ハーブをお菓子に使ってみようと思ったとき、よく迷うのが、
「いったい、どのくらい入れればいいの?」
ということではないでしょうか。
少なすぎると、せっかく入れたのに香りが分からない。
反対に多すぎると、苦味や青っぽさが強くなってしまうこともあります。
とくに初めて使うハーブでは、
「小さじ1杯?」
「ひとつまみ?」
「フレッシュならもっと入れていいの?」
と迷います。
実は、ハーブにはすべてのお菓子に共通する「この量なら絶対に正解」という数字はありません。
ハーブの種類。
ドライかフレッシュか。
作るお菓子。
一緒に使う素材。
そして、どのくらい香らせたいか。
こうした条件によって、ちょうどよい量は変わります。
今回は、初めてハーブスイーツを作る方に向けて、ハーブの量を決めるときの基本的な考え方を、やさしくご紹介します。
〜まず覚えておきたいのは「少量から」〜
最初に、ひとつだけ覚えるなら、
「初めてのハーブは、控えめから」
です。
ハーブは、香りを持つ素材です。
種類によっては、ほんの少しでもしっかり存在感があります。
そのため、
「ハーブスイーツなのだから、たくさん入れないと」
と考える必要はありません。
むしろ最初は、
「もう少し香ってもいいかな」
くらいのところから始めるほうが調整しやすいものです。
少なければ、次回増やせます。
けれど、多すぎたハーブを焼いたあとから取り除くことはできません。
まず控えめに。
これは、初心者の方にとって一番分かりやすい目安です。
〜ハーブによって香りの強さは違います〜
同じ「小さじ1杯」でも、ハーブによって感じ方は大きく違います。
たとえばローズマリー。
少量でも、きりっとした香りがあります。
一方でカモミールは、比較的穏やかに香ります。
ミントには爽やかな存在感があります。
ローズには華やかな香りがあります。
つまり、
「ハーブなら全部同じ量」
ではありません。
料理で塩や胡椒の量を素材によって変えるように、ハーブも種類ごとに調整します。
最初に少し香りを嗅いでみて、
「かなり強いな」
と感じるものほど、控えめから始める。
そんな感覚でもよいでしょう。
〜ドライハーブは、とくに少量から〜
ドライハーブは水分が抜けているため、フレッシュハーブと比べて香りが凝縮して感じられることがあります。
そのため、初めて使うドライハーブなら、まずは少量から試します。
たとえば家庭でクッキーやスコーン、マフィンを一回分作る場合。
香りの強いドライハーブなら、まずは「ひとつまみ程度」から試してみる。
穏やかなハーブなら、それより少し多めから試してみる。
そんな始め方でも構いません。
ここで大切なのは、
「小さじ何杯を必ず入れる」
という数字ではなく、
「最初から一気に増やさない」
ということです。
〜フレッシュハーブは、ドライとは別に考えます〜
フレッシュハーブには水分があります。
そのため、一般的にはドライハーブよりも量を使いやすいことがあります。
たとえばフレッシュローズマリーなら、葉を数枚から。
ミントやレモンバームなら、数枚の葉を細かく刻んで。
まずはそのくらいから、お菓子一回分の生地へ加えてみます。
ただし、葉の大きさや香りの強さは、そのハーブの状態によって違います。
庭で元気に育ったミントと、市販のやわらかなミントでは、香りの印象が違うこともあります。
フレッシュだから多く入れても大丈夫、と決めつけず、やはり最初は控えめにしておくと安心です。
〜「小さじ」で測りにくいハーブもあります〜
ハーブの量について調べていると、
「小さじ何杯」
という表現を見ることがあります。
もちろん、それもひとつの目安です。
けれど、ハーブは形がさまざまです。
カモミールの花。
ローズマリーの細い葉。
ミントの大きな葉。
細かく粉砕したハーブ。
同じ小さじ1杯でも、入っている量はかなり違います。
そのため、慣れてきたら重さで量ったり、
「このレシピには、このくらい」
という自分なりの基準を記録しておくと便利です。
家庭で最初に試す段階なら、細かな数字にこだわりすぎなくても大丈夫です。
〜まずは一種類だけ使ってみる〜
ハーブの適量を知りたいときには、一度に何種類も組み合わせないほうが分かりやすくなります。
カモミールだけ。
ローズマリーだけ。
ミントだけ。
ひとつのハーブで焼いてみます。
すると、
「この量なら弱い」
「このくらいならちょうどいい」
「少し強かった」
ということが分かります。
そこへ最初から二種類、三種類と加えてしまうと、どの香りが強かったのか分かりにくくなります。
まず一種類を知る。
それから組み合わせる。
この順番がおすすめです。
〜シンプルな焼き菓子で試すと分かりやすい〜
ハーブの量を確かめるなら、材料の少ないシンプルなお菓子が向いています。
クッキー。
スコーン。
マフィン。
パウンドケーキ。
こうした焼き菓子です。
とくに、普段から作り慣れているレシピなら、
「いつもの味に、どのくらいハーブが加わったか」
を比べやすくなります。
まずはいつもの生地。
そこへ、少量のハーブ。
一度焼いてみます。
量の感覚を覚えるには、こうしたシンプルな試し方がとても役立ちます。
〜香りの強いハーブは「あとから分かる」くらいでも十分〜
ローズマリーやミントなど、存在感のあるハーブは、口に入れた瞬間から強く香らせなくてもよいと思います。
最初はバターや小麦の香り。
噛んでいると、ふっとローズマリー。
食べ終わったあとに、少しミントの爽やかさ。
そんな香り方もあります。
「ハーブを使ったと分かるくらい強く」
ではなく、
「お菓子の中に自然にいる」
くらいを目指してみる。
そうすると、食べやすくまとまりやすくなります。
〜穏やかなハーブは、合わせる素材も見てみる〜
カモミールなど、比較的やさしい香りのハーブでは、
「もう少し香らせたいな」
と思うことがあります。
そんなとき、すぐに量を大きく増やすだけでなく、一緒に使う素材も見てみます。
カモミールなら、りんご。
蜂蜜。
オレンジ。
こうした相性のよい素材を合わせることで、カモミールの印象が分かりやすくなることがあります。
ハーブの量だけで香りを作るのではなく、組み合わせで引き立てる。
これも大切な考え方です。
〜お菓子の大きさによっても変わります〜
同じハーブでも、クッキー一枚と、大きなパウンドケーキでは使う量が違います。
つまり、
「ローズマリーなら○グラム」
だけでは量を決められません。
生地全体がどのくらいあるのか。
何個分なのか。
どのくらいの大きさなのか。
そうしたことも考えます。
レシピを参考にする場合には、そのレシピ全体の分量とハーブの量をセットで見ることが大切です。
ハーブの量だけを切り取って別のレシピへ当てはめると、香りが強くなったり弱くなったりすることがあります。
〜生地へ直接入れるか、香りを移すかでも違います〜
ハーブの使い方によっても、必要な量は変わります。
細かくして生地へ直接混ぜる。
牛乳や生クリームへ香りを移してから漉す。
砂糖へ香りをなじませる。
仕上げに添える。
同じハーブでも、方法が違えば香り方も変わります。
生地へ直接入れると、食べたときにハーブを感じやすいことがあります。
液体へ香りを移すと、もう少しやわらかく全体へ広がることがあります。
ですから、
「何グラム入れるか」
と同時に、
「どう使うか」
を見ることも大切です。
〜焼く前だけで判断しない〜
ハーブを混ぜた生地の香りを嗅いで、
「少し弱いかな」
と思うことがあります。
けれど、お菓子の最終的な香りは、焼き上がってから分かります。
加熱によって軽い香りが弱くなることもあります。
反対に、バターや砂糖と一緒になることで、ちょうどよくなじむこともあります。
焼く前の香りだけで、
「足りない」
と判断してどんどん追加しないこと。
まずは一度焼いてみます。
焼きたてと冷めたあと、両方を食べてみる
香りの感じ方は、温度でも変わります。
まだ温かいスコーンを割ったとき。
ふわっとハーブの香りが立つ。
冷めてから食べると、少し穏やかに感じる。
あるいは、生地になじんで分かりやすくなる。
そんなことがあります。
ハーブの量を判断するときには、
焼きたて。
冷めたあと。
可能なら翌日。
少しずつ食べ比べてみると、その量が自分に合っているか分かりやすくなります。
〜少し強すぎたときも、失敗だけで終わらせない〜
初めて使ったハーブが、思ったより強く香ることもあります。
そんなときは、
「失敗した」
だけで終わらせなくても大丈夫です。
次は半分くらいにしてみよう。
もう少し果物を合わせてみよう。
細かくする量を変えてみよう。
そんなふうに次へつなげます。
反対に弱かったら、少し増やす。
この繰り返しによって、自分なりの目安ができていきます。
〜「ちょうどよい量」は人によっても違います〜
香りの好みは、人それぞれです。
ローズマリーがしっかり香るほうが好きな人。
ほんの少しだけ感じるほうが好きな人。
ローズの華やかな香りが好きな人。
穏やかなカモミールが好きな人。
同じお菓子を食べても、
「もう少し香ってほしい」
という人もいれば、
「このくらいがちょうどいい」
という人もいます。
ですから、最後は自分や食べる人の好みに合わせてよいのです。
〜初心者のうちは、記録を残しておくと便利です〜
ハーブの量を少しずつ調整するときは、簡単なメモを残しておくと役立ちます。
たとえば、
「ローズマリー、今回は少し強かった」
「カモミール、次は少し増やしてもよさそう」
「ミントとチョコレート、この量が好き」
その程度で構いません。
数字を量った場合には、その数字も書いておきます。
何度か作るうちに、
「このお菓子なら、このくらい」
という自分の目安ができてきます。
それは、レシピ本には載っていない自分だけの経験になります。
〜最初から完璧な量を当てなくても大丈夫です〜
ハーブスイーツを作るとき、
「正しい量を知らなければ作れない」
と思う必要はありません。
食用のハーブを使う。
香りを確かめる。
控えめから始める。
一度焼く。
食べる。
次に少し調整する。
基本は、とてもシンプルです。
ハーブによって香りの強さが違うからこそ、触れて、焼いて、食べてみることに意味があります。
〜目安は、作りながら自分の中にも育っていきます〜
「ハーブはどのくらい入れればいいですか?」
その答えは、
「この量なら、すべてのお菓子で大丈夫です」
というひとつの数字ではありません。
香りの強いハーブなら、ほんの少しから。
穏やかなハーブなら、様子を見ながら少しずつ。
ドライなら、フレッシュより慎重に。
お菓子の大きさや、合わせる素材も見る。
そして、焼き上がったものを食べて調整する。
それが基本になります。
最初は、
「少なすぎたかな」
くらいでも構いません。
まだ温かいクッキーをひと口食べて、
「あ、あとから少し香る」
と気づく。
次に焼くときには、ほんの少しだけ増やしてみる。
そんな小さな繰り返しの中で、
「私は、このくらいの香りが好き」
という自分なりの目安が育っていきます。
数字だけでは分からない、香りのちょうどよさ。
それを少しずつ見つけていくことも、ハーブスイーツを作る楽しさのひとつです。
日本ハーブスイーツ協会
白水
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