ハーブを使ったお菓子と、スパイスを使ったお菓子。
どちらも香りを楽しむお菓子ですが、
「そもそも、何が違うの?」
と思うことがあります。
たとえば、カモミールやミントを使った焼き菓子はハーブスイーツ。
シナモンやカルダモンを使ったお菓子はスパイススイーツ。
なんとなくそんなイメージはあっても、はっきり説明しようとすると少し迷うかもしれません。
今回は、ハーブスイーツとスパイススイーツの違いを、お菓子作りの目線からやさしく考えてみます。
〜ハーブとスパイスは、きれいに分けられないこともあります〜
まず知っておきたいのは、ハーブとスパイスには、必ずしも完全な境界線があるわけではないということです。
料理の世界では一般的に、
葉や花、やわらかな茎などを香りづけに使うものを「ハーブ」。
種子、樹皮、根、果実などを乾燥させて使うものを「スパイス」。
そのように分けて考えることがあります。
たとえば、
ミントやローズマリー、レモンバームなどはハーブ。
シナモンやカルダモン、クローブなどはスパイス。
というイメージです。
ただし植物の使い方や文化によって分類の考え方は変わるため、厳密に線を引くというより、料理やお菓子の世界で使われる大まかな呼び分けとして考えると分かりやすいと思います。
〜ハーブスイーツは、軽やかな香りや余韻を楽しみやすい〜
ハーブスイーツでは、植物の持つ爽やかさや華やかさ、やわらかな香りを生かすことが多くあります。
カモミールの穏やかな香り。
ミントの清々しさ。
ローズの華やかさ。
ローズマリーのすっとした香り。
レモンバームの明るい柑橘を思わせる香り。
お菓子そのものの味わいの中に、こうした香りがふわりと重なります。
食べた瞬間だけではなく、口の中から香りが抜けていくときの余韻も、ハーブスイーツの楽しさのひとつです。
〜スパイススイーツは、温かみや深みを作りやすい〜
一方、スパイスには力強く印象的な香りを持つものが多くあります。
シナモン。
カルダモン。
クローブ。
ジンジャー。
ナツメグ。
こうした香りをお菓子に加えると、甘さの中に奥行きが生まれます。
シナモンを使ったアップルパイや、ジンジャークッキーなどを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。
焼き菓子の温かさと重なることで、ほっとするような香りになったり、少し異国的な印象を加えたりすることもあります。
〜違いは「強さ」だけではありません〜
ハーブはやさしくて、スパイスは強い。
そんなふうに考えたくなることもありますが、実際にはそれほど単純ではありません。
ローズマリーのように輪郭のはっきりしたハーブもあります。
一方で、カルダモンのように爽やかさを持ったスパイスもあります。
大切なのは、香りの強弱だけではなく、
どんな方向へ香るのか。
甘さと合わせたときにどう変わるのか。
焼いたあとにどんな余韻を残すのか。
というところです。
〜お菓子の中で担う役割も少し違います〜
ハーブスイーツでは、素材の香りに軽やかな変化を加えるような使い方がよく似合います。
たとえば、いつものスコーンにローズマリーを加える。
マフィンにカモミールを合わせる。
チョコレートのお菓子にミントを加える。
すると、よく知っているお菓子の中に、少し違った風が入ります。
一方、スパイスは、お菓子全体の印象そのものを作る役割を担うことがあります。
シナモンが香るだけで秋や冬を思わせたり、カルダモンによって少し異国の空気を感じたり。
香りがお菓子の世界観を大きく作ることもあります。
〜ハーブとスパイスを一緒に使うこともできます〜
ハーブとスパイスは、どちらか一方を選ばなければならないものではありません。
組み合わせることもできます。
たとえば、柑橘を思わせるハーブに少量のジンジャーを合わせたり、やさしい花の香りにスパイスをほんの少し添えたり。
それぞれの香りが支え合うと、単独では生まれなかった奥行きが出ることがあります。
ただし香りのある素材を重ねすぎると、それぞれの個性が分かりにくくなることもあります。
最初は主役となる香りを一つ決め、もう一方はそっと支えるくらいから考えると、まとまりやすくなります。
〜どちらも「香りを味わうお菓子」です〜
ハーブスイーツとスパイススイーツには違いがあります。
けれど、どちらにも共通しているのは、甘さだけではなく「香り」を味わうお菓子であることです。
食べる前に漂う香り。
口に入れたときに広がる香り。
飲み込んだあとに残る余韻。
そこまで含めて楽しめるところに、どちらのお菓子にも面白さがあります。
ハーブスイーツには、植物の軽やかさや季節を感じさせる魅力があります。
スパイススイーツには、深みや温かみ、力強い香りの魅力があります。
どちらが優れているということではありません。
今日は爽やかな香りのお菓子が食べたい。
今日はシナモンの効いた温かな焼き菓子が食べたい。
そんなふうに、その日の気分や季節に合わせて選ぶことができます。
香りという入り口からお菓子を眺めてみると、いつものお菓子作りにも、また少し違った楽しみが見えてくると思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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