お菓子には、静かな集中が似合います

2026年08月17日 03:13
日本ハーブスイーツ協会

お菓子を作っていると、いつの間にか余計なことを考えなくなっている日があります。

泡立て器の音を聞きながら、生地をゆっくり混ぜる。

粉が少しずつなじんでいく様子を眺める。

オーブンの中で、少しずつ焼き色がついていくのを見守る。

ただそれだけの時間です。

特別なことをしているわけではありません。

それなのに、不思議と心が静かになっていきます。

若い頃の私は、「集中しなければ」と思っていました。

でも、集中しようと力を入れるほど、かえって周りが気になったり、失敗を恐れたりしてしまいます。

長くお菓子を作るうちに気づいたのは、集中とは作るものではなく、訪れるものだということでした。

目の前の生地をよく見る。

手の感覚を大切にする。

香りの変化に気づく。

そんな小さな積み重ねを続けていると、気づけば自然とその時間に入り込んでいます。

時計を気にしていたことも忘れ、次に何をするかを考えることもなく、その一つの工程だけに心が向いている。

そんな時間が、ときどきあります。

私は、その静かな集中が好きです。

競争もありません。

急ぐ理由もありません。

ただ、一つのお菓子と向き合っているだけです。

だからでしょうか。

焼き上がったお菓子を見ると、「うまくできた」という気持ちより、「良い時間だったな」と感じることがあります。

お菓子作りは、完成したものだけが価値ではありません。

作っている時間そのものも、大切な贈りものです。

今日もまた、台所には静かな時間が流れています。

その穏やかなひとときがあるから、私は何度でもお菓子を焼きたくなるのだと思っています。


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