ハーブをお菓子に使ってみようと思ったとき、
「そのまま入れていいの?」
「洗ったほうがいい?」
「茎は取るの?」
「ドライハーブも何か準備が必要?」
そんな疑問が出てくることがあります。
料理では見かけるハーブも、お菓子作りになると少し勝手が違うように感じるかもしれません。
けれど、ハーブの下処理は、それほど難しいものではありません。
大切なのは、
「清潔にする」
「余分な水分を残さない」
「食感を整える」
「香りが生地になじみやすい状態にする」
という、いくつかの基本です。
今回は、お菓子作りでハーブを使うときの下処理について、フレッシュハーブとドライハーブに分けながら、やさしくご紹介します。
〜そもそも、ハーブの下処理はなぜするの?〜
お菓子作りでハーブを使うとき、下処理をする理由はいくつかあります。
まずは、汚れなどを取り除いて清潔な状態にすること。
次に、お菓子の中で食べやすい大きさや状態に整えること。
そして、ハーブの香りが生地やクリームになじみやすくすることです。
たとえば、フレッシュローズマリーを長い葉のままクッキー生地へ入れると、食べたときに繊維が気になることがあります。
ドライハーブも、大きな葉や茎が残ったままだと、お菓子の口当たりを邪魔することがあります。
下処理というと特別な作業のようですが、
「お菓子として食べやすい状態に整える」
と考えると分かりやすいでしょう。
〜まずは食用のハーブを使いましょう〜
下処理以前に確認しておきたいのが、そのハーブが食用として使えるものかどうかです。
観賞用や園芸用として販売されている植物が、必ずしも食品として適しているとは限りません。
ドライハーブなら、ハーブティー用や食品用として販売されているもの。
フレッシュハーブなら、食用として栽培・販売されているものや、ご家庭で食用として育てているものを使います。
安心して食べられるものを選ぶことが、すべての基本になります。
〜フレッシュハーブは、まず状態を確認します〜
庭や鉢植えから摘んだフレッシュハーブは、使う前に葉の状態を確認します。
傷んでいる葉。
変色している部分。
枯れている部分。
こうしたところがあれば取り除きます。
市販のフレッシュハーブでも同じです。
きれいな葉を選び、お菓子に使いやすい部分だけを残します。
摘みたてのハーブなら、この時点ですでにふわっと香りが立ってくることがあります。
その香りを確かめながら、
「今日はどんなお菓子にしようかな」
と考える時間も楽しいものです。
〜フレッシュハーブはやさしく洗う〜
フレッシュハーブは、必要に応じて水でやさしく洗います。
強い流水を直接当て続けるというより、葉を傷めないように丁寧に扱います。
とくにミントやレモンバームなどのやわらかな葉は、強くこすると傷みやすいものです。
軽く水ですすぎ、汚れなどを落とします。
そして、ここからが焼き菓子では大切です。
洗ったあとの水気を、しっかり取ります。
〜焼き菓子では「水気を取る」が大切〜
クッキーやスコーンなどの焼き菓子では、生地に含まれる水分の量が仕上がりへ影響します。
そのため、洗ったハーブがびしょびしょのままでは、生地へ余分な水分を加えてしまいます。
キッチンペーパーなどで葉をやさしく挟み、水気を取ります。
必要であれば、少し置いて表面を乾かしてから使います。
たったこれだけですが、お菓子作りでは大切なひと手間です。
「洗う」だけではなく、
「洗ったら乾かす」
ところまでをひとつの作業として覚えておくとよいでしょう。
〜硬い茎は取り除く〜
ハーブによっては、葉と茎で硬さが大きく違います。
たとえばローズマリーなら、葉を枝から外して使うことが多くなります。
タイムなども、硬い茎が気になる場合は葉の部分を中心に使います。
すべての茎を必ず取り除かなければならない、というわけではありません。
大切なのは、
「焼き上がったお菓子を食べたときに気にならないか」
という視点です。
口に残りそうな硬い茎や繊維は取り除いておく。
それだけでも、仕上がりの食べやすさが変わります。
〜フレッシュハーブは細かく刻む〜
フレッシュハーブを生地へ混ぜ込む場合は、細かく刻んで使うことが多くなります。
水気を取った葉をまな板へ置き、包丁で細かく刻みます。
ローズマリーなら、さくさくと細かく。
ミントやレモンバームなら、葉をまとめてとんとんと。
刻むたびに、ハーブの香りがふわっと広がります。
細かくすることで、生地全体へ散らばりやすくなり、一か所だけ香りや葉の食感が強くなるのを防ぎやすくなります。
ただし、あまり細かくしすぎる必要がない場合もあります。
お菓子の中に少し葉の表情を残したいときは、やや粗めに刻むこともできます。
〜刻んだハーブは、なるべく早めに使う〜
フレッシュハーブは、刻んだ瞬間から香りが立ち始めます。
それはとても心地よい瞬間ですが、同時に、香りが少しずつ空気中へ広がっているということでもあります。
そのため、細かく刻んだハーブは長時間置いておくより、なるべく早めに生地へ加えるほうがよいでしょう。
お菓子の材料をある程度準備してから、最後のほうでハーブを刻む。
そんな順番にしておくと、作業もスムーズです。
〜ドライハーブは洗わなくてもいい?〜
食品用として適切に製造・包装されているドライハーブは、通常はそのまま使用できます。
水で洗ってしまうと水分を吸い、扱いにくくなることがあります。
そのため、ドライハーブの場合は「洗う」というより、
「大きさや硬さを確認する」
ことが下処理の中心になります。
袋から少量取り出して、
大きすぎる葉はないか。
硬い茎が混ざっていないか。
そのまま食べても食感が気にならないか。
を確認してみます。
〜ドライハーブは必要に応じて細かくします〜
ドライハーブは、乾燥している分、葉の形や繊維が口に残りやすいことがあります。
クッキーやスコーンなどへ直接混ぜるなら、必要に応じて細かくします。
指先ですりつぶす。
すり鉢を使う。
ミルなどで細かくする。
方法はいろいろあります。
細かくすると、生地になじみやすくなるだけでなく、香りも感じやすくなります。
ただし、粉末状にしすぎると香りの印象が変わる場合もあります。
最初は少しずつ試しながら、自分の好きな細かさを見つけてみてください。
〜生地へ直接入れない方法もあります〜
ハーブの下処理というと、刻んだり細かくしたりすることを思い浮かべやすいですが、必ずしも葉そのものをお菓子へ残す必要はありません。
たとえば、牛乳や生クリームへハーブを入れて温めたり、一定時間置いたりして香りを移す方法があります。
そのあとハーブを漉して、香りのついた液体だけをお菓子に使います。
こうすれば、葉の食感を残さず、香りだけをやわらかく取り入れることができます。
クリーム。
プリン。
ムース。
焼き菓子に使う牛乳。
こうしたものにも応用できます。
「刻んで混ぜる」だけでなく、
「香りを移して、取り除く」
という方法も覚えておくと、お菓子作りの幅が広がります。
〜ハーブによって下処理を変えて大丈夫です〜
すべてのハーブを同じ方法で扱う必要はありません。
ローズマリーなら、硬い枝を外して葉を細かく刻む。
ミントなら、やわらかな葉を水気を取ってから刻む。
カモミールのドライなら、花の状態を見ながら必要に応じて細かくする。
レモングラスなら、使う部分やお菓子によって、細かくしたり香りを抽出したりする。
ハーブには、それぞれ違った形や香り、食感があります。
その違いに合わせて下処理を変えることも、ハーブスイーツ作りの大切な部分です。
〜下処理をしすぎないことも大切です〜
丁寧に扱おうとすると、つい何でも細かくしたり、長く洗ったり、たくさん手を加えたりしたくなることがあります。
けれど、必要以上に手を加える必要はありません。
きれいな状態にする。
水気を取る。
硬い部分を除く。
必要な大きさに整える。
それで十分なことも多いものです。
ハーブの香りは繊細です。
だからこそ、
「何をすればよいか」
だけでなく、
「どこまで手を加えれば十分か」
という感覚も大切にしたいところです。
〜下処理は、香りを楽しむための小さな準備〜
ハーブの下処理というと、少し難しそうに聞こえるかもしれません。
けれど、お菓子作りではそれほど複雑ではありません。
フレッシュハーブなら、
状態を見る。
必要に応じて洗う。
水気をしっかり取る。
硬い茎を除く。
使いやすい大きさに刻む。
ドライハーブなら、
状態を見る。
硬い部分を取り除く。
必要に応じて細かくする。
基本は、このくらいです。
あとは、作るお菓子やハーブの種類に合わせて少しずつ変えていきます。
庭から摘んできたミントの水気をそっと拭く。
ローズマリーの葉を枝から外し、さくさくと刻む。
ドライカモミールを指先で少し細かくして、生地へ混ぜる。
そんな小さな準備の間にも、台所には少しずつハーブの香りが広がります。
下処理は、ただの準備作業ではありません。
これから作るお菓子の香りを確かめる、最初の時間でもあります。
難しく考えすぎず、そのハーブの形や香りを見ながら。
お菓子として食べやすく、香りを楽しみやすい状態へ整えてあげる。
まずは、そんなシンプルな考え方から始めてみてください。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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