10代の頃からお菓子を作り、お客様とお話ししてきました。
その中で、不思議に思っていたことがあります。
最初からとても器用だった方が、お菓子作りをやめてしまうことがあります。
反対に、
「私は本当に不器用なんです。」
と笑っておられた方が、十年、二十年と楽しみ続けておられることもあります。
その違いは何なのだろう。
長い間、その答えを考えてきました。
〜続く理由は、「上手だから」ではありませんでした〜
若い頃の私は、技術があれば続くのだと思っていました。
でも長年お客様を見続けてきて、その考えは少し変わりました。
長く続けておられる方は、上手になることだけを目的にしていません。
「今日は焼こうかな。」
その気持ちを大切にしておられるのです。
〜暮らしの中に居場所があります〜
趣味が続く方には、お菓子作りの居場所があります。
休日の朝。
雨の日の午後。
季節が変わったとき。
「こんな日は焼いてみよう。」
そんな小さな習慣があります。
だから、無理に頑張らなくても自然と台所へ向かうようになります。
〜一回休んでも、また戻ってきます〜
最近気づいたことがあります。
続いている方は、毎週欠かさず作っている方ではありません。
忙しい時期もあります。
しばらく作れないこともあります。
それでも、
「久しぶりに焼いてみよう。」
と、また戻ってこられます。
私は、それも立派に「続いている」ことだと思っています。
〜ハーブも、急がない楽しみがあります〜
ハーブを育てていても、思うように育たない季節があります。
香りが穏やかな日もあります。
植物は、人の予定どおりには育ちません。
だからこそ、待つことや、その日その日の違いを楽しめるようになります。
ハーブスイーツも同じです。
毎回同じではないからこそ、面白いのだと思います。
〜お客様から教えていただいた言葉〜
あるお客様が、こんなことを話してくださいました。
「前は『作らなきゃ』と思っていました。でも今は『焼きたいな』と思う日だけ焼いています。」
その笑顔が、とても印象に残っています。
趣味は義務になった瞬間に苦しくなります。
でも、楽しみとして残っている限り、何年でも付き合っていけるのかもしれません。
〜今になって、私が思うこと〜
コツコツとお菓子を作り続けてきた今、私は「続ける」という言葉の意味が変わりました。
毎日続けることではありません。
人生の中で、何度でも戻ってこられること。
それが、本当に続いている趣味なのだと思います。
もし今、お菓子作りから少し離れているなら、それでも大丈夫です。
また焼きたくなった日が、新しい始まりです。
焼きたての香りは、きっと以前と変わらず、やさしく迎えてくれるでしょう。
今までお客様を見続けてきて、私はその姿を何度も見てきました。
だから私は今日も、「続けなければ」ではなく、「また楽しめたらいいですね」と、お伝えしたいのです。
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