夏になると、庭やベランダのハーブたちが、ぐんぐんと元気に葉を伸ばし始めます。
朝の水やりのあとに、 ふと指先でミントに触れてみる。 レモンバーベナをそっと摘んでみる。 そんな小さな瞬間だけでも、 なんだか季節の空気がすうっと身体に入ってくるような気がするんですよね。
ハーブスイーツにとって、 夏は少し特別な季節です。
もちろん、ドライハーブを使ったお菓子作りは一年を通して楽しめます。 実際、焼き菓子との相性や香りの安定感を考えると、製菓ではドライハーブが活躍する場面もとても多いんです。
けれど、フレッシュハーブには、 「今、この季節だけ」 という、また別の魅力があります。
摘みたてのミントを刻んだ瞬間に広がる青い香り。 レモンタイムの、少し凛とした柑橘のような香り。 レモンバーベナの、ふわりと優しく抜けていく爽やかさ。
そうした香りは、 乾燥したハーブとはまた違った、 みずみずしい夏の表情を見せてくれるんですよね。
「今日は少しだけ摘んで、 スコーンに混ぜてみようかな」
そんな軽やかな気持ちで台所に立てるのも、 フレッシュハーブならではの楽しさかもしれません。
特別な道具がなくても大丈夫。 お店のように完璧に作れなくても大丈夫。
少し形が不揃いになってしまっても、 焼き色にムラが出てしまっても、 それも含めて、 “今日のおやつ時間”だったりするんですよね。
私は、お菓子作りって、 誰かに評価されるためだけのものではなく、 自分の暮らしを心地よく整えるためのものでもあると思っています。
慌ただしい毎日の中で、 ハーブを刻む。 粉を混ぜる。 オーブンの前で香りを待つ。
そんな静かな時間があるだけで、 不思議と呼吸が深くなっていくことがあります。
夏のフレッシュハーブは、 「上手に使いこなさなきゃ」 と頑張りすぎなくてもいいのだと思うのです。
ほんの少し摘んで、 ほんの少し焼いてみる。
そのくらいの気軽さから、 ハーブスイーツの楽しさは、ゆっくり暮らしに馴染んでいくのかもしれません。
季節が巡るたびに、 また香りを思い出して、 「今年も焼いてみようかな」 と自然に台所へ戻っていく。
そんな小さな楽しみが、 毎日の中に静かに続いていくと素敵ですよね。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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