お菓子は、誰かと一緒に食べるもの。
そんなイメージがあります。
家族と囲むおやつの時間。
友人とのお茶。
誰かへの手土産。
もちろん、そんな時間も素敵です。
けれど、ときには一人でゆっくりお菓子を味わう時間もあります。
誰かと話すでもなく。
何かを急いでするでもなく。
お茶を淹れて、小さなお菓子をひとつお皿にのせる。
そして、静かに食べる。
ハーブスイーツには、そんな一人の時間によく似合うところがあります。
今回は、一人で味わうハーブスイーツの中にある、静かな楽しさについてお話ししてみたいと思います。
〜一人だからこそ、香りに気づくことがあります〜
誰かと一緒に食べているときは、会話があります。
「これ、おいしいね」
「今日は何してたの?」
そんな言葉を交わしながら食べる時間も楽しいものです。
一方で、一人のときには、少しだけ感覚が内側へ向きます。
クッキーをひと口。
まず、バターの香り。
噛んでいると、あとからカモミール。
飲み込んだあとに、ほんの少し花のような余韻。
そんな小さな変化に気づくことがあります。
誰かに説明する必要もなく、ただ自分の感覚で味わう。
ハーブスイーツの繊細な香りは、そんな時間によく合います。
〜お茶を淹れるところから、少し速度が変わります〜
忙しい日には、食べることさえ急いでしまうことがあります。
立ったまま何かを口に入れる。
飲み物を片手に次のことをする。
そんな日もあります。
でも、
「今日は少しだけお茶にしよう」
と思ってお湯を沸かす。
カップを出す。
お菓子をひとつお皿へ置く。
それだけで、少し速度が変わります。
大きな休息ではありません。
ほんの十分、十五分かもしれません。
それでも、自分のために用意した時間には、少し違う空気があります。
〜ハーブの香りは、味わうきっかけを作ってくれます〜
普通のクッキーなら、何気なく食べてしまうところ。
そこにローズマリーが入っている。
カモミールが入っている。
ミントが入っている。
すると、少しだけ意識が向きます。
「今日はどんな香りかな」
と確かめながら食べる。
それだけで、いつものおやつが少し丁寧な時間になります。
ハーブの香りは、
「ちゃんと味わってみよう」
と思わせてくれる小さなきっかけになるのかもしれません。
〜カモミールなら、穏やかな午後に〜
やさしい香りのカモミールは、一人のお茶時間にもよく似合います。
カモミールのクッキー。
りんごとカモミールのマフィン。
蜂蜜と合わせた焼き菓子。
温かい飲み物と一緒に食べると、やわらかな甘さの中に、ふわっと香りが重なります。
何か特別なことをするわけではありません。
窓の外を眺めながら、ひと口。
少しお茶を飲む。
それだけの時間です。
でも、そういう何でもない時間が、あとから意外と心に残ることがあります。
〜ローズマリーなら、気分を少し切り替えたい日に〜
ローズマリーのきりっとした香りは、少し気分を変えたいときにも似合います。
午前の仕事がひと段落したとき。
家事の合間。
午後の空気を入れ替えたいとき。
小さなローズマリーのスコーンをひとつ。
割ったときに、まだ少し温かい生地から、すっと香りが立つ。
甘さの中に清々しさがあると、気分も少し変わります。
何かを大きく立て直すのではなく、
「さて、次にいこうかな」
と思えるくらいの小さな切り替えです。
〜ミントなら、暑い日のひと休みに〜
季節によっても、似合うハーブは変わります。
暑い日なら、ミント。
窓の外には強い日差し。
少し冷たい飲み物と、ミントの入ったマフィンやクッキー。
口に入れると、甘さのあとから爽やかな香りが抜けていきます。
「ふう」
とひと息。
季節に合う香りがあるだけで、おやつの時間が少し心地よく感じられます。
ハーブスイーツは、季節の空気と一緒に味わえるお菓子でもあります。
〜一人なら、自分の好きなものだけ選べます〜
誰かと一緒に食べるときには、相手の好みも考えます。
甘さ。
香り。
大きさ。
食べやすさ。
それも楽しい時間です。
でも、一人なら自分だけの好みで選べます。
今日はローズをしっかり香らせたい。
今日はカモミールをほんのり。
今日はチョコレートとミント。
そんなふうに、
「自分が今食べたいもの」
を選ぶことができます。
誰かに合わせなくてよい。
それも、一人のおやつ時間のよさです。
〜一枚だけでもいい〜
一人のお茶時間に、たくさんのお菓子は必要ありません。
クッキーを一枚。
小さなスコーンをひとつ。
マフィンを半分。
そのくらいでも十分です。
むしろ、少ないからこそ丁寧に食べることがあります。
ひと口。
香りを感じる。
お茶をひと口。
またお菓子を少し。
急がなければ、小さなお菓子ひとつでも、意外と長く楽しめます。
〜何もしない時間があってもいい〜
お茶を飲みながら、本を読む。
音楽を聴く。
何かを書いてみる。
それもよいでしょう。
でも、ときには何もしなくても構いません。
ただ座る。
お菓子を食べる。
窓の外を見る。
庭の葉が揺れている。
遠くで車の音がする。
そんな時間です。
何か有意義なことをしなければ、と考えない。
ハーブの香りを感じながら、少しぼんやりする。
そういう時間も、暮らしの中にはあってよいと思います。
〜焼いた人だけが知っている香りもあります〜
自分でハーブスイーツを焼いたなら、その時間はもう少し長くなります。
庭からローズマリーを摘む。
葉を外す。
さくさくと刻む。
生地へ混ぜる。
オーブンへ入れる。
少しずつ香りが変わってくる。
焼き上がる。
そして、自分で食べる。
作るところから食べるところまでが、ひとつの流れになります。
誰かに見せるためでもなく。
評価してもらうためでもなく。
ただ、自分が食べたいから焼く。
そんなお菓子作りも、とても贅沢です。
〜自分のために作ると、少しだけ自由になります〜
誰かに渡すお菓子なら、見た目も気になります。
大きさをそろえる。
焼き色をそろえる。
きれいに包む。
でも、自分で食べるなら少しくらい形が違っても構いません。
少し大きなクッキー。
少し端が割れたスコーン。
焼き色が濃くなったマフィン。
「まあ、いいか」
と言いながら食べられます。
味がおいしければ、それで十分。
そんな気楽さも、家庭のお菓子作りにはよく似合います。
〜香りから、その日の自分が分かることもあります〜
いつもならローズマリーが好きなのに、
今日はカモミールがいい。
いつもはチョコレートなのに、
今日は柑橘の香りがほしい。
そんな日があります。
理由は、はっきりしないかもしれません。
でも、そのとき自分が心地よいと思う香りを選ぶ。
それだけでも、自分の感覚を少し確認することができます。
「今日は、こういうものが食べたかったんだな」
そんな小さな気づきです。
〜一人の時間は、考えを整理する時間にもなります〜
ずっと考え続けていると、かえって答えが見えなくなることがあります。
そんなときに、お茶を淹れる。
お菓子を食べる。
少し手を止める。
すると、急に考えがまとまることがあります。
もちろん、必ず答えが出るわけではありません。
何も考えなくてもいい。
でも、一度速度を落とすことで、自分の中のものが少し整うことがあります。
ハーブスイーツは、その時間の横に静かに置いておけます。
〜「自分のためだけ」は、ぜいたくなことかもしれません〜
誰かのためには、いろいろできます。
家族のため。
仕事のため。
友人のため。
けれど、自分のためだけに何かを用意することは、意外と後回しになりがちです。
だからこそ、
自分のためにお茶を淹れる。
自分のために小さなお菓子を焼く。
そんなことが、とてもぜいたくに感じることがあります。
高価なものという意味ではありません。
「自分のために使う時間」というぜいたくです。
〜誰にも見せなくていいお菓子があってもいい〜
写真を撮らなくてもいい。
誰かに話さなくてもいい。
SNSへ載せなくてもいい。
ただ作って、ただ食べる。
そんなお菓子があってもよいと思います。
おいしかった。
香りがよかった。
また作ろう。
それだけで終わる。
誰にも知られない時間にも、ちゃんと価値があります。
〜ハーブの香りは、暮らしの音を少し小さくしてくれる〜
もちろん、本当に周りの音が小さくなるわけではありません。
でも、お菓子をひと口食べて、
「あ、いい香り」
と感じた瞬間。
意識がそこへ向きます。
頭の中にあったいろいろなことが、ほんの少し遠くなる。
その一瞬だけでも、暮らしの音が静かになったように感じることがあります。
ハーブスイーツの香りには、そんな小さな間があります。
特別な日でなくてもいい
誕生日。
記念日。
休日。
そんな日だけでなくても構いません。
何でもない火曜日の午後。
少し早く家事が終わった日。
雨が降って外へ出たくない日。
仕事の区切りがついた日。
理由がなくても、
「お茶にしようかな」
と思ったら、それで十分です。
日常の中に小さく置けることも、ハーブスイーツのよさです。
〜静かな時間は、大きく作らなくていい〜
一人でゆっくり過ごす時間というと、
何時間も予定を空ける。
静かな場所へ出かける。
特別なことをする。
そんなイメージを持つかもしれません。
けれど、十分や十五分でもよいのです。
お湯を沸かして。
お菓子をひとつ。
座って食べる。
それだけです。
長い時間ではなくても、
「今はこれだけ」
とひとつのことを味わう。
それが、小さな静けさになります。
〜一人で味わうからこそ分かる、ハーブスイーツの表情〜
ハーブスイーツには、華やかな楽しみ方もあります。
誰かへ贈る。
家族と作る。
友人とお茶を囲む。
そんな時間も素敵です。
でも、一人で静かに味わうときには、また違う表情があります。
クッキーを噛んだあとに残る香り。
スコーンを割ったときの湯気。
お茶と一緒に飲み込んだあとの余韻。
誰かと話していると通り過ぎてしまうような、小さな感覚に気づくことがあります。
一人で食べるということは、寂しいこととは限りません。
自分のために、自分の好きな香りを選ぶ。
少し手を休める。
そして、ゆっくり味わう。
その短い時間の中に、静かさがあります。
カモミールの日。
ローズマリーの日。
ミントの日。
その日の気分に似合うハーブスイーツをひとつ。
いつもの暮らしの中に、ほんの少しだけ静かな時間を置いてみる。
そんな楽しみ方も、ハーブスイーツにはよく似合うのだと思います。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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