ハーブスイーツを学んでみたいと思ったとき、
「本やインターネットを見ながら、独学でもできるのかな」
と考える方は少なくありません。
今は、さまざまな情報を自分で探すことができます。
ハーブについて調べることもできますし、お菓子のレシピもたくさん見つかります。
そのため、独学でハーブスイーツを楽しむことは十分可能です。
一方で、
「最初は楽しかったけれど、いつの間にか作らなくなってしまった」
「調べれば調べるほど分からなくなった」
「何から学べばいいのか迷って止まってしまった」
ということもあります。
では、独学で続けられる人と、途中で挫折しやすい人には、どんな違いがあるのでしょうか。
今回は、能力や向き不向きではなく、「続けやすい学び方」という視点から考えてみたいと思います。
〜独学で続くかどうかは、才能だけでは決まりません〜
独学を続けられる人を見ると、
「もともと器用だから」
「知識があるから」
「自分で何でもできる人だから」
と思うことがあります。
もちろん、経験や得意不得意による違いはあります。
けれど、独学が続くかどうかは、それだけで決まるものではありません。
むしろ大きいのは、
どのくらいの目標を置いているか。
分からないことと、どう付き合っているか。
失敗したときに、どう受け止めるか。
自分の暮らしの中へ、どのように学びを置いているか。
こうした部分です。
独学は、自分で進め方を決められる自由な学び方です。
その自由さが心地よい人もいれば、逆に「何をすればいいのか分からない」と感じる人もいます。
〜続けられる人は、最初から全部を分かろうとしません〜
ハーブには、たくさんの種類があります。
お菓子にも、クッキー、スコーン、マフィン、ケーキ、タルトなど、いろいろあります。
さらに、
ハーブの特徴。
香りの組み合わせ。
ドライとフレッシュの違い。
製菓材料の役割。
焼成温度。
保存方法。
調べ始めれば、知りたいことはいくらでも出てきます。
ここで、
「最初に全部理解してから始めよう」
と思うと、なかなか一歩目が踏み出せません。
独学を続けやすい人は、意外とシンプルです。
今日はカモミールを使ってみる。
次はローズマリー。
まずはクッキーを焼いてみる。
そんなふうに、必要なことを少しずつ覚えていきます。
分からないことが残っていても、いったん作ってみる。
この軽さが、独学を長く続ける助けになります。
〜挫折しやすいのは「分からないこと」が増えすぎたとき〜
独学では、自分で情報を探します。
これは大きな利点でもあります。
けれど、情報が多すぎると、反対に迷いやすくなります。
ある本ではこう書いてある。
別の記事では違う方法が紹介されている。
動画ではまた別のやり方をしている。
すると、
「結局、どれが正しいの?」
と分からなくなってしまいます。
実際には、お菓子作りには複数の方法があることも珍しくありません。
材料や作りたい仕上がりによって、方法が変わることもあります。
けれど、基本となる考え方をまだ持っていない段階では、違う情報を整理するのが難しいことがあります。
独学で行き詰まりやすい理由のひとつは、「情報が足りないこと」よりも、「情報が多すぎて整理できないこと」なのです。
〜続けられる人は、小さな成功を積み重ねています〜
最初から難しいものに挑戦するより、
「できた」
と思える経験を積み重ねることも大切です。
たとえば、普段作っているクッキーにカモミールを少し加えてみる。
いつものスコーンにローズマリーを混ぜてみる。
マフィンにミントを合わせてみる。
大きな挑戦ではありません。
けれど、
「ちゃんと香った」
「思ったよりおいしかった」
「家族が喜んでくれた」
そんな経験がひとつあると、
「次も作ってみようかな」
と思えます。
学びを続ける力になるのは、大きな成功だけではありません。
小さな「楽しかった」が積み重なることも、とても大切です。
〜完璧を求めすぎると、独学は苦しくなります〜
独学で挫折しやすくなる理由のひとつに、完璧を求めすぎることがあります。
レシピ通りに作ったのに、写真と少し違う。
思ったほどハーブが香らなかった。
焼き色が均一ではなかった。
すると、
「失敗した」
と思ってしまう。
けれど、お菓子作りでは、一回で理想通りにならないこともあります。
とくにハーブは香りを扱う素材です。
同じ種類でも状態によって香り方が違うことがありますし、人によって心地よく感じる量も違います。
「今回は少し弱かったな」
「次は少しだけ増やしてみよう」
それで十分です。
失敗を終わりにするのではなく、次の調整材料にする。
この考え方ができると、独学はずっと楽になります。
〜「なぜ?」を楽しめる人は独学と相性がよい〜
独学には、答えがすぐに出ない場面があります。
なぜ香りが弱くなったのだろう。
なぜこの組み合わせはおいしく感じるのだろう。
ドライとフレッシュでは、どう違うのだろう。
そんな疑問が生まれます。
ここで、
「分からないから嫌だ」
となる場合もあれば、
「なんでだろう。ちょっと調べてみよう」
となる場合もあります。
後者のように、疑問そのものを楽しめる人は独学と相性がよいでしょう。
調べる。
試す。
食べる。
また考える。
この繰り返しそのものが学びになります。
ハーブスイーツは、香りという感覚的な部分も大きいため、自分で確かめていく楽しさがあります。
〜反対に、答えが見えない状態が続くと疲れることもあります〜
もちろん、
「自分で調べることが苦手」
という意味ではありません。
誰でも、答えが見えない状態が長く続けば疲れます。
たとえば、
何度作ってもうまくいかない。
調べても原因が分からない。
情報が多すぎて整理できない。
自分の理解が合っているのか確信が持てない。
こうした状態が続くと、楽しかったはずのお菓子作りが、だんだん負担になることがあります。
そんなときには、
「もっと頑張って独学しなければ」
と思わなくてもよいのです。
一度基本へ戻ったり、体系的にまとめられたものを読んだり、人から教わったりすることで、急に見通しがよくなることもあります。
〜独学では「何を学ばないか」を決めることも大切〜
独学というと、たくさん勉強することを想像しがちです。
けれど、続けるためには、範囲を広げすぎないことも大切です。
たとえば、
まずは焼き菓子だけ。
まずは三種類のハーブだけ。
まずは家庭で楽しむ範囲だけ。
そう決めることもできます。
学び始めると、
「あれも知らなければ」
「これも勉強しなければ」
と思いやすくなります。
でも、今必要ではないことまで全部学ぶ必要はありません。
自分が今楽しみたい範囲を決める。
それだけでも、独学はずっと続けやすくなります。
〜暮らしの中に無理なく置ける人は続きやすい〜
独学を続けるためには、時間の使い方も大切です。
毎週必ず何時間勉強する。
毎月何種類も作る。
そう決めることが合う人もいます。
けれど、家庭で楽しむのであれば、もっとゆっくりでもよいと思います。
休日に一度焼く。
気になるハーブを見つけたら調べる。
庭のミントが元気になったら、マフィンに使ってみる。
暮らしの中に、無理のない形で学びを置いておく。
そうすると、
「勉強しなければ」
ではなく、
「今日は作ってみようかな」
という気持ちで続けられます。
長く続けるためには、この自然さも大切です。
〜独学に向いている人、講座に向いている人〜
独学と講座は、どちらが優れているというものではありません。
自分で調べながら自由に試したい。
時間をかけて、自分のペースで楽しみたい。
必要なことだけ少しずつ知りたい。
そんな方には、独学が合うことがあります。
一方で、
最初に基本を整理して知りたい。
何から学べばよいのか道筋がほしい。
疑問が出たときに確認できる場所がほしい。
もう少し深く体系的に学びたい。
そう感じるなら、講座という選択肢が合うこともあります。
大切なのは、「独学できる自分でなければならない」と考えないことです。
目的に合った方法を選べばよいのです。
〜独学から学びの場へ進むことも自然な流れです〜
最初は本を一冊買う。
インターネットで調べる。
好きなハーブでお菓子を作ってみる。
それだけで十分です。
そして続けているうちに、
「もっと香りの組み合わせを知りたい」
「なぜこの配合になるのか理解したい」
「自分でレシピを考えられるようになりたい」
と思うことがあります。
そのときに初めて、体系的に学ぶことを考えても遅くありません。
独学と講座は、対立するものではありません。
独学で楽しみ、その先でもっと知りたくなったから学ぶ。
そんな流れも、とても自然です。
〜挫折することは、向いていないという意味ではありません〜
一度作らなくなったからといって、ハーブスイーツに向いていないわけではありません。
忙しくなった。
ほかのことに興味が向いた。
少し難しく感じた。
理由はいろいろあります。
半年後に、また作りたくなることもあります。
庭にハーブが咲いて、
「久しぶりに焼こうかな」
と思うかもしれません。
学びには、ずっと同じ速度で進まなければならないという決まりはありません。
休んでもいい。
戻ってもいい。
違う方法を選んでもいい。
そう考えると、独学との付き合い方も少しやさしくなります。
〜続けられる人が持っているのは「小さな好奇心」〜
独学で長く続けている人が、いつも強い意志を持っているとは限りません。
むしろ、
「次はこれを試してみようかな」
という、小さな好奇心を持っていることが多いように思います。
カモミールとりんごを合わせてみよう。
ローズマリーを少し減らしてみよう。
今度はドライではなく、庭のフレッシュハーブを使ってみよう。
そんな小さな興味が、次の一歩になります。
大きな目標がなくても構いません。
ひとつ作って、ひとつ気づく。
また作りたくなったら作る。
その繰り返しでも、学びは少しずつ深まっていきます。
〜自分に合った学び方なら、それがいちばんです〜
独学で続けられる人と、挫折しやすい人。
その違いは、単純な能力の差ではありません。
全部を理解しようとしすぎないこと。
小さな成功を楽しむこと。
失敗を次の材料にすること。
情報を広げすぎないこと。
自分の暮らしに合ったペースを選ぶこと。
そして、必要になったら誰かから学ぶことも選択肢に入れておくこと。
こうした小さな違いが、続けやすさにつながります。
独学が楽しいなら、そのままゆっくり続ければよい。
少し迷い始めたら、一度立ち止まって整理してみる。
もっと深く知りたくなったら、体系的に学んでみる。
大切なのは、「どの方法が正しいか」ではありません。
自分がハーブの香りを楽しみながら、無理なく学び続けられるかどうかです。
一冊の本から始まる人もいます。
一枚のクッキーから始まる人もいます。
講座から始める人もいます。
入口は違っても、そこからハーブの香りに触れ、お菓子を作る時間を楽しめるのであれば、それぞれに合ったよい学び方なのだと思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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