オーブンから甘く香ばしい匂いが漂い始めたら、袋を折りながら焼き上がりを待つ時間。
「プロのお店のお菓子みたいに立派じゃないかもしれないけれど」そんな気持ちで、お気に入りの包装紙を選ぶ時間。
そんな、かつては家のおやつの延長だったはずのひとときから、私の小さな仕事は始まりました。
今日も、カモミールと林檎のカトルカールを大切に焼き上げました。
最初はほんの、お友達に渡していただけだったんです。
それが、気づけば「また焼いてほしい」と言われるようになって。
大きなお店を開くような立派な計画があったわけではありません。
ただ、自分の暮らしのペースを壊さない程度に、小さな台所から少しずつ、焼いたお菓子が外へ出ていったんですよね。
売るというよりも、お互いの体温が伝わる距離で、そっと“手渡していく”ような感覚。
無理に規模を大きくしなくても、自分の手の届く範囲で小さく続いていく働き方が、私にはちょうどよかったみたいです。
今回焼いたカトルカールには、細かくミルしたドライカモミールを生地に練り込み、上にはカモミールでそっとコンポートした林檎を並べています。
焼き上がると、ハーブのやさしい香りが台所いっぱいに広がって、それだけでなんだか心がほどけるよう。
お菓子を受け取った誰かが、お気に入りの温かいお茶を淹れて、袋を開けた瞬間にふわりと漂う香りの余韻を楽しんでくれる。
そんなティータイムを想像するだけで、また次も焼きたくなってしまうんですよね。
美味しいと言ってもらえる嬉しさが、慌ただしい日々の中で、小さな灯りのように自分を照らしてくれます。
最初から完璧なものを作ろうとしなくて、きっと大丈夫。
自分の「好き」という気持ちや、ハーブの心地いい香りを誰かと分かち合う喜びから、少しずつ始めてみたらいいのだと思います。
一歩ずつお客さんの暮らしに受け入れてもらえたら、それはとても幸せなこと。
自分の暮らしを最優先に大切にしながら、こんなふうに静かに続いていく仕事の形があってもいいのかもしれませんね。
あなたの普段の日常に、穏やかなハーブの香りを。
日本ハーブスイーツ協会の『ハーブスイーツマイスター講座』にて、その入口を静かにご用意しています。
このハーブスイーツの『趣味として楽しむハーブスイーツ』についての過去記事はこちら。
https://www.herbsweets-japan.com/blog/180549/
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