『趣味のお菓子作りを一歩進めたいとき、どんな考え方が必要?』

2026年09月04日 03:48
日本ハーブスイーツ協会

お菓子作りを続けていると、あるとき、

「もう少し上手になりたいな」

と思うことがあります。

レシピを見ながら作ることには慣れてきた。

クッキーやスコーン、マフィンも何度か焼いたことがある。

家族にも喜んでもらえる。

でも、その先へもう一歩進んでみたい。

そんな気持ちが生まれることがあります。

趣味のお菓子作りを一歩進めるというと、難しい技術を覚えたり、特別な道具をそろえたりすることを想像するかもしれません。

もちろん、それもひとつの方法です。

けれど、もっと大切なのは、

「作るときの見方を少し変えてみること」

なのかもしれません。

今回は、趣味のお菓子作りをもう少し深く楽しみたいときに持っておきたい考え方について、やさしくお話しします。

〜レシピを「手順」だけで見ない〜

お菓子作りを始めた頃は、まずレシピ通りに作ることが大切です。

材料を量る。

順番通りに混ぜる。

指定された温度で焼く。

それを繰り返すことで、少しずつお菓子作りに慣れていきます。

そして、もう一歩進みたいと思ったときには、

「なぜ、この順番なのだろう」

と考えてみます。

なぜバターをやわらかくするのか。

なぜ卵を少しずつ加えるのか。

なぜ粉を入れてから混ぜすぎないのか。

なぜこの温度で焼くのか。

レシピに書かれている動作には、それぞれ理由があります。

その理由が少しずつ分かってくると、レシピが単なる手順書ではなくなります。

〜「できた」だけでなく「どうだった?」を見る〜

お菓子が焼き上がると、

「ちゃんとできた」

それだけで満足することがあります。

もちろん、それで十分楽しいものです。

けれど、一歩深く学びたいなら、焼き上がったお菓子を少し観察してみます。

焼き色はどうだったか。

生地の膨らみ方はどうだったか。

食感は軽いか、しっとりしているか。

甘さはどうか。

香りはどうか。

翌日になると、どんな変化があるか。

こうして少し意識して食べてみると、今まで気づかなかったことが見えてきます。

お菓子を作ることと、お菓子を観察すること。

その両方が、次の一歩につながります。

〜小さな違いを比べてみる〜

上達するために、毎回まったく違うお菓子へ挑戦する必要はありません。

むしろ、同じお菓子を何度か作ってみることも、とてもよい学びになります。

たとえば、同じスコーンを焼く。

前回より少し厚く伸ばしてみる。

別の日には、ハーブを少し加えてみる。

また別の日には、果物を組み合わせてみる。

そうすると、

「ここを変えると、こう変わるんだ」

ということが分かります。

一度にたくさん変えてしまうと、何が仕上がりへ影響したのか分かりにくくなります。

ひとつずつ変える。

そして比べてみる。

この方法は、家庭のお菓子作りでも取り入れやすい学び方です。

〜失敗を「原因探し」に変えてみる〜

趣味のお菓子作りでも、思い通りにならないことはあります。

膨らまなかった。

広がりすぎた。

少し硬かった。

香りが弱かった。

焼き色が強くついた。

そんなとき、

「失敗した」

だけで終わらせず、

「なぜだろう」

と少し考えてみます。

計量は合っていたか。

材料の温度はどうだったか。

混ぜ方はどうだったか。

オーブンの状態はどうだったか。

ハーブを使ったなら、量や加えるタイミングはどうだったか。

原因をひとつずつ探していくと、失敗も大切な情報になります。

うまくいかなかった一回が、次のお菓子をよくするヒントになる。

そう思えるようになると、お菓子作りはもっとおもしろくなります。

〜材料の役割を少しずつ知る〜

お菓子作りでは、材料にもそれぞれ役割があります。

小麦粉。

砂糖。

卵。

バター。

牛乳。

生クリーム。

ベーキングパウダー。

それぞれが、味だけではなく、食感や焼き上がりにも関わっています。

たとえば砂糖は、甘さを加えるだけではありません。

バターも、香りを出すだけではありません。

材料の役割を少しずつ知ると、

「なぜこの配合なのか」

が見えてきます。

すると、レシピを読むときの見え方も変わります。

〜ハーブを使うなら「香り」も材料として考える〜

ハーブスイーツでは、さらに「香り」という要素が加わります。

カモミールの穏やかさ。

ローズマリーの青々しさ。

ミントの爽やかさ。

ローズの華やかさ。

ハーブを単に「入れる材料」と考えるだけでなく、

「この香りを、お菓子のどこで感じてほしいだろう」

と考えてみます。

最初に香るのか。

食べたときにふわっと広がるのか。

あとから鼻へ抜けるのか。

果物と一緒に感じるのか。

こうして香りまで意識し始めると、お菓子の組み立て方が少しずつ変わってきます。

〜「たくさん入れる」より、バランスを見る〜

一歩進んだお菓子作りでは、足し算だけではなくバランスも大切になります。

もっと甘く。

もっと香りを強く。

もっと具材を増やして。

そうしていくと、ひとつひとつの素材が見えにくくなることがあります。

反対に、

「これは少し減らしたほうがいいかな」

「ハーブはこのくらいで十分かな」

「果物があるから、ほかは足さなくてもよさそう」

と考える。

何かを加えるだけでなく、必要なものを選ぶ。

それも、お菓子作りを一歩進める大切な感覚です。

〜自分の「好き」を言葉にしてみる〜

お菓子を食べたとき、

「おいしい」

で終わることもできます。

でも、少しだけ言葉にしてみます。

甘さは控えめなほうが好き。

外側はさくっと、中はしっとりしているのが好き。

ハーブは強く香るより、あとからふっと分かるくらいが好き。

果物の酸味があるほうが好き。

そうやって自分の好みを言葉にすると、お菓子作りの方向性が見えてきます。

誰かの正解ではなく、

「私はこういうお菓子が好き」

という基準が少しずつできていきます。

〜記録を残してみる〜

毎回きちんとしたノートを書く必要はありません。

ほんの少しだけでも十分です。

今日のハーブは少し強かった。

焼成をあと二分短くしてもよさそう。

この組み合わせはまた作りたい。

家族にはこちらのほうが好評だった。

そんな一言でも残しておくと、次に作るときの助けになります。

お菓子作りは、同じように作ったつもりでも少しずつ違います。

だからこそ、自分の経験を残しておくことには意味があります。

小さな記録が積み重なると、それが自分だけのレシピ帳のようになっていきます。

〜分からないことを調べる習慣を持つ〜

一歩進んで学び始めると、疑問も増えてきます。

どうして今回は膨らまなかったのだろう。

なぜこのハーブとこの果物は合うのだろう。

フレッシュとドライでは、どう使い分ければよいのだろう。

そんな疑問が出てきたとき、少し調べてみる。

本を読む。

信頼できる情報を見る。

経験のある人から教わる。

疑問をそのままにせず、一つずつ確かめていく。

この習慣が、少しずつ知識をつないでくれます。

〜体系的に学ぶという選択もあります〜

趣味で楽しむだけなら、必ずしも講座などで学ぶ必要はありません。

自分のペースで作り、調べながら楽しむことも立派な学び方です。

一方で、

「知識がばらばらになってきた」

「基本から順番に整理したい」

「もっと自分で組み合わせを考えられるようになりたい」

と思うことがあります。

そんなときには、体系的に学ぶという選択肢もあります。

独学か、講座か。

どちらが正しいというものではありません。

今の自分がどこまで知りたいのか。

何をできるようになりたいのか。

そこから選べばよいのです。

〜上達は、難しいものを作ることだけではありません〜

お菓子作りが上手になるというと、

難しいケーキを作れる。

複雑なデコレーションができる。

そんなことを思い浮かべるかもしれません。

けれど、それだけではありません。

シンプルなクッキーを、いつも安定して焼ける。

スコーンの好みの食感を自分で調整できる。

ハーブの香りを強くしすぎず、ちょうどよく仕上げられる。

果物との組み合わせを自分で考えられる。

こうしたことも、立派な上達です。

むしろ、シンプルなお菓子ほど、小さな違いがよく見えます。

〜趣味だからこそ、急がなくていい〜

趣味のお菓子作りを一歩進めたいと思うと、

「もっと勉強しなければ」

「もっとたくさん作らなければ」

と思うことがあります。

でも、急ぐ必要はありません。

ひとつ作る。

食べる。

少し考える。

また作りたくなったら、次を作る。

それだけでも十分に前へ進んでいます。

趣味だからこそ、自分の暮らしに合った速度で続けることができます。

無理なく続けられることも、大切な力です。

〜一歩進むというのは、見えるものが増えること〜

趣味のお菓子作りを一歩進めるために、特別なことから始める必要はありません。

レシピの理由を少し考えてみる。

焼き上がりを観察してみる。

ひとつだけ条件を変えて比べてみる。

失敗の原因を考えてみる。

材料の役割を知る。

自分の好きな味や香りを言葉にする。

そして、必要になったら学びを深めてみる。

そうした積み重ねによって、今まで何気なく見ていたものが、少しずつ違って見えてきます。

同じクッキーを焼いていても、

生地の状態。

バターの香り。

焼き色。

ハーブの残り方。

食べたときの余韻。

いろいろなことに気づくようになる。

それが、お菓子作りを一歩進めるということなのかもしれません。

難しいお菓子を作れるようになることだけが、次の段階ではありません。

ひとつのお菓子を、昨日より少し深く見られるようになる。

その小さな変化を楽しみながら、自分らしいお菓子作りをゆっくり育ててみてください。


日本ハーブスイーツ協会
白水

■あわせて読みたい
趣味のお菓子作りと、仕事としてのお菓子作りについてお話しています▼
https://www.herbsweets-japan.com/blog/175195/

一一一一一一一一一一一
あなたの普段の日常に、穏やかなハーブの香りと学びを。
ご自宅で気軽に楽しむ初級講座から、資格取得を目指す講座まで。講座の内容や、それぞれの学び方は、『ハーブスイーツマイスター講座のご案内』にてご覧いただけます。

https://www.herbsweets-japan.com/

他の記事もお読みになりたい方へ。私たち日本ハーブスイーツ協会の活動や、私たちがハーブスイーツを好きになったきっかけなどをまとめています。
https://www.herbsweets-japan.com/blog/cate/15677/

記事一覧を見る