エルダーフラワーとイチゴのマフィン。
その名前を口にするだけで、少し晴れやかな、けれど穏やかな風が吹くような気がします。
冷たい雨が止んで、夕暮れの陽射しが部屋の隅に柔らかく差し込む時間帯でした。
少し身体を休めようと、キッチンに立ち、お湯を沸かし始めたときのことです。
湯気が立ち上り、ケトルがコトコトと音を立てる。
その音に混ざって、微かに甘く爽やかな香りが漂ってきました。
棚に飾っていた小さなバスケット。
その中には、先日友人が届けてくれた、小さな焼き菓子が並んでいます。
エルダーフラワーとイチゴのマフィン。
彼女が自分で育てたハーブと、手に入れたイチゴで、一つひとつ丁寧に焼き上げたのだそうです。
「エルダーフラワーの香りが、少し心を落ち着かせてくれる気がして」。
手渡されたときの、彼女の優しい笑顔。
その言葉の通り、バスケットから溢れる香りは、私の中の何かが少しずつ解けていくような、そんな心地よさをもたらしてくれました。
焼き菓子を一つ、手に取ります。
ふんわりとした優しい手触り。
口に運ぶとまず、エルダーフラワーの微かに甘く、どこか懐かしいような香りが口いっぱいに広がります。
その後に、イチゴの甘酸っぱさが、アクセントとして、優しく寄り添う。
甘すぎず、けれど物足りなさもない。
その絶妙なバランスはまるで、彼女の人を思いやる心の、そのままであるような気がしました。
贈り物というのは、単に物を贈るだけではない、と思うことがあります。
その物の奥にある、誰かを思う気持ち、その時の情景、空気感。
それらがすべて、一つの贈り物として、届けられる。
だからこそ、受け取った側は、その物に込められた様々な想いを、感じることができる。
このマフィンもそうです。
エルダーフラワーの香りは、彼女が私のことを想い、少しでも心を安らげてほしいという、その気持ちの表れであったのでしょう。
イチゴの甘酸っぱさは、人生の甘さと酸っぱさを、一緒に分かち合いたいというその想いの表れであったのかもしれません。
そんなことを想いながら、温かい紅茶と共に、マフィンをいただきました。
一口食べるたびに、心が少しずつ満たされていく。
そして食べ終わった後には、何だか自分も誰かに何かを贈りたくなっている。
そんな自分に少しだけ驚きながら、またケトルが沸くのを待ちました。
贈り物は、受け取った人だけでなく、贈った人もまた、幸せにする。
そんな不思議な力を持っているような気がします。
それは言葉にはならない、けれど確かに存在する、心の繋がり。
その繋がりを、この小さな焼き菓子が教えてくれた。
そんな気がしました。
エルダーフラワーとイチゴのマフィン。
その小さな焼き菓子が私の日常に、ささやかな、けれど確かな幸せを運んできてくれた。
そのことに感謝しながら、またいつか彼女に何かを贈ろうと心に決めました。
贈り物。
それは、人と人との心を繋ぐ、魔法の言葉。
その言葉を私たちは日常の中で、もっと大切に、もっと豊かに使っていきたい。
そんなふうに想います。
ハーブの香りに優しく包まれる、焼き菓子を楽しむ時間。そんな心豊かな贈り物を、日々の暮らしに取り入れたい方へ。
日本ハーブスイーツ協会の『ハーブスイーツマイスター講座』にて、その入口をご用意しています。
このハーブスイーツの『ティータイムとハーブスイーツ』についての過去記事はこちら。
https://www.herbsweets-japan.com/blog/173837/
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