ハーブスイーツを作ることが好き。
誰かと一緒に作る時間も好き。
自分が学んできたことを、いつか誰かに伝えてみたい。
そんな気持ちが少しずつ育ってくると、
「教室を開いてみたいな」
と思うことがあります。
でも、そう思った瞬間に、
どこで開くの?
何人集めるの?
料金はいくら?
道具はどれくらい必要?
資格は?
集客は?
SNSは?
と、急に考えることが増えてしまいます。
すると、
「やっぱり私にはまだ早いかな」
と思ってしまうこともあるでしょう。
けれど、教室を開く最初の一歩は、いきなり大きく始めることではありません。
まず、
「誰に、どんな時間を届けたいのか」
を考えるところから始まります。
今回は、ハーブスイーツの教室をいつか開いてみたい方へ、最初に考えておきたいことをやさしく整理してみたいと思います。
〜まず「なぜ教室を開きたいのか」を考えてみる〜
教室を開きたいと思ったら、最初に少しだけ自分へ問いかけてみます。
なぜ、教室をしてみたいのだろう。
ハーブスイーツの楽しさを伝えたい。
作る時間を誰かと共有したい。
自分が学んできたことを役立てたい。
家で楽しめるお菓子を伝えたい。
誰かの新しい趣味のきっかけになれたらうれしい。
理由は何でも構いません。
でも、この理由が少し見えていると、そのあとの教室づくりがぶれにくくなります。
〜「教えること」が本当に好きかを考えてみる〜
お菓子を作ることが好き。
それと、
人に教えることが好き。
これは、少し違います。
自分で作るなら、自分のペースで進められます。
でも教室では、
相手がどこで迷っているかを見る。
手を止めて説明する。
同じことを別の言葉で伝える。
待つ。
一緒に確認する。
そんな時間があります。
だから、
「私は作ることだけでなく、人と一緒に作ることも好きかな」
と考えてみます。
〜上手に話せなくても、教室はできます〜
教室というと、
説明が上手。
人前で話すのが得意。
何でも答えられる。
そんな人を想像するかもしれません。
でも、大切なのは話術だけではありません。
相手の様子を見る。
分からなそうなら立ち止まる。
質問を聞く。
必要なところを丁寧に説明する。
そうしたことも、教える力です。
たくさん話すことより、
「この人なら安心して聞ける」
と思ってもらえることのほうが大切な場合もあります。
〜最初から大人数を集めなくてもいい〜
教室を開くというと、
六人。
八人。
十人。
たくさんの人が集まる風景を思い浮かべることがあります。
でも、最初は一人でも構いません。
二人でも十分です。
むしろ少人数なら、
どこでつまずくのか。
どんな質問が出るのか。
どのくらい時間がかかるのか。
よく見ることができます。
最初の教室は、教える側にとっても学びの時間です。
〜まず一回だけ開いてみる方法もあります〜
「教室を始める」
と考えると、毎月続けなければならないように感じます。
でも、
まず一回。
それでもよいのです。
一度やってみる。
終わったあとに考える。
楽しかった?
時間は足りた?
説明しにくいところはあった?
またやってみたい?
実際に一回開くことで、頭の中だけでは分からなかったことが見えてきます。
〜誰に来てほしいのかを考える〜
教室を作るとき、
「誰でも歓迎」
と考えたくなることがあります。
でも最初は、
どんな人に来てもらいたいのか。
ここを少し具体的に考えると分かりやすくなります。
ハーブを初めて使う人。
お菓子作り初心者。
家庭で楽しみたい人。
親子で作りたい人。
すでにお菓子作りが好きな人。
相手が違えば、教える内容も変わります。
〜初心者向けなら、安心できることが大切です〜
初めてハーブスイーツを作る方なら、
「失敗しないかな」
「ハーブを使ったことがないけれど大丈夫?」
と不安に感じるかもしれません。
そんな方へ向けた教室なら、
難しい知識をたくさん伝えることより、
まず一つ作れる。
ひとつのハーブを知る。
楽しかったと思える。
そのくらいを目標にしてもよいでしょう。
〜経験者向けなら、少し深い内容も考えられます〜
すでにお菓子作りをしている人なら、
香りの組み合わせ。
ハーブの量。
素材との相性。
アレンジ。
そうしたところまで深めることもできます。
大切なのは、
初心者にも経験者にも同じ内容を届けようとしないことです。
誰に向けた時間なのかが見えると、内容も決めやすくなります。
〜最初のメニューは一つで十分です〜
教室を始めるなら、
たくさんのメニューが必要。
そう思うかもしれません。
でも、最初は一つで構いません。
カモミールのクッキー。
ローズマリーのスコーン。
ミントとチョコレートの焼き菓子。
自分が作り慣れていて、
説明しやすく、
参加者にも作りやすい。
そんな一品を選びます。
〜「自分が作れる」と「教えられる」は少し違います〜
何度も作っているお菓子でも、
教えるとなると新しいことに気づきます。
なぜここで混ぜすぎないのか。
どの状態になったら次へ進むのか。
どのくらい細かくハーブを刻むのか。
どこを見れば焼き上がりが分かるのか。
普段は感覚でやっていることを、言葉にする必要があります。
一度、
「初めての人へ説明するとしたら」
と考えながら作ってみるとよいでしょう。
〜一度、誰かに説明しながら作ってみる〜
本番の前に、
家族。
友人。
知人。
誰か一人に協力してもらい、
説明しながら一緒に作ってみる方法があります。
すると、
自分では当たり前だったところで質問が出る。
思ったより時間がかかる。
説明が足りないところがある。
そんなことに気づきます。
これはとてもよい練習になります。
〜教室では「待つ時間」もあります〜
自分一人なら、どんどん作業を進められます。
でも教室では、
参加者が混ぜる。
量る。
成形する。
考える。
その時間があります。
こちらがすぐ手を出してしまうと、参加した人が自分で作る時間がなくなってしまいます。
必要なところだけ伝え、少し待つ。
教室では、この「待つ」ことも大切です。
〜すべてを直さなくてもいい〜
クッキーの形が少し不揃い。
スコーンの大きさが少し違う。
生地のまとめ方が、自分とは少し違う。
安全や仕上がりに大きく影響しないなら、全部を直さなくてもよいことがあります。
参加者自身が作ったものだからこその楽しさがあります。
教室は、先生と同じ形にする場所だけではありません。
〜成功体験を持ち帰ってもらう〜
教室を終えたとき、
「難しかった」
だけが残るより、
「家でも作れそう」
と思ってもらえるとうれしいものです。
そのためには、最初から難しすぎる内容にしないことも大切です。
ひとつ作れた。
香りを知った。
楽しかった。
また作ってみたい。
そんな小さな成功体験を持ち帰ってもらいます。
〜ハーブの説明は、必要な分だけでいい〜
ハーブについて知っていると、
あれも伝えたい。
これも知ってほしい。
となることがあります。
でも、情報を一度に詰め込みすぎると、参加者は覚えきれません。
今日はカモミール。
どんな香りか。
今回のお菓子でどう使うか。
まずはそのくらい。
必要なことから少しずつ伝えるほうが、分かりやすくなります。
〜ハーブスイーツ教室でも、お菓子としてのおいしさを大切に〜
ハーブについて学ぶ教室だからといって、
ハーブの知識だけが主役ではありません。
焼き上がったものを食べて、
「おいしい」
と思えること。
これはとても大切です。
ハーブが入っているから特別なのではなく、
お菓子としておいしく、その中に香りの楽しさがある。
その土台を忘れないようにします。
〜食用として適切なハーブを使う〜
教室では、自分以外の人が口にします。
そのため、使用するハーブについては丁寧に確認します。
食用として販売・栽培されているものを使う。
保存状態を確認する。
適切に扱う。
基本的なことですが、とても大切です。
「植物だから大丈夫」
と曖昧にしないことが安心につながります。
〜アレルギーの確認も大切です〜
お菓子には、
小麦。
卵。
乳。
ナッツ類。
などを使うことがあります。
参加者には事前に使用材料を伝え、必要な確認をします。
ハーブだけに意識が向きやすいですが、お菓子全体の材料を見ることが大切です。
誰かに教えるということには、安全への配慮も含まれます。
〜衛生面も、教室の大切な土台です〜
手洗い。
器具。
布巾。
作業台。
材料の保管。
温度管理。
お菓子教室では、衛生面も欠かせません。
華やかなレッスン内容より先に、
安心して作れる環境があること。
そこが基本です。
〜開催場所についても確認します〜
自宅。
レンタルキッチン。
貸しスペース。
公共施設。
教室を開く場所にはいろいろあります。
それぞれ利用条件があります。
とくに食品を扱う場合には、
どのような利用が可能なのか。
参加費を受け取る教室として使えるのか。
必要な確認事項はないか。
事前に確認しておくと安心です。
〜自宅教室なら、暮らしとの境目も考える〜
自宅で教室を開く場合には、家族の暮らしとの関係もあります。
どこまでを教室として使うのか。
開催時間。
駐車。
近隣への配慮。
家族の予定。
無理なく続けるには、教室だけでなく普段の暮らしも守ることが大切です。
〜レンタルスペースには違うよさがあります〜
自宅へ人を招くことに抵抗があるなら、レンタルキッチンなどを利用する方法もあります。
生活空間と分けられる。
設備が整っている場合がある。
場所によっては参加者も来やすい。
そんなよさがあります。
一方で、
利用料。
時間制限。
持ち込み。
片付け。
などもあります。
自分に合う形を考えます。
〜最初から立派な教室空間を作らなくてもいい〜
教室を始めるなら、
きれいな家具。
専用の食器。
たくさんの道具。
撮影用の飾り。
全部そろえなければと思うことがあります。
でも、最初から完璧な空間は必要ありません。
清潔。
安全。
作業しやすい。
落ち着いて過ごせる。
まずはそこが整っていれば十分です。
〜道具も、必要な数から〜
人数が二人なら、必要な道具もその分です。
まだ来るか分からない十人分を、先に全部そろえなくても構いません。
教室が育って必要になったら増やす。
最初は小さく。
設備投資を大きくしすぎないことも、続けやすさにつながります。
〜レッスン時間は、実際より少し余裕を持つ〜
自分が一人で作ると一時間。
だから教室も一時間。
とは限りません。
説明する。
質問を受ける。
参加者が作業する。
焼き上がりを待つ。
片付ける。
試食する。
いろいろな時間があります。
練習したときの時間より、少し余裕を持って考えます。
〜試食の時間も教室の一部です〜
焼き上がったら、
「では、おしまいです」
では少しもったいないものです。
まだ温かいお菓子を食べる。
香りを確かめる。
どんな感じだったか話す。
お茶を飲む。
この時間も、ハーブスイーツ教室の大切な部分です。
作るだけでなく、味わうところまで含めてひとつの体験になります。
〜レシピは、家でも分かる形に〜
教室では説明を聞きながら作れます。
でも、自宅へ戻ると先生はいません。
そのため、
材料。
分量。
工程。
大切なポイント。
できるだけ分かりやすくまとめておきます。
「家でもまた作れた」
と思ってもらえるレシピは、教室の価値を長く残してくれます。
〜料金は、遠慮だけで決めない〜
初めて教室を開くと、
「まだ初心者だから安くしないと」
と思うことがあります。
でも、レッスンには、
材料。
場所。
光熱。
資料。
準備。
片付け。
自分の時間。
いろいろなものが含まれます。
参加しやすさを考えながら、自分も無理なく続けられる金額を考えます。
〜無料で練習する時期があってもいい〜
もちろん、
最初は友人に協力してもらって練習したい。
そんな時期があっても構いません。
大切なのは、
今は練習なのか。
仕事としての教室なのか。
自分の中で区別しておくことです。
いつまでも自信がないから無料、となると続けにくくなります。
〜集客は、教室を作ってから考えても遅くありません〜
教室を開きたいと思った瞬間、
「Instagramを頑張らないと」
「フォロワーを増やさないと」
と思うことがあります。
でも、まず、
誰向けの教室なのか。
何を作るのか。
どんな時間なのか。
これが決まっていないと、何を発信すればよいかも分かりません。
中身を作る。
そのあと届ける。
順番はそれでも大丈夫です。
〜最初のお客さまは、身近なところからでも〜
知人。
友人。
以前から自分のお菓子に興味を持ってくれている人。
最初は、そんな小さなところから始まることもあります。
いきなり知らない人を何十人も集めなくても構いません。
一人の参加者と丁寧に時間を過ごす。
そこから学べることはたくさんあります。
〜人が来なかったら、内容を見直せばいい〜
募集しても、すぐに申し込みが入らないことがあります。
それだけで、
「教室に向いていない」
と決める必要はありません。
日時。
場所。
内容。
価格。
伝え方。
まだ知られていないだけ。
いろいろな理由があります。
一度で答えを出さず、少しずつ見ていきます。
〜参加者の声は、次の教室を育ててくれます〜
レッスンのあと、
どこが楽しかったか。
難しかったところはあったか。
時間はどうだったか。
家でも作れそうか。
聞いてみます。
全部をそのまま変更する必要はありません。
でも、実際に参加した人の声には、次の教室を考えるヒントがあります。
〜自分自身の振り返りも大切です〜
教室が終わったら、
うまく説明できたところ。
慌てたところ。
時間が足りなかったところ。
楽しかったところ。
簡単に書いておきます。
二回目には、少し変える。
三回目には、また整える。
教室も、お菓子と同じように繰り返しながら育っていきます。
〜何でも答えられる先生にならなくてもいい〜
質問を受けたとき、
分からないことがあるかもしれません。
そんなときは、
曖昧に答えるより、
「確認しておきますね」
で構いません。
すべて知っていることより、正確に伝えようとする姿勢のほうが大切です。
〜自分が学び続けることも教室の土台になります〜
教えるようになると、
「先生になったのだから、もう学ぶ側ではない」
と思うかもしれません。
でも、むしろ教えることで新しい疑問が出てきます。
参加者からの質問。
季節の素材。
新しい組み合わせ。
製菓の技術。
学び続けることで、教室にも少しずつ厚みが生まれます。
〜資格や講座は、自分に必要なら選べばいい〜
教室を開きたいと思うと、
「資格がないとできないのかな」
と不安になることがあります。
資格が役立つ場面もあります。
体系的に学べる。
知識を整理できる。
自分の中の基準を作れる。
説明するときの支えになる。
一方で、資格を取ることだけで教室が完成するわけでもありません。
学びと実践。
両方を少しずつ重ねていくことが大切です。
〜自分の教室らしさは、あとから見えてくることもあります〜
最初から、
「唯一無二の教室にしなければ」
と思う必要はありません。
何度か開く。
参加者と話す。
自分が好きな部分が見えてくる。
すると、
季節を大切にする教室。
初心者が安心できる教室。
親子で楽しむ教室。
香りをじっくり学ぶ教室。
少しずつ特徴が見えてきます。
自分らしさは、始める前に全部決めるものではありません。
〜教室で「何を持ち帰ってほしいか」を考える〜
レシピだけを持ち帰ってほしい。
それもひとつです。
でも、
家でも作ってみようという気持ち。
ハーブって思ったより身近なんだという発見。
季節の香りを楽しむ時間。
新しい趣味に出会った喜び。
そうしたものを持ち帰ってもらうこともできます。
この部分を考えると、教室の雰囲気も変わります。
〜教えることより「一緒に過ごす時間」と考えてみる〜
先生が上。
生徒が下。
そんな関係だけが教室ではありません。
もちろん、伝える側として準備や責任は必要です。
でも、
一緒に作る。
香りを感じる。
焼き上がりを喜ぶ。
お茶を飲む。
同じ時間を共有する。
そう考えると、教室は少しやわらかくなります。
〜最初から長く続けると決めなくてもいい〜
一度開く。
三回やってみる。
季節の教室だけにする。
それでも構いません。
続けてみて、
もっとやりたい。
今のペースが好き。
少し休みたい。
その都度考えられます。
最初から何年先まで決めなくてもよいのです。
〜教室を開くことは、完成してから始めることではありません〜
十分学んでから。
もっと上手になってから。
立派な場所ができてから。
人が集まりそうになってから。
そう考えていると、いつまでも始められないことがあります。
もちろん、準備は必要です。
安全や衛生、使用する場所など、確認すべきこともあります。
でも、
「完璧になったら始める」
ではなく、
「必要な準備をして、小さく始めながら育てる」
という方法もあります。
〜最初の一歩は、小さな一回を考えること〜
教室を開きたい。
そう思ったら、まず大きな看板を掲げなくても構いません。
紙に書いてみます。
誰に来てほしい?
何を一緒に作る?
何を持ち帰ってほしい?
何人なら落ち着いて見られる?
どのくらいの時間ならできる?
そして、
一人か二人と、小さな一回を考えてみる。
そのくらいが、最初の一歩になります。
実際にやってみると、
自分は説明することが好きだった。
試食の時間が一番好きだった。
初心者の「できた」という顔がうれしかった。
反対に、
準備が思ったより大変だった。
人数はもっと少ないほうがいい。
時間を少し長くしたい。
そんなことが分かります。
それは、やってみたからこそ分かることです。
〜教室は、少しずつ育てていけばいい〜
最初から完成した教室を作らなくても大丈夫です。
まず一品。
まず一人。
まず一回。
丁寧に準備する。
一緒に作る。
終わったら振り返る。
次に少し整える。
その繰り返しです。
教室を開く最初の一歩は、
たくさんの生徒を集めることでも。
立派な設備をそろえることでも。
完璧な先生になることでもありません。
「私は、誰かとこんな時間を過ごしてみたい」
その思いを、小さな一回の形にしてみること。
そこから、ハーブスイーツを伝える教室は少しずつ育っていくのだと思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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