「お菓子作りって、才能がある人だからできるんですよね。」
長くお菓子を作り続けてきて、この言葉を何度も聞いてきました。
初めて作ったクッキーが固くなった。
ケーキが思うように膨らまなかった。
そんな経験をすると、「自分には才能がない」と思ってしまう方もいらっしゃいます。
でも、今の私は、その考えとは少し違います。
〜若い頃の私は、才能が大切だと思っていました〜
お菓子作りを始めた頃は、器用な人を見るたびに、
「やっぱり才能があるんだな。」
と思っていました。
きれいなナッペ。
美しい絞り。
均一な焼き色。
技術がある人は、特別に見えたものです。
けれど長いキャリアの中で、多くの人を見てきた今は、違う答えにたどり着きました。
〜才能よりも「続ける力」のほうが大きい〜
最初から上手だった人が、必ず長く続くとは限りません。
反対に、
「失敗しちゃいました。」
と笑いながら何度も挑戦する方が、数年後には驚くほど上達していることがあります。
一回のお菓子では分からないことも、十回、二十回と作るうちに自然と身についていきます。
それが、お菓子作りの面白さです。
〜上達は、昨日の自分との比較です〜
お菓子作りを始めると、どうしても誰かと比べたくなります。
写真がきれいな人。
器用な人。
プロの作品。
でも、本当に比べる相手は、昨日の自分です。
今日は混ぜ方が少し分かった。
今日は焼き色がちょうどよかった。
そんな小さな変化を見つけられるようになると、お菓子作りはぐっと楽しくなります。
〜「好き」が一番の才能かもしれません〜
日々教室等でお客様を見てきて思うことがあります。
長く続く方には、ある共通点があります。
それは、
「焼き上がる香りが好き。」
「家族が喜ぶ顔を見るのが好き。」
「休日に台所へ立つ時間が好き。」
そんな「好き」があることです。
この気持ちは、誰かと競争して身につくものではありません。
だから私は、「好き」でいられること自体が、大きな才能なのだと思っています。
〜ハーブとの出会いも、同じでした〜
ハーブスイーツも、最初からうまくできたわけではありません。
香りが強すぎたこともあれば、思ったように個性が出なかったこともあります。
一つずつ試し、少しずつ調整しながら、今の形になりました。
だから、新しいことに挑戦するときも、「最初からうまくいかなくて当たり前」と思えるようになりました。
〜いつしか、私の答えは変わりました〜
もし、かつての私に、
「お菓子作りには才能が必要ですか。」
と聞かれたら、少し違う答えをしていたかもしれません。
でも今なら、こうお答えします。
才能があるかどうかよりも、
「また作ってみたい。」
と思えることのほうが、ずっと大切です。
その気持ちがある限り、人は少しずつ上達していきます。
だから、どうか最初からご自身に厳しくなりすぎないでください。
お菓子を作り、お客様を見続けてきた私が一番お伝えしたいのは、「好き」という気持ちは、技術よりも長くあなたを支えてくれるということです。
その小さな一歩が、いつか暮らしの中の大きな楽しみへと育っていくことを、私は何度も見てきました。
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