「最初はやる気があったのに、いつの間にか作らなくなっていました。」
この言葉も、今まで何度も伺ってきました。
お菓子作りを始めたものの、一度失敗してしまった。
忙しくなって時間が取れなくなった。
道具をしまったまま、何年も開けていない。
そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも私は、それは「向いていなかったから」ではないと思っています。
〜続かない理由は、上手ではないからではありません〜
「私は器用じゃないから。」
「センスがないから。」
そうおっしゃる方も少なくありません。
けれど私が多くの方を見てきて感じるのは、続かない理由はそこではないということです。
一番多いのは、
最初から理想が高すぎること。
これです。
〜最初の一回で、自分を採点してしまいます〜
焼き色が思ったより濃かった。
少し固くなった。
写真のようにきれいにできなかった。
すると、
「私は向いていない。」
と結論を出してしまいます。
でも、もしピアノを一回弾いてうまく弾けなかったからといって、「向いていない」と決める人は少ないでしょう。
お菓子作りだけ、自分に厳しすぎる方が意外と多いのです。
〜続いている方は、完璧を目指していません〜
印象に残っている方には、ある共通点があります。
それは、
「今日はここまでできた。」
と考えられることです。
昨日より混ぜ方が分かった。
今日は焼き時間がちょうどよかった。
そんな小さな喜びを見つける方ほど、長く楽しんでおられます。
〜暮らしの中に入ると、趣味は続きます〜
「時間ができたら作ろう。」
そう思っていると、なかなか始まりません。
でも、
休日のお茶の前に焼いてみよう。
家族が帰ってくる前に一回作ってみよう。
そんなふうに暮らしの中へ自然に入ると、お菓子作りは特別なイベントではなくなります。
歯を磨くように、季節の花を飾るように、少しずつ生活になじんでいきます。
〜私も、毎日完璧だったわけではありません〜
長く続けていると、
「失敗しなくなるんですよね。」
と言われることがあります。
でも実際には、今でも新しい配合を試せば思いどおりにならない日があります。
だからこそ、失敗は終わりではなく、次の一回の材料なのです。
この感覚は、30年経った今でも変わりません。
〜ハーブスイーツも、小さな積み重ねから生まれました〜
今ご紹介しているハーブスイーツも、最初から完成していたわけではありません。
香りが強すぎたこともありました。
逆に、ほとんど感じられなかったこともありました。
少しずつ試し、少しずつ調整し、その積み重ねが今につながっています。
だから私は、「一回でうまくできること」より、「もう一回作ってみよう」と思えることを大切にしています。
〜続けるコツは、自分を褒めることです〜
長らくお菓子を作り、お客様とお話ししてきて思うことがあります。
長く続く方は、自分を責めません。
「今日は焼けた。」
「今日は楽しかった。」
その小さな達成感を大切にしています。
もし今、お菓子作りから少し遠ざかっているなら、ぜひ難しいものではなく、気軽に作れる焼き菓子から始めてみてください。
焼き上がる香りを待つ時間は、きっと以前と変わらず、あなたをやさしく迎えてくれると思います。
趣味は、一度やめたら終わりではありません。
また始めたいと思った日が、新しい一日目なのです。
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