私たちが、ハーブスイーツという文化を育てたい理由

日本ハーブスイーツ協会

『いつか、旅先の小さなカフェで。』

いつか家族で旅行に出かけたときのことを、想像することがあります。

知らない土地を歩き、少し疲れたところで見つけた、小さなカフェ。

窓際の席に腰を下ろし、何を注文しようかとメニューを眺めていると、そこにハーブスイーツの文字がある。

「あ、ハーブスイーツがあるね」

妻と顔を見合わせて、思わず笑ってしまう。

どんなお菓子だろう。

どんなハーブを使っているのだろう。

そんなことを話しながら注文し、運ばれてきたお菓子を家族でいただく。

きっと、私たちの知らない組み合わせや、その土地ならではの工夫があるのでしょう。

もちろん、そのお店が日本ハーブスイーツ協会の受講者さんのお店だったら、とても嬉しいことです。

けれど、そうでなくても構いません。

私たちとはまったく面識のない方が、ご自身の感性でハーブスイーツを作り、お客様に届けている。

そして、それが特別な出来事ではなく、ごく普通の街の風景になっている。

そんな未来が訪れたら、どれほど幸せだろうと思うのです。

私たちが日本ハーブスイーツ協会を通じて目指しているのは、そんな未来です。

ハーブスイーツという、一つの文化を育てていくこと。
今日は、そのお話を少しさせてください。



『妻が楽しそうにお菓子を焼いている。』

私たちは夫婦で、日本ハーブスイーツ協会を運営しています。

私は長年パティシエとしてお菓子を作ってきました。そして妻は、ハーブのある暮らしを楽しみながら、さまざまなハーブスイーツを生み出しています。

妻の作るお菓子を見ていると、いつも感じることがあります。

ハーブという素材には、まだまだ知られていない楽しみ方があるのだな、と。

同じ焼き菓子でも、組み合わせるハーブによって香りの印象が変わります。

季節が変われば、似合う香りも変わります。

一緒にいただく紅茶や、食べる時間によっても、その楽しみ方は違ってきます。

ハーブスイーツには、そんな面白さがあります。

最近では、資格講座の受講を検討されている方に向けて、ハーブスイーツの体験セットもお届けするようになりました。

ご注文をいただくと、妻は喜んでお菓子を焼いています。

次々とオーブンから焼き上がってくる、ハーブの香りをまとったお菓子たち。

それを見ながら、私は発送の準備を進めます。

この時間が、私たちは好きなのです。

そして、この楽しさを、もっと多くの人に知っていただきたい。

それが、私たちの活動の出発点にあります。



『誰でも訪れることのできる、図書館を作ろう。』

日本ハーブスイーツ協会のホームページには、たくさんのブログ記事があります。

一つひとつのハーブについて。

ハーブスイーツの種類や特徴について。

季節の風景の中で楽しむお菓子について。

製菓技術や、香りの組み合わせについて。

そして、私たちの日々の活動について。

こうした記事を、少しずつ積み重ねてきました。

私たちは、このブログを図書館のような場所にしたいと考えています。

ハーブスイーツについて知りたいと思ったとき、いつでも訪れることができる場所。

気になる記事を一つだけ読んでもいいし、関連記事をたどりながら、何時間でも過ごしていただいて構いません。

何度でも訪れて、そのときの興味に合わせて、好きなところから読んでいただけたら嬉しいです。

そして、この図書館には、資格講座を受講するための条件などありません。

誰でも自由に読んでいただけます。

記事を読んで、ハーブスイーツというものがあるのだと知っていただく。

それだけでも、私たちにとっては嬉しいことです。

ご自宅で作ってみたり、ご家族やお友達との会話に登場したり。

いつか、どこかのお店でハーブスイーツを見かけたときに、以前読んだ記事を思い出していただけるかもしれません。

そうした小さな出来事が、あちらこちらで生まれていく。

その一つひとつが、ハーブスイーツという文化を少しずつ広げていくのだと思っています。

ですから、ブログを読んで満足していただいても、私たちは一向に構いません。

読んでくださった時点で、すでに私たちの願いの一つは叶っているのですから。



『資格を取得した、その先にあるもの。』

一方で、日本ハーブスイーツ協会では、ハーブスイーツを体系的に学んでいただくための資格講座も用意しています。

ご家庭で楽しむところから、さらに深く学びたい方へ。

また、すでにお菓子作りをお仕事にされている方が、新しい商品を生み出すための学びとして。

それぞれの目的に合わせて、ハーブスイーツの世界を楽しんでいただきたいと考えています。

そして、私たちが大切にしていることが、もう一つあります。

それは、資格を取得した後のことです。

せっかく学んでいただいたのですから、ご自身の感性を生かし、さまざまなハーブスイーツを生み出していただきたい。

お菓子作りをお仕事にされるのであれば、できることなら、その技術でしっかりと生計を立てていただきたい。

そう願っています。

ただ、どれほど素晴らしいお菓子を作る技術があっても、そのお菓子を知っている人が少なければ、販売するのは簡単ではありません。

ハーブスイーツという言葉そのものを、初めて耳にするお客様もいらっしゃるでしょう。

そのたびに、どんなお菓子なのか、どんな魅力があるのか、一から説明する必要があるかもしれません。

だからこそ、私たちにもできることがあると考えています。

ハーブスイーツの社会的な認知を、少しずつ広げていくことです。

日本のどこかで、ハーブスイーツを作っている方がいる。

そのお菓子を食べてみたいと思っている方がいる。

そして、両者が出会える機会が増えていく。

そのような環境を育てることも、協会の大切な仕事だと考えています。

もちろん、協会が情報を発信するだけで、すべての作り手が生計を立てられるわけではありません。

商品作りやお店の経営には、それぞれの工夫も必要です。

それでも、ハーブスイーツを知っている方が増えれば、作り手の皆さんにとって、新しい出会いが生まれる可能性も広がります。

私たちの図書館には、そんな役割もあるのです。



『私たちの知らないハーブスイーツが生まれてほしい。』

私たちは、受講者の皆さんに、まったく同じお菓子を作り続けていただきたいわけではありません。

基本となる知識や技術を学んだ先には、ぜひ、ご自身の感性を生かしていただきたいと思っています。

住んでいる土地も違えば、好きな素材も違います。

お菓子を届けたい相手も、それぞれに違うでしょう。

そんな皆さんが、それぞれの場所で新しいハーブスイーツを生み出していく。

私たちが想像もしなかった組み合わせが生まれるかもしれません。

地域で親しまれている果物と、ハーブを組み合わせたお菓子。

昔から作り続けてきた家庭のお菓子に、ハーブの香りを添えたもの。

あるいは、その土地のカフェで、何年も愛され続ける定番のお菓子になるかもしれません。

そうした作品が生まれることを、私たちは楽しみにしています。

そもそも、文化というものは、誰か一人の手の中だけで育つものではないと思うのです。

さまざまな人が関わり、それぞれの感性や暮らしと結びつきながら、少しずつ形を変えていく。

私たちが大切にしてきた世界観も、誰かの手に渡れば、その人ならではの新しい世界へと広がっていくでしょう。

その広がりを、私たちは歓迎したいのです。



『文化的なものを売ることと、文化を育てること。』

私たちは、ハーブスイーツを題材にした事業を営んでいます。

講座を販売し、体験セットをお届けし、その活動によって収益を得ています。

事業として継続していく以上、利益も大切です。

けれど、私たちが目指しているのは、ハーブスイーツの魅力を商品として提供することだけではありません。

ハーブスイーツという文化そのものが、社会の中で育っていくことです。

この二つは、似ているようで少し違います。

私たちの商品を購入していただくことは、もちろん嬉しいことです。

しかし、私たちの商品を購入したことのない方が、ハーブスイーツを好きになってくださっても、同じように嬉しいのです。

協会とは関係のないお店で、ハーブスイーツが販売されるようになっても構いません。

むしろ、そんなお店が増えていけば、素敵なことだと思います。

そして、資格を取得された皆さんが、それぞれの場所で活躍してくださること。

その活動を通じて、新しいお客様がハーブスイーツの魅力を知ってくださること。

こうして文化が広がっていけば、私たちの活動も、受講者さんの活動も、お互いに新しい可能性を育てていけるのではないでしょうか。

私たちだけが大きくなるのではなく、ハーブスイーツを取り巻く世界そのものが豊かになっていく。

そんな事業を営んでいきたいと考えています。



『時間は、いくらかかっても構いません。』

文化というものが、どのくらいの時間をかけて育つのか。

正直なところ、私にも分かりません。

数年かもしれませんし、もっと長い時間が必要なのかもしれません。

けれど、それで構わないと思っています。

必要な時間があるのなら、その時間をかけて育っていけばいい。

私たちにできることは、日々の活動を続け、誰かがハーブスイーツに興味を持ったときに、いつでも訪れることのできる場所を用意しておくことです。

今日公開した記事を、何年も先に読んでくださる方がいるかもしれません。

その方が、ハーブスイーツを作ってみようと思われるかもしれません。

そして、いつか自分のお店を持つ日が訪れるかもしれません。

そんな未来を想像すると、ブログを書き続けることも、また楽しくなります。

もっとも、毎日そんな壮大なことを考えているわけではありません。

妻は今日も、楽しそうにハーブスイーツを焼いています。

私は、日々の記事を書きながら、少しずつ育っていく図書館を眺めています。

お問い合わせをいただけば嬉しいですし、体験セットのご注文があれば、喜んで準備を進めます。

そんな日常を、これからも続けていきたいと思っています。



『いつか、旅先のカフェで。』

さて、最初のお話に戻りましょう。

いつか家族で旅行に出かけた先で、偶然立ち寄ったカフェ。

そこで、ハーブスイーツを見つける。

注文したお菓子をいただきながら、妻と話すのです。

「こんな組み合わせもあるんだね」

「おいしいね」

きっと、それだけで十分なのでしょう。

そのお菓子を作った方が、私たちのことを知らなくても構いません。

協会の名前が、どこにも書かれていなくてもいいのです。

その土地で、誰かがハーブスイーツを作り、誰かがそれを楽しんでいる。

お店の方が、ご自身の仕事に喜びを感じ、その仕事によって暮らしを営んでいる。

そんな風景が、日本のあちらこちらに生まれていけば、私たちにとって、これほど嬉しいことはありません。



『文化的なものを売ることと、文化を育てること。』

私たちは、後者にも取り組んでいきたいと思っています。

そのために、今日も図書館を育てています。

何年かかるのかは分かりません。

けれど、その過程も含めて楽しみながら、夫婦で歩んでいけたらと思っています。

いつの日か、皆さんが作られたハーブスイーツに、旅先で出会えることを楽しみにしています。



日本ハーブスイーツ協会
白水

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他の記事もお読みになりたい方へ。私たち日本ハーブスイーツ協会の活動や、私たちがハーブスイーツを好きになったきっかけなどをまとめています。
https://www.herbsweets-japan.com/blog/cate/15677/


ブログには書かない、ハーブスイーツの少し内側のお話を、7日間にわたってお届けしています。
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