混ぜ、お菓子を焼くでしょう。
その何気ない繰り返しの中で、今日とは少し違う「基本」を、また一つ教えてもらえるような気がしています。
一一一一一一一一一一一
はじめての方へ
■まず最初に、ハーブスイーツや、当講座についてはこちらへどうぞ▼
https://www.herbsweets-japan.com/blog/173534/
私の30年のパティシエとしての経験の中で大切にしてきたこと、感じてきたことについて書き綴っています▼
https://www.herbsweets-japan.com/blog/185578/
日本ハーブスイーツ協会
やさしく学ぶハーブスイーツの小さなお便りを、
無料で、7通にわたってお届けしています。
▼
https://m1-v3.mgzn.jp/sys/doubleOptReg.php?cid=G6032222