焼き上がったお菓子が少し冷めた頃、小さく切り分けて一口だけ味見をします。
この時間は、長年変わらない習慣です。
「おいしいかな。」
そんな期待よりも先に、「今日はどうだっただろう。」という気持ちで口へ運びます。
味見は、お菓子を評価する時間ではありません。
自分の仕事を静かに振り返る時間です。
甘さはちょうど良かっただろうか。
焼き加減はどうだろう。
ハーブの香りは、やさしく残っているだろうか。
一つずつ確かめながら、お菓子と今日一日の仕事を重ね合わせています。
若い頃は、味見が少し怖い時間でもありました。
思うように焼けていなかったらどうしよう。
期待していた仕上がりと違っていたらどうしよう。
そんな不安が、いつも少しだけありました。
でも今は、違います。
思っていた通りなら、「ありがとう。」
少し違っていたら、「次はここを工夫してみよう。」
そのくらいの気持ちで向き合えるようになりました。
味見は、合格か不合格かを決めるためのものではありません。
次のお菓子へつながる、小さな対話です。
だから私は、一口を急ぎません。
ゆっくりと味わい、香りを感じ、食感を確かめます。
その静かな時間の中で、「今日も一つ学ばせてもらったな」と思うことがあります。
毎日毎日お菓子を作り続けてきました。
それでも味見のたびに、新しい気づきがあります。
だから飽きることがありません。
お菓子は、毎回違う表情を見せてくれるからです。
味見とは、お菓子を知る時間であると同時に、自分自身を知る時間でもあります。
私は今日も、一口のお菓子から、小さな学びを受け取っています。
一一一一一一一一一一一
はじめての方へ
■まず最初に、ハーブスイーツや、当講座についてはこちらへどうぞ▼
https://www.herbsweets-japan.com/blog/173534/
私の30年のパティシエとしての経験の中で大切にしてきたこと、感じてきたことについて書き綴っています▼
https://www.herbsweets-japan.com/blog/185578/
日本ハーブスイーツ協会
やさしく学ぶハーブスイーツの小さなお便りを、
無料で、7通にわたってお届けしています。
▼
https://m1-v3.mgzn.jp/sys/doubleOptReg.php?cid=G6032222