ワイルドストロベリーとカスタードのマフィン、その名前を口にするだけで、指先に小さく柔らかな熱が灯るような心地がします。
昼下がりの、少し傾きかけた光が窓辺の机を照らす頃。
わたしは、使い込まれた木の小箱をそっと撫で、その上に焼きたてのマフィンを並べました。
ひとつひとつ、紙の型に包まれた姿は、まるで小さな贈り物がそこに静かに佇んでいるかのようです。
このマフィンには、摘み取ったばかりのワイルドストロベリーを、生地が見えなくなるほどたっぷりと練り込みました。
そして、その奥深い場所には、自家製のカスタードをそっとしのばせて。
焼き上がるにつれて立ち上る、甘く、どこか懐かしい香りは、部屋の空気を優しく包み込み、時間を少しだけ緩やかに変えてくれる気がします。
明日は、久しぶりに会う友人のもとを訪ねる予定です。
彼女とは、学生時代からの長い付き合いで、言葉にしなくても伝わる空気感のようなものが、私たちの間には流れています。
でも、互いに日々の暮らしに追われ、会うのは本当に久しぶりのこと。
何を話そうか、どんな顔をして会えばいいのか、少しだけ緊張している自分がいることに気づきます。
そんな時、ふと、このマフィンのことを思いました。
彼女は、甘いものが好きで、特にいちごには目がありません。
でも、市販の甘すぎるお菓子より、素材の味が感じられる、素朴な焼き菓子を好む人です。
このワイルドストロベリーの野趣あふれる香りと、カスタードの優しい甘さは、きっと彼女の心に、静かに寄り添ってくれるのではないか。
そう思った瞬間、心の中の緊張が、少しだけ解けていくのを感じました。
贈り物は、物を贈ることだけではありません。
その人を思い、その人のことを考える時間、そのものも、大切な贈り物なのだと思います。
どんな味が好きだろうか、どんな時に喜んでくれるだろうか。
そんな風に、誰かのことを考える時間は、日々の暮らしの中で、とても貴重で、豊かな時間です。
その時間は、自分自身の心をも、優しく満たしてくれる気がします。
明日、彼女にこのマフィンを手渡す時。
私は、どんな言葉を添えようか。
「久しぶり」という言葉の奥に、言葉にならない、たくさんの思いを込めて。
彼女の笑顔を想像しながら、マフィンを小箱に詰め、そっと蓋を閉じました。
ハーブの香りに優しく包まれる、焼き菓子を楽しむ時間。そんな心豊かな贈り物を、日々の暮らしに取り入れたい方へ。
日本ハーブスイーツ協会の『ハーブスイーツマイスター講座』にて、その入口をご用意しています。
このハーブスイーツの『ティータイムとハーブスイーツ』についての過去記事はこちら。
https://www.herbsweets-japan.com/blog/173838/
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