〜日本の秋を感じる、ふたつの素材〜
秋が深まる頃、庭先や街角からふわりと漂ってくるキンモクセイの香り。
小さな橙色の花が集まって咲き、その甘く華やかな芳香は、秋の訪れを知らせてくれる風物詩のひとつです。
そして、同じ季節に旬を迎える柿。
鮮やかな橙色の果実には、穏やかな甘さと、どこか懐かしい味わいがあります。
どちらも日本の秋に馴染み深い素材ですが、このふたつをひとつのお菓子に組み合わせる機会は、あまり多くないかもしれません。
今回ご紹介するのは、「柿とキンモクセイのカトルカール」です。
柿のまろやかな甘さと、キンモクセイの花の香り。
ふたつの秋の恵みを、しっとりとしたバターケーキの中に重ねました。
〜実際に召し上がったお客様のご感想〜
このカトルカールを召し上がったお客様から、こんな嬉しいご感想をいただきました。
«なんかすごく、日本的なハーブのお菓子だなぁというのが第一印象でした。柿は分かるけど、キンモクセイ?と思いながら食べましたが、あぁ、確かに柿と合う。と、ひと口目で納得しました。好き。»
とても印象深いお言葉です。
特に嬉しいのは、「ひと口目で納得しました」という部分。
柿とキンモクセイ。
名前を聞いただけでは、どんな味わいになるのか、少し想像しにくい組み合わせかもしれません。
けれど、実際に召し上がることで、ふたつの素材が持つ相性のよさを感じていただけたのですね。
そして、最後の「好き。」という短いひと言。
飾らない言葉だからこそ、お客様が感じてくださった素直なおいしさが伝わってきます。
〜キンモクセイという、秋を知らせる花〜
キンモクセイは、モクセイ科の常緑樹です。
秋になると小さな橙色の花を咲かせ、甘く華やかな香りを周囲に広げます。
姿が見えなくても、その香りから花が咲いていることに気づく。
そんな経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
キンモクセイは、日本では庭木や街路樹として親しまれています。
一方、中国では桂花と呼ばれ、食用に適した花をお茶やお酒、お菓子などに利用する文化があります。
花の香りを食べ物に取り入れることは、決して新しい発想ではありません。
けれど、日本の暮らしの中では、キンモクセイを食材として楽しむ機会は、まだそれほど多くないかもしれません。
だからこそ、お菓子として出会ったときに、新鮮な驚きが生まれるのでしょう。
〜柿の穏やかな甘さと、花の香り〜
柿は、日本の秋を代表する果実のひとつです。
熟した果実には、まろやかな甘さと、柔らかな風味があります。
酸味が強い果実とは異なり、穏やかで落ち着いた味わいが特徴です。
そんな柿に、キンモクセイの華やかな香りを重ねました。
柿の優しい甘さが、花の香りを受け止める。
そして、キンモクセイの芳香が、柿の素朴な味わいに新しい表情を添える。
どちらか一方が強く主張するのではなく、ふたつの素材が心地よく重なっていく組み合わせです。
今回のお客様が「確かに柿と合う」と感じてくださったのも、そんな調和によるものなのかもしれません。
〜カトルカールが包み込む、秋の風味〜
カトルカールは、フランスの伝統的な焼き菓子です。
名前はフランス語で「4分の4」を意味し、小麦粉、バター、砂糖、卵を同じ割合で使う基本的な配合に由来しています。
バターの豊かなコクと、しっとりとした食感。
素材の風味を生かしやすい、素朴で奥深い焼き菓子です。
今回のカトルカールには、柿とキンモクセイを組み合わせました。
しっとりとした生地の中に、果実のまろやかな甘さと、花の甘い香りが広がります。
バターの風味がふたつの素材を優しく包み込み、ひとつの焼き菓子としてまとめてくれます。
温かい紅茶を添えて、秋の午後にゆっくりと味わいたくなるお菓子です。
〜日本的なハーブスイーツという発見〜
今回のお客様は、最初に「日本的なハーブのお菓子」という印象を持たれたそうです。
このお言葉も、とても興味深く感じました。
ハーブと聞くと、ローズマリーやラベンダー、ミントなど、西洋の植物を思い浮かべる方も多いでしょう。
けれど、植物の香りを食べ物に生かす文化は、世界各地にあります。
日本にも、桜の葉やヨモギ、柚子、山椒など、植物の香りを楽しむ食文化が根づいています。
キンモクセイと柿の組み合わせも、そんな日本の季節感と自然に重なるものがあります。
フランス生まれのカトルカールに、日本の秋を感じる素材を取り入れる。
そこには、国や地域の枠にとらわれない、お菓子作りの自由な楽しさがあります。
〜食べて初めて分かる、素材の相性〜
お菓子の名前を聞いただけでは、味が想像できないことがあります。
特に、花の香りを使った焼き菓子は、実際に召し上がった経験がなければ、どんな風味なのか分かりにくいかもしれません。
今回のお客様も、最初は「キンモクセイ?」と少し不思議に感じられたようです。
けれど、ひと口食べると、その印象が変わりました。
「あぁ、確かに柿と合う。」
この小さな発見こそ、ハーブスイーツの面白さのひとつだと思います。
知っている素材同士でも、組み合わせることで、まだ知らなかったおいしさが生まれる。
頭の中で想像していた味わいと、実際に口にしたときの印象が違う。
そんな驚きや発見を楽しめることも、お菓子の魅力です。
〜秋の景色を、ひと切れのお菓子に〜
柿が色づき、キンモクセイが香る季節。
日本の秋には、目で楽しむ美しさだけでなく、香りや味わいの豊かさがあります。
そんな季節の恵みを、ひとつの焼き菓子に重ねた「柿とキンモクセイのカトルカール」。
今回のお客様は、その組み合わせをひと口目で楽しんでくださいました。
そして、最後に届けてくださった「好き。」というお言葉。
その素直なご感想を、とても嬉しく思います。
心のこもったお言葉をお寄せくださったお客様に、心より感謝いたします。
日本ハーブスイーツ協会では、これからも身近な植物や季節の素材を通じて、香りとお菓子のおいしさが出会う楽しさを、丁寧にお伝えしてまいります。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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