『焼き上がりを待つ時間に、ハーブの余韻があるということ』

日本ハーブスイーツ協会

焼き上がったばかりのオーブンの前で、すぐには扉を閉めずに、少しだけそのまま立ち止まる時間があります。

ふわっと流れてくる甘い香り。

熱を含んだ空気。

静かに冷めていく焼き菓子たち。

そんな瞬間に、なんだか気持ちまで少しゆるんでいくような感覚になることがあります。

ハーブスイーツを作っていると、この「焼き上がったあと」の時間が、とても印象深く感じられるんですよね。

生地の中へ混ぜ込まれたハーブたちは、焼き上がった瞬間にすべてを強く主張するわけではありません。

むしろ、少しずつ空気の中へ溶け込むように香り始めます。

テーブルを片付ける時間。

使い終わったボウルを洗う時間。

窓を少し開けて風を通す時間。

そんな何気ない暮らしの動きの中で、部屋の空気にやさしい余韻を残してくれるのです。

たとえば、カモミールのりんごのような甘い香り。

レモンバームの青く爽やかな香り。

ローズマリーの静かで落ち着いた香り。

焼き菓子の香ばしさと重なりながら、どこか呼吸を深くしてくれるような感覚があります。

ハーブスイーツの魅力は、「食べる瞬間」だけではないのかもしれません。

作っている途中。

焼き上がりを待つ時間。

部屋に残る香り。

その余韻ごと楽しめるところに、独特の心地よさがあるように感じています。

現代は、どうしても「早く結果を出すこと」が求められやすい時代ですよね。

すぐ便利になること。

すぐ答えが出ること。

すぐ変化を感じられること。

そんなスピード感の中で暮らしていると、「待つ時間」は、つい省略されていくのかもしれません。

でも、焼き菓子は少し違います。

オーブンへ入れたあとも、すぐ完成にはなりません。

香りが広がる時間があり、熱が落ち着く時間があり、冷めてから少しずつ味が馴染んでいく時間があります。

ハーブスイーツもまた、その流れの中にあります。

急いで何かを変えるというよりも、暮らしの空気をゆるやかに整えていくような存在。

だからこそ、ハーブスイーツを作る時間は、どこか気持ちを落ち着かせてくれるのかもしれませんね。

焼き上がりを待つ時間。

その静かな余韻の中にこそ、ハーブスイーツらしさがあるような気がしています。


日本ハーブスイーツ協会
白水


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