『妻のレシピを、ただのレシピで終わらせたくなかった理由』

2026年04月10日 06:32
日本ハーブスイーツ協会

妻は、長くお菓子を作ってきました。

ただ甘いものを作る、というよりも、
その時その時の暮らしや、気持ちや、季節の空気まで一緒に焼き上げるような人です。
ハーブスイーツも、そうでした。
香りがやさしいこと。
見た目がきれいなこと。
食べると、ふっと気持ちがほどけること。
そういう一つ一つを大切にしながら、少しずつ形にしてきたのが、妻のレシピです。

だから私は、それをただのレシピとして終わらせたくありませんでした。

もちろん、レシピは大事です。
分量や手順があるからこそ、同じお菓子を形にすることができます。
けれど、本当に伝わってほしいものは、それだけではありませんでした。

なぜこのハーブを選んだのか。
なぜこの焼き菓子の形だったのか。
なぜ強い香りではなく、やさしい余韻を選んだのか。
どんな場面で食べると、このお菓子がいちばん自然に馴染むのか。

そういうものは、材料表や作り方だけでは、なかなか残りません。
お菓子には、その人の感覚や、美意識や、暮らし方がにじむのだと思います。
妻のハーブスイーツにも、それがありました。
私はずっとそばで見てきたからこそ、なおさらそう感じます。

せっかく時間をかけて育ててきたものを、
「作り方」だけにしてしまうのは、少し違う気がしていました。
もっと言えば、妻が積み重ねてきたものは、
単なるお菓子作りの工夫ではなくて、
ひとつの小さな文化のようなものだと思ったのです。

ハーブをお菓子にすること。
香りを味わいに変えること。
誰かの午後や、贈り物の時間や、静かな休息に寄り添うこと。
そういう世界ごと、きちんと残したいと思いました。
だから、講座という形にしました。
そしてブログでも、レシピだけではない言葉を重ねています。

ハーブスイーツそのもののこと。
ハーブのこと。
香りのこと。
季節のこと。
味わいの余韻のこと。
暮らしの中で、どう楽しめるかということ。
少し遠回りに見えるかもしれません。
けれど私たちにとっては、この遠回りこそが必要でした。

ただ作れる、で終わるのではなく、
なぜそれを作るのかまで伝わる形にしたかったからです。
レシピは、たしかに大切です。
でも、本当に残したかったのは、レシピの向こう側にあるものです。
妻が長く大切にしてきた感覚。
お菓子に込めてきたやさしさ。
そして、ハーブスイーツのある時間の豊かさ。
それらを、ただの一枚の作り方で終わらせず、
ひとつの世界として手渡していきたい。
そんな思いから、今の形になっていきました。
もしこのブログを通して、
ハーブスイーツの奥にある空気まで少しでも伝わったなら、
それは私たちにとって、とても嬉しいことです。



日本ハーブスイーツ協会
事務局長
白水諭


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