ハーブスイーツというと、
自宅で楽しむお菓子。
教室で学ぶもの。
カフェで提供するもの。
販売するもの。
そんな姿を思い浮かべることが多いかもしれません。
でも、楽しみ方はそれだけではありません。
地域の小さな集まり。
親子の交流会。
季節のイベント。
公民館での体験会。
地域で育てたハーブを使ったお菓子作り。
そんな場所にも、ハーブスイーツを取り入れることができます。
ハーブには、植物として見る楽しみがあります。
香りを感じる楽しみがあります。
そして、お菓子になれば一緒に味わう楽しみがあります。
育てる。
触れる。
香る。
作る。
食べる。
一つの植物から、いくつもの体験が生まれます。
今回は、ハーブスイーツを地域活動へ活かす方法について、やさしく考えてみたいと思います。
〜地域活動というと、大きなことを考えなくても大丈夫です〜
「地域活動」と聞くと、
大きなイベント。
町おこし。
観光事業。
地域ブランド。
そんなものを想像することがあります。
もちろん、そうした活動もあります。
でも、地域活動はもっと身近なところにもあります。
近所の親子が集まる。
公民館で小さな教室を開く。
地域の庭にハーブを植える。
収穫したハーブでお菓子を作る。
数人でお茶を飲む。
それも立派な地域の交流です。
〜ハーブは、会話のきっかけを作りやすい植物です〜
ハーブを目の前にすると、
「これ、何の香り?」
「触ってみてもいい?」
「うちにも生えているかも」
そんな会話が生まれることがあります。
ローズマリーの葉を指で軽く触る。
ミントをちぎる。
カモミールの花を見る。
香りを嗅ぐ。
植物そのものが、会話の入口になります。
そこへお菓子作りが加わると、さらに自然な交流が生まれます。
〜お菓子作りには、人が集まりやすい雰囲気があります〜
お菓子を作る時間には、
少し特別な楽しさがあります。
粉を量る。
バターを混ぜる。
ハーブを刻む。
生地をまとめる。
オーブンへ入れる。
焼き上がるまで待つ。
一緒に作業をしていると、無理に話題を探さなくても時間が流れます。
初対面の人同士でも、
「これくらいでいいですか?」
「いい香りですね」
と自然に言葉が生まれることがあります。
〜焼き上がるまでの時間も、交流になります〜
オーブンにお菓子を入れる。
すると、少し待つ時間があります。
その間に、
ハーブの話をする。
地域の話をする。
最近の暮らしを話す。
お茶を飲む。
焼き上がりを待つ時間が、ゆっくりした交流の時間になります。
何かを急いで完成させるだけではなく、一緒に待つ。
それも、お菓子作りのよさです。
〜親子の地域活動にも取り入れられます〜
ハーブスイーツは、親子で楽しむ活動にも使えます。
子どもと一緒にミントの香りを嗅ぐ。
ローズマリーを触る。
生地をこねる。
クッキーの形を作る。
焼き上がりを待つ。
植物とお菓子が一つの体験になります。
難しい説明をしなくても、
「この葉っぱ、お菓子に入るんだ」
という発見があります。
〜子どもの「どうして?」が学びになります〜
「どうしていい匂いがするの?」
「どうして葉っぱをお菓子に入れるの?」
「これは食べられるの?」
子どもから、いろいろな疑問が出てきます。
全部を専門的に答えなくても構いません。
実際に触る。
香りを比べる。
焼いて食べる。
体験の中から自然に学ぶことができます。
〜高齢の方との交流にも使えるかもしれません〜
地域活動では、世代を越えた交流もあります。
昔から庭仕事が好きな方。
植物に詳しい方。
お菓子作りが好きな方。
それぞれが持っている経験があります。
「昔、家にもミントがあった」
「ローズマリーは育てたことがある」
そんな話から、暮らしの記憶が出てくることもあります。
ハーブをきっかけに、世代の違う人同士が話せることがあります。
〜若い世代が教えるだけでなく、教えてもらうこともあります〜
地域活動では、
先生。
参加者。
と役割をきれいに分けなくてもよい場面があります。
ハーブについて若い人が説明する。
一方で、年配の方から地域の植物や昔のお菓子について教えてもらう。
そんな双方向の交流もできます。
誰か一人だけが知識を持つのではなく、それぞれの経験を持ち寄る。
そこに地域活動らしさがあります。
〜地域で育てたハーブを使う楽しみ〜
もし地域の花壇や共同菜園などで食用のハーブを育てられる環境があるなら、
育てるところから活動にすることもできます。
植える。
水をやる。
成長を見る。
収穫する。
そしてお菓子にする。
植物が育つ時間と、活動の時間がつながります。
〜「育てて終わり」ではなく、食べるところまでつながります〜
地域で植物を植えても、
育てたあと、どう活かすか。
ということがあります。
食用として適切に管理したハーブなら、
ハーブティー。
料理。
そしてお菓子。
いろいろな楽しみ方があります。
自分たちで育てたものがクッキーやスコーンになる。
その体験は、植物への興味を深めてくれます。
〜季節の行事にも合わせられます〜
地域活動には、季節の行事があります。
春。
初夏。
秋。
冬。
その時期に合わせてハーブスイーツを考えることができます。
春ならカモミール。
初夏ならミントやレモン系ハーブ。
秋ならローズマリーとりんご。
冬ならドライハーブを使った焼き菓子。
季節ごとの活動として楽しめます。
〜春の小さなハーブスイーツ会〜
春。
新しい葉が出てくる季節。
カモミールなどの花を眺めながら、小さな焼き菓子を作る。
そんな会も考えられます。
植物を見る。
香る。
お菓子にする。
春の一日を、いくつかの感覚で楽しめます。
〜夏なら、爽やかなハーブを楽しむ〜
夏には、
ミント。
レモンバーム。
レモングラス。
爽やかな香りのハーブが似合います。
必ずしも長時間オーブンを使う必要はありません。
小さな焼き菓子。
冷たい飲み物。
ハーブティー。
季節に合わせて内容を軽くすることもできます。
〜秋は、果物との組み合わせも楽しめます〜
秋には、
りんご。
柿。
ぶどう。
栗。
さまざまな素材があります。
そこへハーブを合わせる。
カモミールとりんご。
ローズマリーと柑橘。
レモンタイムとぶどう。
地域で採れる果物があれば、さらに土地とのつながりが生まれます。
〜地元の素材とハーブを組み合わせることもできます〜
地域活動として考えるなら、
地元の果物。
地元の蜂蜜。
地元の小麦。
地域で育てたハーブ。
そんな組み合わせも考えられます。
すべてを地元産にする必要はありません。
ひとつでも、
「この地域で育ったもの」
が入ると、話のきっかけになります。
〜地域の農産物を新しい形で知る機会にもなります〜
いつもはそのまま食べている果物。
そこへハーブを合わせる。
すると、違う表情が見えてきます。
りんごとカモミール。
柑橘とローズマリー。
いちごとローズ。
地域の素材を、少し違う角度から楽しむことができます。
農産物そのものへの興味にもつながります。
〜生産者との交流につながることもあります〜
地域にハーブや果物を育てている方がいれば、
どんなふうに育てているのか。
いつ収穫するのか。
どんな香りが特徴なのか。
話を聞く機会を作ることもできます。
作る人。
お菓子にする人。
食べる人。
それぞれがつながると、一つのお菓子の背景が見えてきます。
〜地域のイベントで、小さな体験として取り入れる〜
地域のお祭りや催しの中で、
本格的な教室を開くのが難しい場合もあります。
そんなときは、
ハーブの香りを比べる。
食用ハーブを見てもらう。
ハーブスイーツを少し試食する。
短い紹介をする。
そんな小さな体験でも構いません。
活動の規模に合わせて形を変えることができます。
〜「香り当て」のような遊びにもできます〜
子どもから大人まで参加しやすい形として、
いくつかのハーブを用意して、
「どんな香りがする?」
と比べてみる方法があります。
ミント。
ローズマリー。
カモミール。
香りの感じ方は人によって違います。
「レモンみたい」
「草っぽい」
「甘い感じ」
答えをひとつにしなくても楽しめます。
〜正解を当てるより、感じ方を話す〜
香りの体験では、
正しく表現しなければ。
名前を当てなければ。
と思わなくても構いません。
「私はこう感じた」
を話す。
隣の人は違う表現をする。
その違いがおもしろい。
ハーブスイーツの地域活動では、こうした自由な感覚を大切にすることもできます。
〜お菓子を囲むと、立場の違う人も話しやすくなります〜
地域には、
子ども。
保護者。
高齢の方。
地域の事業者。
学校関係者。
いろいろな人がいます。
会議では話しにくくても、
お菓子とお茶を囲むと少し空気がやわらぐことがあります。
「これ、おいしいですね」
そんな一言から会話が始まる。
食べ物には、人と人の間を少し近づける力があります。
〜ハーブスイーツを「目的」にしすぎなくてもいい〜
地域活動では、
ハーブスイーツを広めること。
だけを目的にしなくてもよいと思います。
人が集まる。
一緒に作る。
話す。
季節を感じる。
地域の素材を知る。
そのための小さなきっかけとして、ハーブスイーツがある。
そんな立ち位置でも十分です。
〜地域の居場所づくりにもなじみます〜
定期的に人が集まれる場所。
誰かと少し話せる場所。
何かを一緒に作れる場所。
そうした小さな居場所づくりがあります。
月に一度、お菓子を作る。
季節のハーブを一つ紹介する。
できたものを一緒に食べる。
大きな目的がなくても、人が顔を合わせる時間になります。
〜毎回違うことをしなくても構いません〜
地域活動を続けると、
次は新しい企画を。
もっと珍しい内容を。
と考えることがあります。
でも、
毎年春にカモミール。
毎年秋にりんごとローズマリー。
同じものを繰り返してもよいのです。
「あの季節になったら、またこの会」
という習慣になることもあります。
繰り返すことで、地域の小さな文化になることがあります
一度だけのイベントも楽しいものです。
でも、同じことを何年か続けると、
去年も参加した。
今年も来た。
子どもが大きくなった。
新しい人が加わった。
そんな時間が積み重なります。
特別なことを毎回作らなくても、繰り返すことで地域に馴染んでいく活動があります。
〜学校や子どもの活動でも、内容を工夫できます〜
学校や地域の子ども向け活動で取り入れる場合には、
植物を育てる。
香りを観察する。
食用として使えるものについて知る。
簡単なお菓子を作る。
いくつかの学びをつなげることができます。
ただし、施設のルールや食品の取り扱い、アレルギーなど、必要な確認をしたうえで行うことが大切です。
〜食育のような視点ともつながります〜
ハーブスイーツは、
おいしい。
だけで終わらせなくてもよいものです。
植物が育つ。
収穫する。
食品になる。
お菓子になる。
そして食べる。
その流れを見ることができます。
食べ物がどこから来るのかを考える、小さなきっかけになります。
〜ただし、難しい教育にしなくても構いません〜
せっかくの活動だから、
何かを学ばせなければ。
たくさん説明しなければ。
と思いすぎると、少し重くなることがあります。
触ってみる。
香ってみる。
作ってみる。
おいしかった。
それだけでも、十分な経験です。
学びは、あとからついてくることもあります。
〜地域活動では、参加しやすさも大切です〜
専門的なハーブ講座。
難しい製菓教室。
という形だけではなく、
初めてでも参加できる。
子どもでも楽しめる。
少しだけ参加してもいい。
そんな入り口を作ると、地域のいろいろな人が関わりやすくなります。
〜参加費を抑えるなら、内容も小さくする〜
地域活動では、参加費を高くしにくいこともあります。
その場合、
内容を増やしすぎない。
材料を絞る。
一種類のお菓子にする。
少人数にする。
無理なく続けられる形を考えます。
「地域活動だから持ち出しで頑張る」
だけでは、長く続けにくくなります。
〜無償で行う場合も、続けられる範囲を考える〜
ボランティアとして活動することもあります。
それも素敵な形です。
ただし、
材料費。
準備時間。
移動。
片付け。
自分の負担もあります。
一度ならできる。
でも毎月は難しい。
そんなこともあります。
善意だけに頼らず、続けられる仕組みを考えることも大切です。
〜地域活動と仕事を分けて考えてもいい〜
ある活動はボランティア。
別の教室は仕事。
イベントでは地域貢献。
普段は販売。
そんな分け方もできます。
すべてを無料にする必要もありませんし、すべてを事業にする必要もありません。
活動ごとに目的を考えます。
〜食品を扱う場合には、地域活動でも安全が基本です〜
地域の催しだから。
知っている人だけだから。
無料だから。
それでも、食品を扱うことに変わりはありません。
衛生。
保存。
温度。
使用する材料。
アレルギー。
必要な確認をします。
販売や提供方法によっては、地域の保健所などへの確認が必要になる場合もあります。
活動の形に応じて、適切なルールを確認することが大切です。
〜ハーブも、食用として適切なものを使います〜
地域の花壇に生えているから。
庭にたくさんあるから。
というだけで、食べられるとは限りません。
食品として使うなら、
食用として適切な種類であること。
栽培や管理の状況が分かること。
適切に扱われていること。
そうした確認が必要です。
植物を扱う活動だからこそ、ここは丁寧に考えます。
〜アレルギーへの配慮も忘れない〜
ハーブスイーツには、
小麦。
卵。
乳。
ナッツ類。
などを使うことがあります。
子どもが参加する活動では、とくに事前確認が大切です。
何を使うのか。
食べるのか。
持ち帰るのか。
参加者へ分かるように伝えます。
〜ハーブを健康効果だけで伝えない〜
地域活動では、さまざまな年齢や考え方の方が参加します。
ハーブを紹介するときにも、
「これを食べれば健康になる」
「この不調に効く」
といった伝え方ではなく、
香り。
植物としての特徴。
食材としての楽しみ。
そうした部分を中心にすると安心です。
ハーブスイーツは、まずお菓子として楽しむことができます。
〜地域の人に役割を持ってもらう方法もあります〜
一人ですべて準備するのではなく、
ハーブを育てる人。
会場を準備する人。
お菓子作りを教える人。
受付をする人。
写真を撮る人。
それぞれが得意なところを担当する。
それ自体が地域の協働になります。
〜「参加者」から「一緒に作る人」へ〜
最初は参加しただけの人が、
次の年には手伝ってくれる。
ハーブを育ててくれる。
自分の得意なことを持ち寄ってくれる。
そんな変化が生まれることがあります。
活動を一人で抱え込まないことで、地域の中に少しずつ広がっていきます。
〜地域の記憶として残ることもあります〜
「あの年、みんなでローズマリーのスコーンを焼いたね」
「子どもが初めてミントを摘んだね」
そんな小さな記憶。
大きなイベントでなくても、人の中には残ります。
香りは、ときどき昔の景色や時間を思い出させてくれます。
ハーブスイーツは、地域の思い出を作る一つの方法にもなります。
〜地域の魅力を新しく作る必要はありません〜
地域活動というと、
「新しい名物を作ろう」
「地域ブランドにしよう」
と考えることがあります。
それも一つの方法です。
でも、最初からそこまで目指さなくても構いません。
今ある庭。
今ある果物。
今いる人。
今使える場所。
そこにハーブスイーツを少し加える。
まずはそれで十分です。
〜すでにあるものを、少し違う角度から見る〜
地域には、すでにたくさんのものがあります。
季節。
植物。
農産物。
人。
昔からの行事。
集まれる場所。
それらへハーブスイーツという視点を加えると、少し違って見えることがあります。
何かをゼロから作らなくても、新しい組み合わせから活動は生まれます。
〜大きくしなくても、地域活動として価値があります〜
参加者が十人。
五人。
三人。
人数が少なくても構いません。
その三人が楽しかった。
次も来たいと思った。
誰かと話せた。
新しい香りを知った。
それなら、その時間には意味があります。
地域活動の価値は、参加人数だけでは測れません。
〜一人ひとりが顔の見える活動もあります〜
小さな活動だからこそ、
名前を覚える。
去年の話を覚えている。
好きなハーブを知っている。
そんな関係が生まれることがあります。
ハーブスイーツは、その間にある小さな楽しみとして置くことができます。
〜ハーブスイーツは、人が出会う小さなきっかけになります〜
地域活動で大切なのは、
何か大きな成果を残すことだけではありません。
人が集まる。
少し話す。
一緒に手を動かす。
同じものを食べる。
また会う。
そんなことも大切です。
テーブルの上に、
焼きたてのスコーン。
カモミールのクッキー。
温かいお茶。
「いい香りですね」
誰かがそう言う。
そこから、会話が始まる。
ハーブスイーツは、地域を変えるための特別な道具ではありません。
でも、
植物を知る。
季節を感じる。
一緒に作る。
一緒に食べる。
人と人が少し近づく。
そんな小さな時間を作ることはできます。
地域で育ったハーブを使ってもいい。
季節の果物と合わせてもいい。
親子で作ってもいい。
年齢の違う人たちが集まってもいい。
まずは数人で、小さな一回から。
それが楽しかったら、また次の季節に。
そんな積み重ねの中で、ハーブスイーツがその地域の日常に少しずつ馴染んでいく。
それも、ハーブスイーツの素敵な活かし方のひとつなのだと思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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