「お菓子を食べるのは大好きなんです。」
そうおっしゃる方は、本当にたくさんおられます。
でも、そのあとに続く言葉は、意外と同じです。
「でも、自分で作るのは難しそう。」
30年間、お菓子に携わってきて、この言葉を何度聞いたか分かりません。
甘いものが好きな人はたくさんいる。
それなのに、お菓子作りを始める方は、思っているほど多くありません。
なぜなのでしょうか。
今日は、その理由について、私なりに感じてきたことをお話しします。
〜「失敗したくない」が最初の壁〜
一番多い理由は、とてもシンプルです。
「失敗したらどうしよう。」
その気持ちです。
レシピを見ても、
「ちゃんと膨らむかな。」
「固くならないかな。」
「材料がもったいないかな。」
そんな不安が先に立ってしまいます。
でも、それはとても自然なことです。
誰でも初めては初心者です。
〜お店の完成形を見すぎている〜
今は、おいしそうなお菓子の写真を毎日のように目にします。
お店に並ぶ、美しく仕上がったケーキや焼き菓子。
それを見ていると、
「こんなにきれいには作れない。」
と思ってしまうことがあります。
でも、家のお菓子は違います。
少し形が不揃いでも、
少し焼き色が濃くても、
焼きたてのおいしさは、家庭ならではの魅力です。
〜「作ること」より「食べること」を想像してしまう〜
お菓子作りを始めて長く続く方は、
完成だけを楽しみにしているわけではありません。
粉を量る。
生地を混ぜる。
焼き上がる香りを楽しむ。
その時間そのものが好きなのです。
だから続きます。
逆に、完成だけを目標にすると、失敗したときに苦しくなってしまいます。
〜小さく始めると世界が変わる〜
私は初心者の方へ、
いつも「難しいものから始めなくて大丈夫ですよ」とお伝えしています。
クッキーでも十分です。
マフィンでも十分です。
一回焼いてみる。
それだけで、お菓子作りへの印象は大きく変わります。
〜ハーブは「特別なもの」ではありません〜
お菓子作りに少し慣れてくると、
「香りも楽しんでみたい。」
そう思われる方もいらっしゃいます。
そこで出会うことがあるのがハーブです。
植物の香りが少し加わるだけで、
いつもの焼き菓子が、少し違う表情を見せてくれます。
それは難しい技術ではありません。
暮らしの楽しみが、一つ増える感覚です。
〜私がキャリアで一番感じたこと〜
お菓子を作り続けてきて思うことがあります。
お菓子作りが得意な人と、苦手な人の違いではありません。
長く楽しめる人は、
「今日は楽しかった。」
と言える人です。
その一言があるから、また次も作りたくなります。
もし今、
「いつか作ってみたい。」
そう思っておられるなら、その「いつか」は今日でもいいのかもしれません。
完璧なお菓子ではなくても構いません。
焼き上がる香りを楽しみながら過ごした時間は、きっと思っている以上に心に残ります。
その一歩が、やがて暮らしの中の大切な楽しみになっていくと、私は信じています。
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