「レシピどおりに作ったほうがいいですか。それとも、自分なりに変えてもいいのでしょうか。」
教室や厨房でお菓子を作り続けてきて、このご質問を何度もいただいてきました。
お菓子作りを始めたばかりの頃は、レシピどおりに作ることが大切だと言われます。
一方で、慣れてくると、
「少し甘さを減らしてみようかな。」
「この材料に替えてみようかな。」
そんな気持ちも芽生えてきます。
では、どちらがよいのでしょうか。
〜最初のうちは、レシピを信じてみてください〜
私は、初めて作るお菓子は、できるだけレシピどおりに作ることをおすすめしています。
理由は簡単です。
まず「基準」を知るためです。
一度完成形を経験すると、
「もう少ししっとりさせたい。」
「甘さを少し控えたい。」
という自分の好みが見えてきます。
基準があるから、次の工夫も生まれるのです。
〜慣れてきたら、少しだけ自分らしく〜
何度か作ったお菓子なら、少しずつ自分らしい工夫をしてもよいと思います。
砂糖を少し控えてみる。
焼き時間を少し変えてみる。
香りを加えてみる。
大切なのは、一度にたくさん変えないことです。
一つだけ変えてみる。
そうすると、何が変わったのかが分かりやすくなります。
〜お菓子作りは、対話に少し似ています〜
長らくお菓子を作ってきて思うことがあります。
お菓子作りは、「思いどおりにすること」ではなく、「お菓子と対話すること」に少し似ています。
今日は生地がやわらかい。
今日は香りが豊かだ。
今日は焼き色が少し早い。
そんな小さな変化を感じながら作る時間が、お菓子作りの面白さなのだと思います。
〜ハーブは、特に「少しずつ」が大切です〜
ハーブを使うときも同じです。
「もっと香らせたい。」
と思って一度に増やすと、お菓子全体の印象が大きく変わることがあります。
だから私は、少しずつ試すことを大切にしています。
植物の香りは、とても繊細です。
ほんの少しの違いで、お菓子の表情も変わります。
その変化を楽しめるようになると、ハーブスイーツはさらに奥深く感じられます。
〜お客様を見続けて思うこと〜
上達が早い方には、一つの共通点があります。
「どうしてこうなったんだろう。」
と考えることを楽しんでおられるのです。
レシピは正解を押しつけるものではありません。
新しい発見への入口です。
だから私は、まずはレシピを大切にし、そのあとで少しずつご自身らしい一皿を育てていけばよいと思っています。
30年間、お菓子を作り続けてきて感じるのは、上手なお菓子には正解があっても、暮らしのお菓子には、その人だけの答えがあるということです。
その答えを見つける時間も、お菓子作りの楽しみの一つなのではないでしょうか。
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