オーブンから届く甘い熱気に、ほんのりと青い草花の香りが混じり始めます。
型をそっと引き出し、焼き色を確かめる。
その瞬間、キッチンいっぱいに柔らかな春の陽だまりのような匂いが広がりました。
ミルで丁寧に砕いたカモミールの花粒と、とろりとしたハチミツを練り込んだ『カモミールとハチミツの焼きドーナツ』を焼き上げました。
生地を混ぜているとき、ボウルの底から立ち上るハーブの香りに、ふっと肩の力が抜けるのを感じることがあります。
お菓子作りというと、つい「失敗しないように」「きれいに膨らませなきゃ」と、少し身構えてしまいがちですよね。
けれど、こうしてハーブと向き合っていると、上手に作ることよりも、今この瞬間の心地よさに身を委ねるほうが、ずっと大切な気がしてくるのです。
指先に触れる粉の感触。
ハチミツが生地に溶け込んでいく、黄金色のつや。
カモミールの小さな粒たちが、生地の中で静かに香りの準備を整えている。
そんな景色を眺めているだけで、ざわついていた気持ちが、ゆっくりと凪いでいくような気がします。
焼き上がったドーナツは、まるでお日さまを閉じ込めたような、やさしい小麦色。
一口頬張ると、まずハチミツの穏やかな甘みが広がり、そのあとを追いかけるように、カモミールのリンゴに似た清らかな香りが、鼻から抜けていきます。
この余韻が、なんともいえず愛おしいのです。
「一度に完璧に」なんて、思わなくて大丈夫。
形が少し歪んでしまっても、それはそれで、その時のあなたのリズム。
ハーブはそんな不揃いな個性も、ふんわりと包み込んで、美味しい思い出に変えてくれます。
まずは、お湯を沸かして、焼き立ての香りを自分ひとりでゆっくり楽しむ。
そんな静かな時間から始めてみるのも、素敵なことだと思いませんか。
ハーブがお菓子に溶け込んでいく。
その不思議な調和を味わっていると、日常の景色がほんの少しだけ、明るく見える。
お菓子を作ることは、自分を慈しむこと。
そんなふうに感じています。
あなたの普段の日常に、穏やかなハーブの香りを。
日本ハーブスイーツ協会の『ハーブスイーツマイスター講座』にて、その入口を静かにご用意しています。
このカモミールとハチミツの焼きドーナツの『ハーブの育て方と手に入れ方』についての過去記事はこちら。
https://www.herbsweets-japan.com/blog/178404/
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■まず最初に、全体像を静かに読み進めたい方はこちらをどうぞ▼
https://www.herbsweets-japan.com/blog/173534/