和菓子とハーブスイーツ。
どちらも、強い味だけで楽しむお菓子ではありません。
口に入れた瞬間のおいしさだけではなく、
そのあとに残る香りや甘さ。
季節の気配。
一緒に飲むお茶との時間。
そんなものまで含めて味わうところに、どこか似た魅力があります。
けれど、実際に食べてみると、その余韻の感じ方には少し違いがあります。
今回は、和菓子とハーブスイーツの違いを、「食べたあとに残るもの」という目線からやさしく考えてみます。
〜和菓子には、素材そのものの静かな余韻があります〜
和菓子には、小豆、米、寒天、栗、芋、胡麻、抹茶など、日本の暮らしの中で長く親しまれてきた素材が使われています。
たとえば、ひと口の羊羹。
やわらかな大福。
季節の生菓子。
食べたあとに残るのは、甘さだけではありません。
小豆の風味。
米のやさしさ。
抹茶のほろ苦さ。
そこに、お茶の香りが重なります。
華やかに主張するというより、静かにほどけていくような余韻があります。
〜ハーブスイーツには、香りがあとから追いかけてくることがあります〜
ハーブスイーツでは、甘さや食感を感じたあとに、植物の香りがふわっと広がることがあります。
カモミールのやわらかな香り。
ローズの華やかさ。
ローズマリーのすっとした爽やかさ。
ミントの清涼感。
レモンバームの明るい香り。
ひと口食べたあと、少し遅れて香りが鼻へ抜ける。
その感覚が、ハーブスイーツならではの余韻のひとつです。
〜和菓子は「引き算」、ハーブスイーツは「重なり」を楽しむことも〜
もちろん、すべてのお菓子をひとつの言葉で表すことはできません。
それでも、あえて大きく捉えるなら、和菓子には素材を絞り込み、その少ない要素の中で味わいを整える美しさがあります。
小豆と砂糖。
餅と餡。
寒天と季節の果物。
素材が少ないからこそ、それぞれの輪郭がよく見えます。
一方、ハーブスイーツでは、
バター。
小麦粉。
砂糖。
卵。
果物。
チョコレート。
そこへ植物の香りを重ねていきます。
味の上に香りを重ね、その組み合わせによって新しい余韻を作る。
そんな面白さがあります。
〜季節の感じ方にも、それぞれの良さがあります〜
和菓子は、季節との結びつきがとても深いお菓子です。
桜。
紫陽花。
紅葉。
雪。
形や色、名前そのものから季節を感じることができます。
まだその季節が来る少し前に、和菓子の中で先取りして楽しむこともあります。
ハーブスイーツもまた、季節と一緒に楽しむことができます。
春のカモミール。
初夏のミント。
庭のローズマリー。
秋の果物に合わせるハーブ。
季節の植物を実際に摘み、その香りをお菓子へ取り入れることもできます。
和菓子が季節を「映す」とすれば、ハーブスイーツは季節の香りを「連れてくる」。
そんな違いを感じることがあります。
〜甘さのあとに、何を残したいか〜
お菓子を考えるとき、
「どんな味にしたいか」
だけでなく、
「食べたあとに、どんな感じが残ってほしいか」
と考えることがあります。
すっと消えていく甘さ。
ほのかな苦味。
果物の酸味。
バターの香ばしさ。
そして、植物の香り。
ハーブスイーツでは、この最後の「香りの残り方」が、お菓子全体の印象を大きく変えることがあります。
たとえば、同じ焼き菓子でも、ローズを合わせるのか、ローズマリーを合わせるのかで、食べたあとの景色はまったく違います。
〜和菓子とハーブは、実は遠い存在ではありません〜
和菓子とハーブスイーツは、まったく別の文化に見えます。
けれど、日本のお菓子にも昔から植物の香りは取り入れられてきました。
桜の葉。
よもぎ。
柚子。
山椒。
紫蘇。
植物の香りをお菓子に添えるという考え方そのものは、日本の食文化にも自然に存在しています。
そう考えると、和菓子とハーブスイーツは、それほど遠く離れたものではないのかもしれません。
植物の香りをどう甘さと結びつけるか。
その方法や文化的な背景が少し違うだけで、どちらにも季節や香りを大切にする感覚があります。
〜余韻まで味わうと、お菓子はもっと面白くなります〜
和菓子には、静かにほどけていくような余韻があります。
ハーブスイーツには、食べたあとに植物の香りがふわりと残る余韻があります。
もちろん、お菓子によってその表情はさまざまです。
どちらが優れているということでもありません。
今日は、温かいお茶と小さな和菓子をゆっくり味わう。
別の日には、焼きたてのハーブスイーツと紅茶を楽しむ。
そんなふうに、その日の気分で選ぶことができます。
お菓子は、口に入れた瞬間だけで終わるものではありません。
飲み込んだあとに残る香りや甘さ。
そのときに一緒に見ていた景色。
季節の空気。
そんなものまで含めて、ひとつのお菓子の記憶になっていきます。
和菓子とハーブスイーツ。
それぞれの余韻に耳を澄ませるように味わってみると、お菓子を楽しむ時間が、また少し深くなるのではないかと思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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