『ハーブスイーツを文化として残したい理由』

2026年09月14日 03:12
日本ハーブスイーツ協会

私たちは、ハーブスイーツを単なるお菓子の一分野としてではなく、暮らしの中に残っていく文化のひとつに育てていきたいと考えています。

少し大きな言葉に聞こえるかもしれません。
けれど、私たちが思う「文化」は、何か特別なものではありません。

誰かが作り、

誰かが食べ、

「おいしいね」と言葉を交わし、

また別の日に、同じように作ってみる。
そうした小さな繰り返しの中から、文化は生まれていくのだと思います。

ハーブは、昔から人の暮らしのそばにありました。

香りを楽しんだり、

飲みものにしたり、

料理に使ったり、

季節の中で育てたり。

国や地域によって使い方は違っても、人は長い時間をかけて植物と付き合ってきました。
お菓子もまた、暮らしの中にあるものです。

誕生日に焼くケーキ。

午後のお茶に添えるクッキー。

家族と食べるマフィン。

友人へ渡す小さな焼き菓子。

特別な日にも、何でもない日にも、お菓子は人と人の間にそっと置かれてきました。

そのふたつが出会ったものが、ハーブスイーツです。

ハーブの香りと、お菓子のおいしさ。
どちらか一方を強く主張するのではなく、互いの良さを活かしながらひとつのお菓子にしていく。

そこには、まだまだ広げられる世界があります。

カモミールのやさしい香り。

ローズマリーの清々しさ。

レモングラスの爽やかさ。

ローズの華やかさ。

ミントの軽やかさ。

同じハーブでも、合わせる果物やチョコレート、生地によって、表情はずいぶん変わります。

だからこそ、

「この組み合わせはおいしい」

「この使い方なら暮らしの中でも楽しめる」

「こんなお菓子にも合う」

という経験を、少しずつ積み重ねていくことに意味があると思っています。
そして、その経験をひとりの中だけで終わらせないこと。
それも、文化として残していくためには大切なことです。

自分で作る。

家族に食べてもらう。

友人へ渡す。

誰かに作り方を伝える。

学んだ人が、また別の誰かへ伝えていく。

そうして小さな輪が広がっていくと、ハーブスイーツは特定の誰かだけのものではなくなっていきます。

私たちは、

「この人にしか作れないもの」

を残したいわけではありません。

むしろ反対です。
いろいろな人が自分の暮らしの中で作り、それぞれの土地や季節、好みに合わせながら楽しんでいけるもの。
そんな形で残っていくことを願っています。

文化は、固定されたものではありません。
受け継がれながら、少しずつ形を変えていきます。

昔からあるお菓子も、時代とともに材料や作り方が変わってきました。
家庭ごとに味が違ったり、土地によって少しずつ姿が変わったりします。
けれど、それでも大切な部分は残っていく。

ハーブスイーツも、きっと同じです。
今あるレシピを、そのまま何十年も変えずに守ることだけが、残すことではありません。

学んだ人が自分なりに考え、

季節の果物を合わせたり、

地域の素材を使ったり、

新しい組み合わせを生み出したりする。

そんな変化も含めて、次の時代へ続いていくものだと思っています。
だからこそ、私たちは「作り方」だけではなく、

なぜその組み合わせなのか。

香りをどう感じるのか。

どうすればお菓子としておいしくなるのか。

そんな考え方も一緒に伝えていきたいと思っています。

考え方が残れば、その先で新しいものを生み出すことができます。

そしてもうひとつ。

ハーブスイーツを文化として残したい理由には、
暮らしの中に「香りを楽しむ時間」を残したいという思いもあります。

忙しい日々の中で、

庭のハーブをひと枝摘む。

袋を開けたときの香りを感じる。

生地を混ぜながら、ふわりと立つ香りに気づく。

オーブンから漂ってくる甘い香りを待つ。

焼き上がったお菓子を、お茶と一緒にゆっくり味わう。

どれも、とても小さな時間です。
けれど、そういう時間が暮らしの中にあることは、案外大切なのではないかと思っています。

効率だけでは測れないもの。

数字には表れないもの。

けれど、人の記憶には残っていくもの。

「あのとき、母が焼いてくれたハーブのクッキー」

「庭で摘んだミントを使って、一緒に作ったマフィン」

「友人にもらった、ローズの香る焼き菓子」

そんな記憶が、いつか誰かの中に残るかもしれません。
その人が何年か後に、

「久しぶりに作ってみようかな」

と思うかもしれません。

そして今度は、そのお菓子が別の誰かへ渡っていく。
文化とは、もしかすると、そういうものなのだと思います。

大きな声で残そうとしなくても、

日々の暮らしの中で作られ、

食べられ、

語られ、

少しずつ次へ渡っていく。

私たちは、ハーブスイーツがそんな存在になってほしいと願っています。
一時的に注目されて終わるものではなく、

何年後にも、

何十年後にも、

誰かの台所でハーブの香りがふわりと広がっている。

そのとき、

「ハーブをお菓子に使うって、いいね」

と自然に思ってもらえる。

そんな未来へ、小さなものをひとつずつ手渡していくこと。
それが、私たちがハーブスイーツを文化として残したい理由です。


日本ハーブスイーツ協会
白水

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