30年間、お菓子を作り、お客様とお話ししてきました。
その中で、ときどきこんなご質問をいただきます。
「上達が早い人って、やっぱり器用な人ですか?」
最初は私も、そう思っていました。
手先が器用な人。
飲み込みが早い人。
そんな方ほど、上達するのだろうと。
でも、長い時間の中で、多くの方を見続けてきた今は、少し違う答えになっています。
〜器用さは、最初の少しだけ有利です〜
もちろん、器用な方は最初の一歩が軽やかです。
生地を混ぜる手つきも自然ですし、道具を扱うことにも慣れています。
でも、その差は意外と長くは続きません。
数か月、あるいは一年ほど経つと、別の力が大きくなってきます。
〜上達が早い人は、「昨日の自分」を見ています〜
なんだかんだで一番印象に残っているのは、人と比べない方です。
「あの人みたいに作れない。」
ではなく、
「前より焼き色が良くなった。」
そう考えられる方は、少しずつ自然に上達していきます。
比べる相手が昨日の自分だから、焦らないのです。
〜質問できる人は、よく伸びます〜
もう一つ共通していることがあります。
それは、分からないことを素直に聞けることです。
「こんなことを聞いてもいいですか。」
そう言って質問される方ほど、次にお会いしたときには、一歩前へ進んでおられます。
知識よりも、「知りたい」という気持ちが成長を支えているのだと思います。
〜失敗を記憶ではなく、経験に変えています〜
失敗した日もあります。
思うように膨らまなかった日もあります。
でも、上達が早い方は、
「失敗した。」
では終わりません。
「次は混ぜる回数を変えてみよう。」
「焼き時間を少し短くしてみよう。」
そんなふうに、一つだけ次の工夫を見つけています。
その積み重ねが、大きな違いになっていきます。
〜ハーブも同じでした〜
ハーブスイーツを作る中でも、まったく同じことを感じてきました。
香りが強すぎたこと。
反対に、ほとんど感じられなかったこと。
植物は季節によっても表情が変わります。
だからこそ、一回で答えを出さず、少しずつ向き合うことが大切でした。
その積み重ねが、今のハーブスイーツにつながっています。
〜私がお客様から教えていただいたこと〜
私は長らくお菓子を作りながら、多くのことをお客様から教えていただきました。
その中で一番大きかったのは、
「上達が早い人は、特別な人ではない。」
ということです。
小さな変化を喜び、
分からないことを聞き、
また作ってみる。
その繰り返しが、気づけば大きな力になっています。
だから、もし今、
「なかなか上手にならない。」
そう感じておられるなら、どうか安心してください。
上達は、一日で起こるものではありません。
でも、小さな一歩は、必ず積み重なります。
多くの方を見続けてきて、私はその姿を何度も見てきました。
だから今日も、焦らず、ご自身のペースでお菓子作りを楽しんでいただけたら嬉しく思います。
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