『ハーブスイーツメソッドは、「正解」をひとつにするためのものではありません』

2026年09月07日 01:43
日本ハーブスイーツ協会

『Herb Sweets Method』という名前を付けて、

「香りのバランス」

「フレーバーペアリング」

「レシピクリエーション」

という三つの柱に整理してみると、ひとつの体系として少しずつ輪郭が見えてきます。

けれど、ここでひとつ大切にしておきたいことがあります。

それは、

『ハーブスイーツメソッドは、ハーブスイーツの正解をひとつに決めるためのものではない』

ということです。

「このハーブなら、この量」

「この素材なら、この組み合わせ」

「この作り方なら、このレシピ」

そんな決まりを増やしていくために、私たちはこの言葉を作ったわけではありません。

むしろ、その反対です。

レシピや決まりごとだけに頼らなくても、

自分で感じ、

自分で考え、

自分で選べるようになる。

そのための考え方を整理したものが、

Herb Sweets Methodです。

〜お菓子作りには、基本があります〜

もちろん、何でも自由でいいわけではありません。
お菓子作りには、基本があります。

小麦粉の働き。

卵の働き。

砂糖の働き。

油脂の働き。

水分との関係。

混ぜ方。

温度。

焼成。

こうした土台を無視してしまえば、思ったようなお菓子にはなりません。
ハーブにも、それぞれ特徴があります。

香りの強いもの。

穏やかなもの。

苦味を持つもの。

青さのあるもの。

熱によって印象が変わりやすいもの。
だからこそ、まず基本を知ることは大切です。

けれど、基本を知ることと、すべてを決まりにすることは違います。

基本は、自由を狭めるものではありません。
むしろ、自由に考えるための土台です。

〜同じハーブでも、「ちょうどいい」は人によって違います〜

たとえばローズの香り。

華やかに感じる人もいれば、

少し強く感じる人もいます。

カモミールのやわらかな香りが好きな人もいれば、

もう少し存在感が欲しいと感じる人もいます。

甘さの好みも違います。

酸味の好みも違います。

食感の好みも違います。

さらに、

家庭で食べるお菓子なのか。

贈り物なのか。

教室で作るのか。

お店の商品なのか。

それによっても、求める味は変わります。

だから、

「これが絶対に正しいハーブスイーツです」

と決めてしまうと、
せっかく広いはずの世界が、ずいぶん狭くなってしまいます。

〜大切なのは、「なぜそうしたのか」が自分で分かること〜

私は、完成したお菓子だけを見るより、その人が

「なぜ、このハーブを選んだのか」

「なぜ、この素材を合わせたのか」

「なぜ、このくらいの香りにしたのか」

を考えられることの方が大切だと思っています。

たとえば、

「ローズを少し控えめにしました」

という答えがあったとします。

その理由が、

「ベリーの香りも残したかったから」

なら、そこにはきちんとした考えがあります。

「レモングラスを少し強めにしました」

という場合も、

「夏に食べる軽い焼き菓子なので、爽やかさを前に出したかった」

のであれば、

それもひとつの考え方です。

正解がひとつではなくても、

自分なりの理由がある。

この状態を目指したいのです。

〜三つの柱は、「答え」ではなく「問い」です〜

『香りのバランス。』

『フレーバーペアリング。』

『レシピクリエーション。』

この三つも、

答えを覚えるための項目ではありません。

むしろ私は、それぞれが小さな「問い」だと思っています。

香りのバランスなら、

「この香りは、今のお菓子の中で心地よいだろうか」

フレーバーペアリングなら、

「なぜ、この二つを合わせるのだろう」

レシピクリエーションなら、

「ここから、どんな一品へ広げられるだろう」

という問いです。

この三つを持っておくだけで、
レシピを見る目も少し変わります。
ただ材料と分量を追うだけではなく、

「なるほど、だからこのくらいなんだ」

「この素材が、この香りを支えているんだな」

「ここは別のものにも変えられそうだ」

と考えられるようになります。

それが、レシピを読むことから、
レシピを理解することへの変化です。

〜失敗も、メソッドの一部です〜

自分で考え始めると、
当然、うまくいかないこともあります。

香りが強すぎる。

ほとんど分からない。

素材同士が少しちぐはぐに感じる。

思ったより重たい。

焼いてみたら印象が変わった。

でも、そういう経験もとても大切です。なぜなら、

「失敗した」で終わらず、

「なぜ、そうなったのだろう」

と考えることで、
次の判断材料が増えるからです。

ハーブを少し減らしてみる。

合わせる果物を変えてみる。

油脂との関係を考えてみる。

焼成を見直してみる。

ひとつ変えて、また作る。

食べる。

考える。

この繰り返しの中で、少しずつ自分の感覚が育っていきます。

〜感覚だけでも、理屈だけでもなく〜

ハーブスイーツは、香りを扱います。

だからこそ、感覚はとても大切です。食べて、

「好きだな」

「もう少し軽くしたいな」

「この香りは心地いいな」

と感じること。

それは、数字だけでは置き換えられません。

一方で、感覚だけに頼っていると、
うまくいった理由が分からないことがあります。

偶然おいしくできても、
次に再現できない。

そこで、

香りの強弱。

素材との関係。

配合。

油脂。

砂糖。

水分。

焼成。

そうした理屈が助けになります。

つまりHerb Sweets Methodは、

感覚か理屈か、どちらかを選ぶものではありません。

感じたことを、少し考えてみる。

考えたことを、実際に作って確かめる。
その往復を大切にしています。

〜作るほど、自分の中に基準が育っていきます〜

最初の頃は、レシピに書いてある通りに作ります。それで十分です。

けれど、
いくつものハーブを扱い、

いくつもの焼き菓子を作り、

いくつもの組み合わせを経験していくと、

少しずつ自分の中に基準ができます。

「このハーブは、このくらいから試してみよう」

「この香りなら、酸味のある果物が合いそう」

「この生地なら、別のハーブにも展開できそう」

そんな予測ができるようになっていきます。
もちろん、予測が毎回当たるわけではありません。

でも、以前よりも考える材料が増えています。

この蓄積こそが、学ぶことの大きな意味だと思います。

〜最後には、その人らしさが残ればいい〜

同じ講座を学び、
同じレシピから始めても、
最後まで全員が同じお菓子を作り続ける必要はありません。

ある人は、

花の香りを使ったやさしい焼き菓子が好きかもしれません。

ある人は、

ハーブとチョコレートを組み合わせた深い味わいが好きかもしれません。

ある人は、

庭で摘んだハーブを使いながら、季節のお菓子を焼くかもしれません。

ある人は、

教室で誰かに伝えるかもしれません。

ある人は、

自分のお店の商品として育てていくかもしれません。

そのどれもが、
ハーブスイーツのひとつの姿です。

だからHerb Sweets Methodの先にあるものは、

「全員が同じ答えへたどり着くこと」

ではありません。

むしろ、同じ基本を学んだ人たちが、それぞれ違う場所へ進んでいくこと。
そこに、この学びの豊かさがあります。

〜メソッドは、いつか意識しなくなるためにあります〜

最初は、

「香りのバランスを考えてみよう」

「フレーバーペアリングはどうだろう」

「ここからレシピをどう展開しよう」

と、ひとつずつ意識します。

でも、何度も作っていると、少しずつその考え方が自然になります。

庭のローズマリーを見て、

「あ、このくらいならチョコレートと合わせてもいいな」

と思う。

季節のイチゴを見て、

「今日はあのハーブと合わせてみようかな」

と思う。

台所で、

「この生地なら、こちらへ変えてもおいしそう」

と思う。

そのとき、いちいち

「今、フレーバーペアリングをしています」

とは考えません。

ただ自然に、作っています。

私は、そこまでいけばいいと思っています。
メソッドそのものを覚えることが目的なのではなく、考え方が自分の中へ溶け込み、自由に使えるようになること。
そのために、名前を付け、整理しました。

〜『Herb Sweets Method』という、小さな土台〜

香りのバランス。

フレーバーペアリング。

レシピクリエーション。

この三つを行ったり来たりしながら、

作る。

食べる。

感じる。

考える。

また作る。

その繰り返しの中で、
少しずつ自分だけの感覚が育っていきます。

Herb Sweets Methodは、

完成した答えを配るものではありません。
自分で答えを探せるようになるための、小さな土台です。

基本を知りながら、

基本に縛られない。

理屈を知りながら、

感覚も大切にする。

レシピを学びながら、

いつかレシピの先へ進んでいく。

そんなふうに、それぞれの人の暮らしや仕事の中で、
ハーブスイーツが少しずつ広がっていけばいい。

それが、

私たちがHerb Sweets Methodという言葉に込めている考え方です。


日本ハーブスイーツ協会
 白水


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