気づけば、この道に立っていました。
振り返ってみても、「ここに行こう」と強く決めた記憶は、あまりありません。
もともと、お菓子作りはずっと身近にありました。
特別なものというより、日常の中にある当たり前のものとして。
そしてその時間を、
いつの頃からか、妻と一緒に過ごすようになっていきました。
妻は、もともと人と関わることが好きで、
お菓子を通して誰かと時間を共有することに、喜びを感じる人です。
教室という形で、誰かに伝えたり、
一緒に手を動かしたり。
その様子をそばで見ているうちに、
「お菓子は、ただ作って食べるものではないんだな」と、
少しずつ感じるようになりました。
そんな日々の中で、自然とハーブに触れるようになりました。
最初は、ほんの少し。
お茶として飲んだり、香りを楽しんだり。
強い主張はないけれど、
空気をやわらかく変えてくれる存在。
ハーブには、そんな静かな力がありました。
そのハーブを、お菓子に取り入れてみたとき。
「これは、ただのアレンジではないな」と感じたのを覚えています。
甘さや食感だけではなく、
香りや余韻まで含めて、一つのお菓子になる。
食べ終えたあとに、
ふっと力が抜けるような、そんな感覚。
それは、今までのお菓子とは少し違うものでした。
妻と話しながら、試作を重ねる時間も増えていきました。
「この香り、いいね」
「こっちは少し強いかな」
そんな何気ない会話の中で、
少しずつ形になっていくものがありました。
特別なことをしているつもりはなくて、
ただ、日々の延長として続いていた時間です。
気づけば、
「ハーブスイーツ」という形が、自然と残っていました。
選んだというよりも、
重なってきたものの中から、静かに残ったもの。
それが、たまたまこの道だった、という感覚に近いです。
派手さはありませんし、
強く人を引きつけるものでもないかもしれません。
けれど、
誰かの時間を少しだけやわらかくする。
ほんの少し、呼吸が深くなるような、
そんなひとときをつくることができる。
ハーブスイーツには、そういう力があると感じています。
だからこそ、今もこの道を続けています。
何かを大きく変えるためではなく、
日々の中に、静かな余白を置くために。
妻と一緒に、
これからも変わらず、
この小さな積み重ねを続けていこうと思っています。
日本ハーブスイーツ協会
事務局長
白水諭
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