エプロンの紐をきゅっと結んで、
ドライハーブのガラス瓶をテーブルに並べる時。
いつも、
ちいさな台所がすうっと静かになるような気がします。
「お菓子教室なんて、
本当に初めてで」
と、
少し緊張した面持ちでドアを開けてくださった生徒さん。
そのこわばった肩が、
お湯の沸くやわらかな湯気とともに、
ゆっくりと解けていくのを見るのがとても好きです。
今日は、
ミルで細かく挽いたエルダーフラワーと、
大きめに刻んだホワイトチョコレートを生地に混ぜ込んで、
『エルダーフラワーのチョコチャンククッキー』を焼き上げました。
ここは、
たくさんの生徒さんで賑わうような華やかな場所ではありません。
一人か二人、
お友達の家に遊びに行くような気持ちで集まる、
ほんとうに小さなプライベートレッスンです。
お菓子を「上手に、
きれいに作ること」よりも、
ハーブの香りを一緒にふうっと吸い込んで、
「あ、
いい香り」
とお互いに笑い合える時間を、
何よりも大切にしたいなと思っています。
慌ただしい毎日のなかで、
ほんのひととき、
自分のためだけに流れる時間。
教える、
というよりは、
心地よいテーブルを一緒に囲ませてもらっている感覚に、
私自身のほうが癒やされているのかもしれません。
オーブンに入れてしばらくすると、
甘いバターの香りのうしろから、
マスカットに似たエルダーフラワーの甘酸っぱく素朴な香りが、
ふんわりと台所に満ちていきます。
「うわあ、
幸せな匂いですね」
そう言って、
ガラスの窓を一緒に覗き込む瞬間の、
生徒さんの嬉しそうな横顔。
そのとき、
台所にあるのは、
ただただ穏やかな温度だけです。
最初から完璧にできなくても、
ちっとも構わないんですよね。
まずは、
ハーブの入った瓶を開けた瞬間の香りを「心地いいな」と感じる、
それだけで十分なんです。
お家へ持ち帰ったクッキーを、
お気に入りの温かい紅茶と一緒にゆっくり味わう。
そんなふうに、
日々の暮らしの中に、
新しく見つけた“好き”が、
少しずつ馴染んでいってくれたらいいなと思います。
焼き上がったクッキーを一つひとつ、
一緒に袋へ詰めていると、
どこか名残惜しいような、
でも満たされたような空気が流れます。
「久しぶりに、
自分のための時間でした」
そう言って帰っていかれた後ろ姿を見送りながら、
今も玄関に残る、
かすかなハーブの香りに目を細めています。
こんな時間が、
たまには暮らしの中にあっても、
いいのかもしれませんね。
あなたの普段の日常に、
穏やかなハーブの香りを。
日本ハーブスイーツ協会の『ハーブスイーツマイスター講座』にて、
その入口を静かにご用意しています。
このハーブスイーツの『仕事としてのハーブスイーツ』についての過去記事はこちら。
https://www.herbsweets-japan.com/blog/180635/
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■まず最初に、全体像を静かに読み進めたい方はこちらをどうぞ▼
[https://www.herbsweets-japan.com/blog/173534/]