焼きたてのスコーンから立ち上る、どこか懐かしくも鮮烈な香り。
その正体は、朝摘みのフレッシュ・レモンバームです。
多くのハーブスコーンが乾燥ハーブを使用するなか、あえて「生」の葉を刻んで練り込む贅沢さ。
オーブンの熱が通ることで、レモンバーム特有のシトラスに似た清涼感が生地の奥底から解き放たれ、小麦の香ばしさと溶け合います。
鼻をくすぐるその香りは、まるで初夏のハーブ園を吹き抜ける風のようです。
爽やかさと重厚感のデュエット
このスコーンの真骨頂は、清涼感だけで終わらないところにあります。
生地の中に散りばめられたのは、甘さを削ぎ落とした純粋なカカオマス。
五感を刺激する食感: サクッとした外側を割ると、中はしっとり。そこに不揃いに刻まれたカカオマスの「カリッ」とした硬質な食感が小気味よいアクセントを加えます。
計算された味の対比: レモンバームの明るい酸味と、カカオマスが持つ深い苦味。
この一見相反する二つが、バターの芳醇なコクを仲立ちにして、口の中で見事な調和を見せます。
至福のティータイムを演出
断面を覗けば、淡いグリーンのハーブと漆黒のカカオが織りなす、洗練されたモザイク模様。表面に添えられた一枚の葉が、焼き上がりの熱を帯びてさらに香りを強調します。
合わせるなら、まずはストレートの紅茶を。
あるいは、ほんの少しのクロテッドクリームを添えて、カカオの苦味を引き立てるのも一興です。
甘いだけの焼き菓子に飽きた大人にこそ捧げたい、**「香りを食べる」**という表現が相応しい一皿。
日常をふっと忘れさせる、凛とした爽やかさと奥深い余韻。その一口が、あなたの午後を優雅な時間へと塗り替えてくれるはずです。
詳しいレシピなどは、日本ハーブスイーツ協会の『ハーブスイーツマイスター講座』のホームページへどうぞ。