お菓子には、さまざまなかたちがあります。
お店に並ぶものもあれば、家の台所で静かに焼き上げられるものもあります。
どちらが良い、という話ではなく。
ただ、その違いに目を向けてみると、見えてくるものが少し変わってきます。
市販のお菓子は、多くの人に届くように設計されています。
手に取りやすく、味の印象もわかりやすく、どこで食べても同じように感じられるように整えられています。
一口目で「美味しい」と感じること。
その安心感や安定感は、とても大切な価値です。
輪郭のはっきりした甘さ。
誰が食べても迷わない味。
それは、長く愛されるための工夫でもあります。
一方で、手作りのハーブスイーツは、少し違った時間の流れを持っています。
焼き上がりの温度や、混ぜる手の加減。
その日の空気や湿度。
ほんのわずかな違いが、そのままお菓子に映り込みます。
味も、どこか均一ではありません。
やさしく広がったかと思えば、ふっと消えるように抜けていく。
ハーブの香りもまた、同じように。
強く主張するというよりは、気づく人だけがそっと感じ取るような、そんな在り方をしています。
そして、そのあとに残る「余韻」。
市販のお菓子が、口に入れた瞬間の満足感を大切にしているとしたら、
手作りのハーブスイーツは、食べ終えたあとに続いていく時間を大切にしているのかもしれません。
香りがふわりと戻ってくる。
少し遅れて、記憶の中で味がほどけていく。
そんな感覚は、意識していないと通り過ぎてしまうほど、ささやかなものです。
けれど、その静かな余韻の中に、どこか安心するような感覚があることもあります。
どちらが優れている、という話ではなく。
向いている場面が違う、というだけのこと。
忙しい日には、すぐに満たしてくれるお菓子がありがたく。
少し余白のある日には、ゆっくりとほどけていくお菓子が似合うこともあります。
ハーブスイーツは、その「余白」に寄り添うお菓子なのかもしれません。
はっきりとした答えをくれるわけではなく。
ただ、静かにそこに在る。
そんなお菓子の時間も、暮らしの中に少しだけあってもいいのではないでしょうか。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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