作るほどに、引き算を覚えました

2026年08月21日 02:48
日本ハーブスイーツ協会

お菓子作りを始めた頃は、「もっと」が口癖でした。

もっときれいに。

もっと華やかに。

もっと驚いていただけるように。

良かれと思って、一つ、また一つと何かを加えていたように思います。

もちろん、その時間も大切でした。

たくさん試したからこそ、自分に合うものと出会えたのです。

でも、長い時間の中で、少しずつ変わっていきました。

何を足すかではなく、何を残すかを考えるようになったのです。

この焼き菓子には、このくらいの甘さがちょうどいい。

このハーブは、そっと香るくらいが心地いい。

飾りも、言葉も、少し控えめなくらいが、そのお菓子らしい。

そんなふうに思うことが増えました。

引き算とは、何かを諦めることではありません。

本当に大切なものが見えてくることです。

余計なものが少しずつ減っていくと、不思議と残ったものが、以前よりも豊かに感じられます。

それは、お菓子作りだけではありませんでした。

仕事も。

暮らしも。

人との時間も。

たくさん持つことより、大切なものを大切にすることのほうが、私にはしっくりくるようになりました。

だから今でも、新しいことを学びながら、最後には「これは本当に必要だろうか」と自分へ問いかけています。

足すことは、比較的簡単です。

でも、引くことには勇気がいります。

だからこそ、その選択には、その人らしさが表れるのかもしれません。

日々お菓子を作り続けてきて、私が最後に覚えたのは、新しい技術ではありませんでした。

必要なものだけを、丁寧に残すこと。

その静かな引き算が、お菓子にも、暮らしにも、やさしい余白をつくってくれることを、お菓子が教えてくれたのです。


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