【30年間、お菓子を作り続けて気づきました】上手なお菓子より、忘れられないお菓子があります

2026年07月19日 06:32
日本ハーブスイーツ協会

日々、お菓子を作り続けてきました。

若い頃の私は、毎日のように考えていました。

もっときれいに作りたい。

もっとおいしく作りたい。

もっと喜んでいただきたい。

その気持ちは、今も変わりません。

でも、30年という時間を歩いてきて、一つだけ大きく変わったことがあります。

それは、「上手なお菓子」と「忘れられないお菓子」は、必ずしも同じではないということです。

〜技術だけでは、心に残らないことがあります〜

もちろん、おいしいことは大切です。

焼き加減も。

食感も。

見た目も。

どれも、お菓子作りには欠かせません。

でも、お客様のお話を伺っていると、心に残っているのは技術だけではありませんでした。

「子どもと一緒に食べたクッキー。」

「雨の日に淹れた紅茶と焼き菓子。」

「久しぶりに家族がそろった日のケーキ。」

そうした時間と一緒に、お菓子は記憶に残っていました。

〜味だけではなく、その日の空気まで覚えています〜

不思議なものです。

人は、お菓子の甘さだけではなく、その日の景色まで覚えていることがあります。

窓から入る光。

湯気の立つカップ。

誰かの笑い声。

だから私は、お菓子は「食べ物」である前に、「時間」なのだと思うようになりました。

〜家庭のお菓子には、その家だけの味があります〜

お店のお菓子は、いつも同じ品質を目指します。

でも、家庭のお菓子は少し違います。

今日は少し焼き色が濃い。

今日は甘さが控えめ。

そんな違いも、その日の思い出になります。

私は、その自然な揺らぎが好きです。

〜ハーブは、思い出に香りを添えてくれます〜

ハーブスイーツを焼いていると、香りが記憶と結びつくことがあります。

カモミールのやさしい香り。

レモングラスの爽やかさ。

レッドローズの華やかさ。

「あの日のお菓子の香りだ。」

そんなふうに思い出していただけたら、それはとても幸せなことです。

〜お客様から教えていただいたこと〜

私はお客様から本当にたくさんのことを教えていただきました。

その中で、強く心に残っているのは、お菓子の感想だけではありません。

「家族とゆっくり話せました。」

「久しぶりに何もしない午後を過ごしました。」

そんな言葉です。

私は、そのたびに、お菓子が届けているのは甘さだけではないのだと感じました。

今の私の答えです

もし今、

「もっと上手になりたい。」

と思っておられるなら、その気持ちはどうか大切になさってください。

でも、それと同じくらい、

「誰かと穏やかな時間を過ごせた。」

そんな一日も、大切にしていただけたら嬉しく思います。

コツコツとお菓子を作り続けてきて、私が一番忘れられないのは、完璧なお菓子ではありません。

そのお菓子を囲んで生まれた笑顔や会話です。

だから今日も私は、お菓子を焼きます。

味を届けるためだけではなく、その先にある時間まで、そっと届けられたらという願いを込めて。


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