味見は、自分と向き合う時間でした

2026年08月19日 00:25
日本ハーブスイーツ協会

焼き上がったお菓子が少し冷めた頃、小さく切り分けて一口だけ味見をします。

この時間は、長年変わらない習慣です。

「おいしいかな。」

そんな期待よりも先に、「今日はどうだっただろう。」という気持ちで口へ運びます。

味見は、お菓子を評価する時間ではありません。

自分の仕事を静かに振り返る時間です。

甘さはちょうど良かっただろうか。

焼き加減はどうだろう。

ハーブの香りは、やさしく残っているだろうか。

一つずつ確かめながら、お菓子と今日一日の仕事を重ね合わせています。

若い頃は、味見が少し怖い時間でもありました。

思うように焼けていなかったらどうしよう。

期待していた仕上がりと違っていたらどうしよう。

そんな不安が、いつも少しだけありました。

でも今は、違います。

思っていた通りなら、「ありがとう。」

少し違っていたら、「次はここを工夫してみよう。」

そのくらいの気持ちで向き合えるようになりました。

味見は、合格か不合格かを決めるためのものではありません。

次のお菓子へつながる、小さな対話です。

だから私は、一口を急ぎません。

ゆっくりと味わい、香りを感じ、食感を確かめます。

その静かな時間の中で、「今日も一つ学ばせてもらったな」と思うことがあります。

毎日毎日お菓子を作り続けてきました。

それでも味見のたびに、新しい気づきがあります。

だから飽きることがありません。

お菓子は、毎回違う表情を見せてくれるからです。

味見とは、お菓子を知る時間であると同時に、自分自身を知る時間でもあります。

私は今日も、一口のお菓子から、小さな学びを受け取っています。


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