『レッドローズとカカオマスのカトルカール』。
ふんわりと焼き上がったパウンドケーキの断面から、ほんのりと赤いバラの花びらと、深い色合いのカカオが顔をのぞかせています。
一口頬張ると、バターの優しい甘さのあとに、追いかけるようにしてバラの高貴な香りが鼻を抜けていく、そんなお菓子です。
今回使っているバラ、いわゆるレッドローズは、実は大昔から私たちの暮らしのすぐそばにありました。
ある時はお庭を彩る美しい花として、またある時は、その香りを移したお水でお肌を整えたり、お客様をもてなすためのお茶に浮かべたり。
特別な薬としてではなく、日々の暮らしに「彩り」と「安らぎ」を添えてくれる、一番身近な植物のひとつとして愛されてきたのですね。
「ハーブスイーツ」と聞くと、なんだか少し難しく、特別な場所で食べるもののように感じるかもしれません。
でも、実はそんなに構える必要はないのです。
ハーブスイーツとは、一言で言えば「香りを着こなした、素朴なおやつ」のこと。
お庭やキッチンにある植物の力を少しだけ借りて、いつものお菓子に新しい表情をつけてあげる、そんな自由で楽しいお菓子作りです。
例えば、お休みの日の午後のこと。
お気に入りのティーカップを用意して、お湯を沸かす音を聞きながら、焼き上がったばかりのケーキを切り分けます。
その瞬間、キッチンいっぱいに広がるのは、単なる甘い匂いだけではありません。
ハーブが持つ、自然で、どこか懐かしい「生きた香り」がふわりと漂います。
その香りを胸いっぱいに吸い込むだけで、心の中にたまっていた小さなトゲが、すうっと溶けていくような気がしませんか。
ハーブをお菓子に使う魅力は、この「心への贈り物」にあります。
カカオマスのほろ苦さと、ミルしたバラの華やかさが合わさることで、普通のおやつが、自分を大切にするための「時間」へと変わるのです。
それは、高級なブランド品を手に入れる贅沢とは少し違います。
道端に咲く花を愛でたり、淹れたてのお茶の湯気を眺めたりするような、暮らしのなかのささやかな幸せに近いものです。
今の私たちの忙しい毎日の中でも、ハーブスイーツはそっと寄り添ってくれます。
「なんだか今日は疲れたな」という日も、「明日はいい日にしたいな」という日も。
ほんの少しのハーブを生地に混ぜ込むだけで、いつものキッチンが魔法にかかったような、穏やかな空間に変わります。
ハーブは決して特別なものではなく、私たちの毎日をちょっとだけ素敵にしてくれる、頼もしい友人のような存在なのです。
香りを楽しむ素朴なお菓子。
そんなハーブスイーツの世界は、扉を開けてみると、驚くほど優しく私たちを迎え入れてくれます。
あなたも、バラの香りに包まれながら、心ほどけるお茶の時間を過ごしてみませんか。
その一口が、あなたの暮らしをより豊かに、鮮やかに彩ってくれるはずです。
詳しいレシピなどは、日本ハーブスイーツ協会の『ハーブスイーツマイスター講座』のホームページにてご紹介しています。
このハーブスイーツの『旅をする、ハーブの世界』についての過去記事はこちら。
https://www.herbsweets-japan.com/blog/172231/
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■まず最初に、全体像を静かに辿りたい方はこちら▼
https://www.herbsweets-japan.com/blog/173534/