作業ではなく、営みとして向き合う

2026年08月19日 11:34
日本ハーブスイーツ協会

お菓子を作る日は、材料を用意するところから始まります。

棚からボウルを取り出し、計量器を置いて、小麦粉を量る。

卵を割り、バターの様子を確かめる。

一つひとつを当たり前のように進めていく朝です。

こうして書くと、どれも「作業」に見えるかもしれません。

けれど私の中では、少しだけ違います。

毎日お菓子を作り続けてきて思うのは、これは作業ではなく、営みなのだということです。

作業は、終わらせることが目的になります。

できるだけ早く。

できるだけ効率よく。

そんな考え方も、もちろん大切です。

一方で営みには、もう少し穏やかな時間が流れています。

今日も厨房に立てたことを喜びながら、材料に触れ、香りを感じ、生地の変化を見つめる。

その時間そのものに意味があります。

だから私は、お菓子を焼き終えた日でも、「今日は何個作れたか」だけでは一日を振り返りません。

どんな気持ちで厨房に立てただろう。

落ち着いてお菓子と向き合えただろうか。

そんなことを思い返します。

不思議なことに、営みとして向き合えた日は、お菓子の出来栄えもどこか穏やかです。

もちろん、毎日そうはいきません。

忙しい日もあります。

思うように進まない日もあります。

それでも、また翌日には厨房へ戻ります。

その繰り返しが、少しずつ自分を育ててくれました。

お菓子作りは、お菓子を完成させるためだけの時間ではありません。

今日という一日を、丁寧に過ごすための時間でもあります。

だから私は、これからも作業をこなすのではなく、営みを積み重ねていきたいと思っています。

その積み重ねの先に、おいしいお菓子があり、穏やかな暮らしがあり、三十年という時間がありました。

そして明日もまた、いつものように厨房へ立とうと思います。


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